FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米景気後退の懸念緩和から買い優勢に

前日の米国株市場では、堅調な経済指標で利上げによる景気後退(リセッション)懸念が後退し株高となっており、東京市場でも買いが優勢となった。前日まで4営業日続落していたことから、自立反発狙いの買いも入った。米国市場で夏の旅行シーズンを前にレジャー関連銘柄が物色された流れで、空運株が堅調だった。為替の円安を受け、輸出関連株にも買いが入った。結局、前営業日比655円高の3万3193円と5営業日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:円安けん制から上値追いは手控えられる

ドル/円は、シドニー市場で神田財務官から円安けん制が伝わったため、海外短期筋などがドル売り・円買いに動き、144円を割り込んで143.80円台へ下落した。東京市場に入ってもこの流れは続き、一時143.73円付近まで下落した。しかし、本日のスポット応当日は月末にあたり、仲値に向けて国内輸入企業などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、143.85円付近へ値を切り返した。その後、日経平均株価の上げ幅拡大でリスク選好が高まると、ショートカバーが入って144.05円付近へ値を切り返した。ただ、政府・日銀による円買い介入への警戒感から、積極的な上値追いは手控えられた。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、143.90円台を中心とする狭いレンジで推移した。今晩欧州中央銀行(ECB)フォーラムで行われるパウエルFRB議長や植田日銀総裁が出席するパネル討議の内容を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.09ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

★レートチェックを行った場合は介入が行われる可能性:テネオ

ドル/円が27日に144円台までドル高・円安に振れる中、調査会社テネオは27日付のリポートで、市場では政府・日銀が円高誘導に踏み切るのではないかとの憶測が高まっているが、日銀の植田総裁が経済見通しが不透明な中で時期尚早の政策転換リスクを犯すことはなさそうだとの見解を示した。リポートでは、金利差に伴う円安は、次回の日銀金融政策決定会合(7月28~29日開催)の際に、イールドカーブ・コントロール(YCC)の目標バンドをさらに拡大するか、あるいはYCCを完全に廃止すれば最も直接的に改善される可能性があるとしながら、6月15~16日会合の主な意見でそのような動きを検討する可能性がある証拠があったことに着目した。しかし、日銀の意向を幅広く読み解くと、「そのような結果になる可能性は依然として低い」といい、その一方で神田財務官が介入の可能性を警告していることに着目。「1ドル=145円は象徴的に重要な水準と見られているが、22年9月の最初の介入はほぼ147円で行われた」ことから、介入が行われる可能性もありうると予想。その上で、日銀が為替相場を確認するためのレート・チェックを行った場合、「為替介入が行われる可能性があることを示すサインとなるだろう」とし、介入の正確なタイミングは不明だが、介入近しとみていた。

 

トルコでは犠牲祭期間に入り流動性リスク低下

トルコでは本日から土曜日まで犠牲祭期間に入る。イスラム教にとって非常に重要な祭りの間も、今年のリラ相場はかなり神経質な動きとなりそうである。売り材料が目立ち、弱い地合いの中で史上最安値を更新し続けてもおかしくはない。トルコ中銀は先日、『国内銀行に対する外貨預金割り当て義務の証券維持率』をそれまでの10%から5%に引き下げた。これまで金融当局は外貨購入を抑制する規制を強めてきたが、今後は段階的に簡素化(規制緩和)するとの姿勢を示している。当局によるリラ買い介入も停止されたとの見方が強まっており、シムシェキ財務相が言うところの『合理的な原則(根拠、政策決定)』にトルコ経済が完全に戻るまでは、リラの重さが続きやすい。

 

南アへの制裁リスクがあることには要警戒

南アの電力の計画停電(負荷制限)の水準が低下していることも南アにとってはポジティブ要因である。電力問題がやや改善したことや、先月のようなロシアと南アの関係についての圧力が表面化していないことはランドの支えとなる。しかしながら、政治問題は表面化していないだけで、常に制裁リスクがあることには要警戒である。また、昨日南アの金融機関が南アのGDP成長率見通しを下方修正し、厳しい経済状況が続く中、今年の成長率はわずか0.1%にとどまるとの予想に変更した。南アに対しての制裁が発動されない限り、ランドは短期的には大きく崩れないかもしれないが、中長期的にランドを買うような状況にはまだなっていないのではないかと思われる。

 

顧客が米国株を3週ぶりに売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの27日付の顧客フローリポートによると、同社の顧客は先週(6月19~23日)の1週間に米国株を13億6800万ドル売り越した。3週ぶりに売り越しとなった。この週はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を受け、利上げ長期化による米景気悪化への懸念からS&P500種株価指数は週間で1.38%安となって6週ぶりに反落した時だった。主体別動向でヘッジファンド(HF)は3億5400万ドル売り越し、6週ぶりに売り越しに転じた。機関投資家は9億7000万ドルを売り越し、3週ぶりに売り越した。個人投資家は5900万ドルを売り越して、2週続けて売り越しだった。企業の自社株買いは9億7000万ドルで前週から変わらず、4月の決算シーズンでは例年よりも好調だったが、5月以降は例年の季節的傾向を下回っている。セクター別では11のセクターのうち8セクターが売り越しだった。金融セクターから4億5400万ドルの資金が流出したほか、ハイテクセクターは1億2100万ドルの流出だった。一方、前週に続き一般消費財セクターが7億600万ドル、コミュニケーションサービスセクターが4億1300万ドルの資金流出となって目立った。規模別では小型株が2億8800万ドルの売り越しとなって、先週の買い越しから早くも流出に転じた。リポートでは「6月初旬の小型株の上昇は、主にショートカバーによるものであったが、我々のポジショニング・フローデータは、投資家が依然として中小型株を非常に過小評価していることを示唆している」と指摘した。

 

米政権はAI半導体で新たな対中輸出規制を検討:WSJ

米電米政権は人口知能(AI)に使われる半導体に関し、中国向けの輸出で新たな規制を設けるよう検討している。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版が日本時間28日朝に報じた。米政府が昨年10月に発表した中国向けの先端半導体などの輸出管理措置を成分化し、拡大する規則の一部になるという。報道によると、米商務省は早ければ7月上旬にもエヌビディアなど米半導体企業が許可ライセンスを取得せず、中国の顧客向けに出荷するのを差し止める可能性がある。エヌビディアは中国市場向けに規制に抵触しないAI半導体を製造していたが、新たな規制ではこの半導体もライセンスなしで販売することを禁止するようだ。

 

米新築住宅販売は好調で市場予想を上回る:US Dashboard

27日に発表された5月の米新築住宅販売件数は、76万3000戸と前月の68万戸から12.2%増加した。市場予想は67万戸を大幅に上回り、2022年2月以来の高水準となった。在庫は減少傾向が続いており、販売価格の中央値は41万6300ドルと前月から上昇した。住宅市場全体で占める割合が大きい中古住宅市場は住宅ローン金利の高止まりで売りが出にくくなっている。中古住宅の在庫不足を受け、新築住宅の販売は増加傾向が続いている。

 

米消費者マインドは22年1月以来の高水準:US Dashboard

米調査会社コンファレンス・ボードが27日発表した6月の消費者信頼感指数は109.7と前月から7.2ポイント上昇し、市場予想103.9を大きく上回った。上昇は3ヵ月ぶりで、2022年1月以来の高水準となった。同指数は米個人消費の先行指標とされ、足元の景況感を示す「現況指数」と短期的な見通しを示す「期待指数」ともに上昇しており、景気先行き懸念の和らぎが示された。調査担当者は「35歳以下の消費者と3万5000ドル以上の収入のある消費者の間で、より高い信頼感が最も顕著に現れた」と指摘。一方で「消費者が今後6~12カ月間で景気後退に陥ることを予想している」と述べていた。期待指数が80を下回ると、景気後退リスクの高まりを示すとされる。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲23.0)
○15:45   6月仏消費者信頼感指数(予想:84)
○19:30   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、欧州中央銀行(ECB)フォーラムで講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   5月米卸売在庫(予想:前月比▲0.1%)
○22:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ラガルドECB総裁、ベイリー英中銀(BOE)総裁、植田和男日銀総裁、ECBフォーラムでパネル討議に参加
○23:30   EIA週間在庫統計
○29日01:00   5月ロシア失業率(予想:3.5%)
○29日01:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○29日02:00   米財務省、7年債入札
○ECB中央銀行フォーラム(ポルトガル・シントラ、最終日)
○夏季ダボス会議(中国・天津、29日まで)
○トルコ(犠牲祭)、インド(イスラム教犠牲祭)、休場

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