★日経平均株価:半導体関連株が指数を押し上げた
米半導体大手のマイクロン・テクノロジーの株価が決算発表後の時間外取引で上昇したことを手掛かりに、指数寄与度の大きい半導体関連株がしっかりと推移し指数を押し上げた。前日の取引時間に比べて為替が円安方向に振れたことも投資家心理を支えた。月末にかけて年金基金などのリバランス(資産の再配分)売りが懸念されるほか、7月にはETFの分配金支払いに伴う換金売りが控えており、需給環境は良くないが、市場では「売り込む材料もない」として、底堅さも意識される。一方、6月半ば以降にもみ合った水準に上昇してきたことで、戻り待ちの売りが出やすいともみられており、上も下も決めてを欠く展開となった。結局、前営業日比40円高の3万3234円と小幅に続伸した。JPXが29日発表した6月第3週(19日~23日)の投資部門別株式売買動向(東証・名証の合計)によると、海外投資家(外国人)は3604億円売り越しとなり、売り越しは13週ぶり。個人投資家は3446億円買い越しとなり、買い越しは3週ぶり。信託銀行は4074億円売り越しとなり、売り越しは13週連続です。
★東京外国為替市場:為替介入警戒感もあり144円台半ばでもみ合い
ドル/円は、政府・日銀による為替介入への警戒感からドル売り・円買いが持ち込まれ、一時144.14円付近まで下落した。このところ一本調子の上昇が続いていたため、利益確定のドル売り・円買いが入りやすい面もあった。ただ、今晩発表される米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、日米金融政策の違いを意識したドルの押し目買いが見られ、144.40円付近へ値を持ち直した。午後は、米長期金利上昇を眺めたドル買い・円売りが入り、一時144.60円付近までじり高となった。ただ、前日の海外市場でつけた約7カ月半ぶりの高値144.62円に接近すると上げは一服した。その後は、日経平均株価の動向を睨みながら144.55円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの観測から、持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り1.0880ドル近くへ小幅に値を下げる場面があった。
★ドル/円のオプション状況:145.00円にドル売りが集まる
ドル/円は高値更新局面に相当する145.00円に売りが集まり始めてきたもよう。しかし動意を抑制しそうな売買のオーダーが総じて乏しい状態は続いている。やはり動きの鍵となりそうなのはオプション(OP)で、144.50円に置かれた本日NYカットのOPが規模を大きくし始めてきた。昨日から前後で動意が滞りがち。一方で下値は143.50円にあったポジションに加え、144.00円にもやはり本日NYカットのOPがかなり集まってきた。しばらくOP絡みで動きが停滞しやすい。
★6月のイタリアの消費者物価は予想以上に鈍化
28日に発表された6月のイタリアの消費者物価指数(欧州連合(EU)基準、HICP)は円年同月比6.7%上昇と5月の8.0%上昇から鈍化した。前月比でも0.1%上昇と5月の0.3%上昇から鈍化した。前年同月比、前月比とも市場予想とほぼ一致した。前年同月比でのインフレ鈍化はエネルギー価格が5月の11.5%上昇から2.0%上昇となったことが大きい。一方、未加工食品は5月の8.8%上昇から9.8%上昇へと伸びが加速した。30日には6月のユーロ圏HICPが発表される。市場予想では総合指数が5.6%上昇と5月の6.1%上昇から鈍化が見込まれる一方、変動の大きい食品やエネルギーを除くコア指数では5月の5.3%上昇から5.5%上昇へと上昇幅が拡大するとみられている。総合指数ではインフレ鈍化の傾向が継続するものの、食料品や未加工食品の価格などへのインフレ圧力は根強く、欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続姿勢が緩むことは期待できそうにない。
★トルコの外貨準備高が大幅に上昇
トルコ中銀が27日に発表した週間データによると、外貨準備高が大幅に上昇した。一部通信社の試算によると、ネット準備高は前週比で約85億ドル拡大して90億ドル程度まで回復した。統計が残るなかでは、週間で過去最大の増加幅だった。これで金融当局がドル売り介入を停止したことが明らかになった、というのが市場の見方である。外貨準備高の急拡大を受けてシムシェキ財務相は、合理的な政策への回帰は続くだろうとツイートした。準備高拡大の取り組みを加速させる方針を示した。また、為替リンク(リラ安となった分を補填)のリラ定期預金へのサポートも、年末まで延長すると述べている。
★南アフリカではインフレ持続により引き締めは継続
昨日通信社のインタビューを受けたクガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁は、インフレが予想よりも持続していることで、「市場が実際に織り込んでいた期間よりももう少し長く政策は引き締めを続けなければならない」と発言している。また、SARBの目標インフレ水準の中間値である4.5%までインフレを戻そうとしていると明言している。先月のインフレ率が13カ月ぶりの低水準となる6.3%まで低下したことで、来月の金融政策委員会(MPC)では一回金利据え置きとの予想もあるが、この発言を受けて再び利上げ予想が増えている。本日は南アから5月の卸売物価指数(PPI)が発表される。CPI同様に前年比では8.6%から7.3%まで低下すると予想されている。これまでPPIでは市場の反応は薄いが、上述のクガニャゴ総裁の発言もあったので、南アのインフレ状況の参考にはなると思われる。
★メキシコ電力不足が深刻化:全国的な停電のリスクも
メキシコでは熱波の影響で電力不足が深刻になっている。国家エネルギー管理センターは先週、エネルギー需要が増大したことで停電のリスクが高まっているとし、国家送電網が「警戒状態」にあるとの見解を示した。特に問題となっているのが摂氏45度を超えた複数の州。熱波とそれに伴う空調設備の使用増加によって電力システムに負荷がかかり、一部で停電も発生しているもよう。国家エネルギー管理センターは供給予備率(想定される需要に対する供給予備力の比率)が6%ほどしかなく、電力を安定的に供給するための目安(10%)に届いていないとの懸念を示している。こうした事態に対して、一部では「メキシコ政府が電力インフラへの投資を怠り、非効率な国営電力会社(CFE)への優遇措置を拡大したことが原因だ」といった声も聞かれた。もっとも、ロペスオブラドール大統領は「電力消費が一時的に増えたことで予備力が減っただけ」「全国的な電力供給は保証されている」などの見解を示し、問題はないと主張している。
★米消費者信頼感指数から年後半に傾向後退との見方:ウルフリサーチ
ウルフ・リサーチは28日付リポートで、27日に6月消費者信頼感指数が109.7と市場予想103.9を上回ったのを踏まえ、「我々の見解では、このポジティブなサプライズが流動性主導の一段の株高を招く『メルトアップ』相場の反発を後押しし、主要ハイテク株100銘柄で構成するナスダック100指数がさらに27日を通して1.74%上昇した』との認識を示した。リポートでは、「報告書の内容を見ると、株価の上昇期待は2021年12月以来の高水準に達しており、個人投資家がこの流れに乗って短期的にFOMC(取り残される恐怖)が株価上昇に貢献しているとの見方と一致している」と指摘。一方、「今後の経済見通しに対する消費者の見方と現在の状況とのかい離は、年後半のいずれかの時点で到来する景気後退と一致していると当社は考えている」とも指摘した。
★米銀ストレステスト通過で
米連邦準備制度理事会(FRB)はストレステストを年1回実施し、不況下で銀行にどの程度の損失が生じ、自己資本をどれだけ維持出来るかを測定している。今回は今後2年で商業用不動産や住宅価格がそれぞれ約4割下がり、失業率がピーク時に10%まで跳ね上がる不況を想定。全体では普通株など中核的な自己資本率が2022年10~12月期の実績から2.3ポイント低い10.1%まで織り込むものの、23行全てが規制上で最低限必要な資本要件を上回った。
★欧米市場イベント
○15:30 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、デコス・スペイン中銀総裁、スペイン中銀主催のイベントでパネル討議に参加
○16:30 スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:3.75%に引き上げ)
○17:00 4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○17:30 5月英消費者信用残高(予想:15億ポンド)
○17:30 5月英マネーサプライM4
○18:00 6月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:96.0)
○18:00 6月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲16.1)
○18:30 5月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比7.3%)
○21:00 6月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.2%/前年比6.3%)
○21:30 1-3月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率1.4%)
○21:30 1-3月期米個人消費(確定値、予想:前期比3.8%)
○21:30 1-3月期米コアPCE(確定値、予想:前期比5.0%)
○21:30 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:26.5万件/176.5万人)
○23:00 5月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲0.5%/前年比▲20.5%)
○30日01:30 テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○30日04:00 ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、30日まで)
○シンガポール(ハリラヤハジ)、インド(イスラム教犠牲祭)、トルコ(犠牲祭)、休場
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