FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:調整的な売りが継続するも下値には押し目買い

これまでの急ピッチな株価上昇の反動による調整が継続したほか、前日の米国株安も重しとなった。指数寄与度の大きい銘柄下げ幅を拡大、あるいはマイナス転換し、指数を押し下げた。市場では、月末の年金のリバランス(資産の配分調整)の売りが予想される中で、需給的な先回り売りが出ているとの声が聞かれた。為替が140円台前半で推移している間は、企業業績にはプラスなので、大きく売る材料は見当たらないとの声もあった。そのため、下げた場面では押し目買いが入り、底堅く推移した。結局、前営業日比160円安の3万2538円と4日続落して終了した。今年初の4日続落となった。

 

東京外国為替市場:円安けん制でも143円台半ばでもみ合い

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅拡大がリスク回避の円買い要因となり、143.35円付近へ小幅に値を下げた。しかし、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、143.50円台へ値を切り返した。仲値発表後は、オフショア市場のドル安・人民元高が波及し、一時143.29円付近まで値を下げた。日経平均株価の下げ幅が一時350円を超えたことも、ドル/円の下落につながった。午後は、米長期金利上昇を眺めたドル買い・円売りが入り、143.60円台へじり高となった。日経平均株価の下げ幅縮小で、過度なリスク回避姿勢が和らいだことも円売りにつながった。鈴木財務相が昼過ぎに「為替は急速で一方的な動きが見られる」「強い緊張感をもって注視、行き過ぎた動きに適切に対応」などと円安をけん制したものの、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、1.09ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

3月末の家計金融資産:日銀統計

日銀が27日発表した2023年1~3月期の資金循環統計(速報)によると、家計が保有する金融資産の残高は23年3月末時点で前年比1.1%増の2043兆円と、比較できる05年3月以降で最高だった。現金・預金に加え、株高の影響で株式の残高も前年比から増加した。家計の金融資産の内訳をみると、現金・預金の残高は1.7%増の1107兆円だった。年度末としては過去最高となったが、賞与の支給が押し上げ要因となっていた22年12月末(1116兆円)からは減少した。株式などは2.7%増の226兆円だった。国内株式相場の上昇が寄与した。債務証券は4.0%増の27兆円と6四半期ぶりに増加した。一方、投資信託は0.6%減の90兆円、保険・年金・定型保証は0.4%減の534兆円だった。

 

30日の6月の東京都区部CPIに注目

日本では今週30日に最新6月の東京都区部CPI(消費者物価指数)が予定されている。昨年からの値上げと価格転嫁の時間差波及のほか、4月の新年度入り以降の賃上げ実行などにより、CPIは高止まりとなる可能性がある。市場予想を上回ると、先行き日銀による緩和修正の思惑を喚起。全般的な円高や、日本株の調整下落によるリスク回避の円高が警戒される。一方で26日に公表された15-16日の日銀会合「主な意見」では、「物価の先行きの不確実性が高まっているが、中期的な下方リスクは依然大きい」、「企業の値上げが続いて物価見通しが上振れる可能性もあるが、まだ持続性に懸念がある」といった慎重論が見られた。26日には5月・企業向けサービス価格が予想を下回っており、CPIも低下とばれば基本的な円安・外貨高のトレンドが維持される可能性がある。

 

今年の中国成長率予測を引き下げ:S&Pグローバル

格付け会社S&Pグローバルは、2023年の中国国内総生産(GDP)伸び率予測を5.5%から5.2%に下方修正した。5月の指標が新型コロナウイルス禍後の景気回復失速を示したことを受けた。25日付のリサーチノートで「中国の景気回復は続く見込みだが、投資や工業セクターがさえず、そのペースは一様ではない」と指摘した。「消費者と住宅市場の信頼感低迷で景気回復がさらに失速することが、中国の主要な成長下振れリスクだ」としている。主要格付け会社による見通し引き下げは同社が初めて。S&Pは導入される可能性がある景気支援策として「住宅購入制限や住宅ローン頭金規制の緩和、信用やインフラファイナンスの拡大、そしておそらく消費喚起に向けた財政支援」を挙げた。市場では、共産党政治局の7月の定例会合後に景気刺激策が発表されるとの見方が多い。

 

トルコ中銀の不十分な利上げ幅を受けたリラ売り継続

トルコ中銀の不十分な利上げ幅を受けたリラ売りが続いている。リラ防衛にトルコ当局は打つ手なしと相場に見透かされ、リラは対ドルで26.04リラ台までリラ安が急ピッチで進んだ。明日から始まる犠牲祭(クルバン・バイラム)を前に、イスタンブール株式市場は短縮取引である。金融機関も半休というなか、流動性がこれまで以上に悪くなることが予想される。祝日前に駆け込み的なリラ売りが持ち込まれる可能性もあり、値動きがこれまで以上に荒くなるかもしれない。なおトルコ中銀は25日、日曜日にもかかわらず声明を発表した。内容としては、市場メカニズムの機能性を高めてマクロ金融の安定を強化するために、段階的に証券維持規則の簡素化が実施されるというものだった。最初のステップとして、銀行の外貨預金に割り当てるべき証券維持比率が10%から5%に引き下げられた。今後もシムシェキ財務相やエルカン中銀総裁のもとで、トルコはこれまでの管理経済から自由経済へ転換が進められることになりそうである。ただ足もとでは、通貨リラの助けにはならないのかもしれない。

 

南アの注目点は7月のMPCでの利上げの有無

特に注目されるのは、7月の南アフリカ準備銀行(SARB)の動向である。先週は、スイス、ノルウェー、英国、トルコなどが利上げを実施した。市場では南アのインフレ率が急低下したこともあり、7月は一度政策金利を据え置くのではないかとの声が強まりまったが、英国やノルウェーのように大幅利上げをした国もあることで、再び利上げを継続するのではとの予想も出てきている。まだ1カ月弱、金融政策委員会(MPC)が開かれるまで時間はあるが、月末から来月にかけては南アの経済指標等でも神経質な動きとなることが予想される。

 

5月新築住宅販売件数は回復傾向が続くか:US Dashboard

27日に米商務省が5月の米新築住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)を発表する。市場予想では67万戸と、13カ月ぶりの高水準となった前月68万3000戸から25減となる見通しだ。前年同月比では5%増となる。22日発表の米中古住宅販売件数は430万戸と、前月からわずかに増加したものの、低水準にある。中古住宅の在庫不足を受け、新築住宅の販売は回復傾向にある。住宅の需要が高まるなか、販売価格の下落も追い風となっている。前月の新築住宅価格は2021年12月ぶりの水準にまで下落しており、今月の価格動向も注目される。一方、米抵当銀行協会(NBA)によると、足元の住宅ローン金利(30年固定物)は6.73%と3週連続で低下するも高水準で推移している。米連邦準備理事会(FRB)は利上げを継続する姿勢を見せており、金利低下には時間がかかりそう。

 

欧米市場イベント

○17:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○17:15   ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○17:30   テンレイロ英MPC委員、講演
○21:00   5月メキシコ貿易収支(予想:11.50億ドルの赤字)
○21:30   5月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比3.4%)
○21:30   5月米耐久財受注額(予想:前月比▲1.0%/輸送用機器を除く前月比▲0.1%)
○22:00   4月米住宅価格指数(予想:前月比0.5%)
○22:00   4月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比▲2.6%)
○23:00   5月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲1.2%/67.5万件)
○23:00   6月米消費者信頼感指数(予想:104.0)
○23:00   6月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲12)
○28日02:00   米財務省、5年債入札
○ECB中央銀行フォーラム(ポルトガル・シントラ、28日まで)
○夏季ダボス会議(中国・天津、29日まで)

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