FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ハイテク銘柄を中心に売られ指数の重しに

四半期末や週末を意識した利益確定売りが優勢で、特に前日に上昇していた主要の半導体関連銘柄や電子部品などハイテク銘柄を中心に売られ、指数の重しとなった。ただ、売りが一巡すると日経平均下げ幅を縮小して、もみ合い相場となった。市場では、今日は四半期末で年金基金のリバランス(資産の再分配)の売りが出ると予想され、なかなか買いが入りづらいとの声が聞かれた。ただ、日本株を取り巻くファンダメンタルズが変わったわけではないとして、利益確定売りが一巡した後は、底堅い展開を見込む声も聞かれた。結局、前営業日比45円安の3万3189円と3日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:為替介入への警戒感から上値を追動きは限定的

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き144.90円台へ値を上げた。その後も、日米金融政策の違いが鮮明になっていることで、海外短期筋などから仕掛け的なドル買い・円売りが持ち込まれ、一時145.06円付近まで上昇して昨年11月以来となる高値をつけた。ただ、政府・日銀による為替介入への警戒感から上値を追う動きは限られた。その後、鈴木財務相が閣議後の記者会見で「最近では急速で一方的な動きも見られる」「市場の動向を高い緊張感を持って注視しているところだ」などと円安をけん制すると、持ち高調整などのドル売り・円買いで144.75円付近へ押し戻された。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を下げて144.60円台を中心とする狭いレンジで推移した。今晩発表される米経済指標や米株価動向を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.0870ドルを挟んで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日本株をアンダーウエートに:HSBC

HSBCは29日付リポートで、米国株のエクスポージャーをオーバーウエートに引き上げた一方、日本株をアンダーウエートに、欧州株を中立にそれぞれ引き下げた。日本株と欧州株について、グローバル投資家が既にこれら地域の株式を大幅にオーバーウエートしていることから、更なるポジショニングの拡大余地が限られると指摘した。日本株について、突如として高まったコーポレート・ガバナンス(企業統治)への改善期待や消費の大幅な改善見通しに対して、これまでの株価上昇を正当化しうるほどの結果を伴うかに警戒感が強まるとした。また、日本円は金利差やリスク選好度といったクロスアセット要因に対しても「かなりアンダーパフォームしている」とし、今後急激な円高が発生することで日本企業の収益見通しが悪化しうるとも展望した。HSBCは20日、1~3月期決算が好調だったことと米景気減速を織り込んだとし、S&P500種株価指数の2023年末目標を4000から4600に引き上げていた。

 

穀物相場を惑わすエルニーニョ

金融市場で「エルニーニョ現象」への関心が高まっている。異常気象の多発に関係するといわれ、天候に左右されやし農産物に影響が出かねないためである。エルニーニョの発生と穀物相場の変動には一貫した法則性がないものの、今年は「ラニーニャ現象」が発生した直後とあって気温の急変が国際商品市況の波乱を招く可能性がある。米海洋大気局(NOAA)は8日、5月にはエルニーニョ現象が発生したとみられると勧告した。エルニーニョ現象は太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけての海面水温が平年より高くなる現象で、異常気象の原因になると考えられている。NOAAによるとエルニーニョ現象は2023年から24年冬にかけて徐々に強まる見通しだ。日本ではより強力な「スーパーエルニーニョ」になる可能性も取り沙汰される。天候によって収穫高などが左右されるシカゴの穀物相場をみると、エルニーニョの発生時期と変動は一貫していない。特定の海域での過去3ヵ月の平均海面水温が少なくとも5連続でプラス0.5度を超えるとエルニーニョ現象と分類する米国の海洋ニーニョ指数(ONI指数)でみると、00年以降で発生時期とシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の先物価格の3ヵ月移動平均との動きはバラバラである。

 

欧州市場では6月ユーロ圏消費者物価コア指数:予想は前年比+5.5%

5月実績は+5.3%で4月実績を下回った。サービス価格と工業価格の伸び率は鈍化しつつあること、利上げの影響が予想されることから、6月のコアインフレ率は5月実績と同水準か若干上回る可能性がある。

 

トルコと西側諸国の溝の広がりはリラの重しに

トルコでは明日までが犠牲祭(クルバン・バイラム)の祝日である。トルコの非承認により長引いている『スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟』であるが、結論は更に先延ばしとなる可能性が高まっている。エルドアン大統領は昨日、スウェーデンにおける反イスラムデモを取り締まらなかった同国政府を非難した。大統領は直接NATO加盟については言及しなかったが、今後の交渉で加盟に否定的な態度を強めるかもしれない。トルコと西側諸国の溝の広がりは、通貨リラにとっても印象は決して良くない。

 

南アフリカは西側諸国とロシアの板挟みで難しい対応

本日は月末・四半期末の当日のため、更にランドは神経質な動きになることが予想される。ここ最近はランド売り意欲が強いことで、おそらく上値は抑えられそうである。南アからの気になるニュースとしては、ロシアのロガチョフ駐南ア大使が、南アの非同盟姿勢の変更を促しているわけではないとしたものの、『南アはロシアとウクライナの戦争に関して、どちらの側かを選ぶ必要がある』と述べたことである。西側諸国からだけでなく、ロシア側からも圧力が高まりつつあり、板挟みとなった南ア政府の対応はかなり難しくなりそう。

 

23年末の米CPI見通しを米労働市場が堅調で上方修正:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズは29日付リポートで「労働供給の改善を背景に景気の見通しを、後ずれしたより緩やかな景気後退に修正した」と指摘した。その結果、インフレ鈍化もより緩やかになるとして、米消費者物価指数(CPI)で変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数が23年末に前回予想よりも50bp高い3.9%となり、24年末は従来予想よりも10bp高い2.6%になると見込んだ。米連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%までインフレを押し下げるには「労働市場の痛みがある程度必要だろう」との見解を示した。

 

米景気減速懸念が大幅に後退

米商務省が発表した1-3月期国内総生産(GDP)確定値は前期比年率+2.0%と、改定値+1.3%から予想以上に上方修正された。サービス支出の伸びが全体指数を押しあげた。同期個人消費確定値は前期比年率+4.2%と、改定値+3.8%から予想外に上方修正され21年4-6月以降で最大の伸びを記録した。同期1-3月期GDP価格指数確定値は前期比年率+4.1%と、予想外に改定値+4.2%から下方修正された。1-3月期GDP確定値の予想以上の上方修正や新規失業保険申請件数の予想外の減少で、景気減速懸念が大幅に後退した。米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測が強まった。

 

米国市場では5月PCEコア価格指数:予想は前年比4.7%

4月実績は前年比+4.7%と高止まりとなった。サービス価格や家賃価格の伸びが鈍化する兆候は確認されなかった。5月については金利上昇の影響が多少あるものの、コアPCEの上昇率は5月実績に近い水準となる可能性が高いとみられる。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独輸入物価指数(予想:前月比▲1.5%/前年比▲9.2%)
○15:00   5月独小売売上高(予想:前月比横ばい/前年比▲4.9%)
○15:00   6月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比▲0.2%)
○15:00   1-3月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.1%/前年比0.2%)
○15:00   1-3月期英経常収支(予想:85億ポンドの赤字)
○15:30   5月スイス小売売上高
○15:45   6月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.2%/前年比4.6%)
○15:45   5月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   5月仏消費支出(予想:前月比0.7%)
○16:00   6月スイスKOF景気先行指数(予想:89.0)
○16:55   6月独雇用統計(予想:失業率5.6%/失業者数変化1.40万人)
○18:00   6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比5.6%)
○18:00   6月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比5.5%)
○18:00   5月ユーロ圏失業率(予想:6.5%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○21:00   5月南アフリカ貿易収支(予想:60億ランドの黒字)
○21:00   5月メキシコ失業率(季節調整前、予想:2.80%)
○21:30   4月カナダGDP(予想:前月比0.2%/前年比1.9%)
○21:30   5月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.2%)
       5月米個人所得(予想:前月比0.3%)
       5月米PCEデフレーター(予想:前年比3.8%)
       5月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比4.7%)
○22:45   6月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:43.8)
○23:00   6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:63.9)
○トルコ(犠牲祭)、休場

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