FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:売り買い交錯で方向感出ず

前週末の米国株安を受け朝方は軟調だったが、下値での押し目買い意欲は依然として強く相場の底堅さが確認された。そして、指数寄与度の大きい銘柄がプラス転換、あるいは上げ幅を拡大するなどし、指数を押し上げた。市場では、6月末を控えて機関投資家などの売りが出やすいが、出遅れ投資家による買い意欲も強く、売り買いが交錯してる印象だったとの声が聞かれた。下げ幅は朝方に一時380円を超えたが、下値では押し目買いも入り、指数は揚げる場面も多かった。結局、前営業日比82円安の3万2698円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:円安けん制発言を警戒した値動き

ドル/円は、日本の通貨当局による円安けん制を警戒して海外短期筋などがドル売り・円買いに動き、一時143.24円付近まで下落した。日経平均株価の下げ幅が一時300円を超えたことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、143.45円付近へ値を戻した。その後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら143円台半ばを中心に取引された。午後は、新規の手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、小幅に値を下げて143.30円台を注視とする狭いレンジで推移した。今晩の米国株動向を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.09ドル台前半で方向感のない展開となった。

 

年末に1ドル=152円予想:JPモルガンが円安方向に修正

JPモルガン証券は26日付のリポートで、円相場の見通しを円安方向へ修正した。2023年時点で1ドル=152円台に下落するとの見通しを提示。従来予想の142円から10円、一気に円安・ドル高方向に修正した。24年半ば時点では153円と、従来予想(142円)から11円、円安・ドル高の水準に修正した。同社は9日時点で円相場の見通しを引き下げたが、ここ2週間で各国の中央銀行が金融引き締めに前向きな「タカ派」姿勢を強めるなか、金融緩和を続ける日銀の「ハト派」姿勢とのコントラストがより明確になってきたと説明した。

 

ドル買い比率は低下:前週のFX概況

QUICKが26日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、『ドル/円』取引の総建玉に占めるドルの買い比率は23日時点で42.8%だった。前の週末から0.7ポイント低下した。日米の金融政策の方向性の違いから円安・ドル高が進み、個人投資家は利益確定の円買い・ドル売りを増やした。円相場は23日に1ドル=143.87円近辺まで下げ、2022年11月以来およそ7カ月ぶりの円安・ドル高水準をつけた。米連邦準備理事会(FRB)高官による金融引き締めに前向きな発言が目立ち、円売り・ドル買いが活発だった。もっとも「このところ円相場が一方方向に下げていることで、個人のドル売りの動きがやや弱まっている印象がある」との見方から、ドル買い比率の低下率は小幅にとどまった。「豪ドル/円」取引での取引での豪ドル買い比率は、前の週末から7.4ポイント上昇の54.5%、「ユーロ/円」取引のユーロ買い比率は4.6ポイント上昇の24.1%だった。「ポンド/円」取引のポンド買い比率は0.3ポイント低い36.0%だった。

 

トルコはリラ安で基調間高まる犠牲祭の祝日

今週トルコではイスラム教にとって重要な行事とされる「犠牲祭(クルバン・バイラム)」の祝日が28日から始まる。その前日も株式市場は短縮取引、金融機関も半休である。通常であれば市場参加者も少なくなり、流動性が薄いながらも動意に乏しい展開と言えるところだが、今回は緊張感を高めたまま犠牲祭期間を過ごすことになる。久しぶりに注目された22日のトルコ中銀金融政策公表は、主要政策金利を8.5%から15%まで引き上げた。2年3カ月ぶりの引き締めだったが、上げ幅は期待ほどではなく、追加利上げへの明確な言及もなかった。エルカン新中銀総裁がエルドアン大統領にかなり気を使ったことがうかがえる。結果に対する市場の反応はかなり冷たく、売り圧力が強まったリラは最安値を更新し続けた。トルコの超インフレを抑制するには大幅利上げが必要ということは明白である。しかし今回は、荒治療による副作用を嫌ったシムシェキ財務相の意向も反映されていたのかもしれない。このままリラ安が止まらないようだと、さすがにシムシェキ/エルカンの新チームも何かしらの手を打ってくると思われるが、今週はビジネスデイが事実上の1日というなかでは難しい。

 

南アではインフレが抑制されポジティブ材料も制裁リスクが重し

先週発表された5月の消費者物価指数(CPI)は、市場予想や前月よりも大幅に低下し、前年比で6.3%の上昇に抑えられた。また、食料インフレも依然として高水準ながらも、1年超ぶりの上げ幅まで抑えられた。インフレ抑制は南アにとっては久々の経済的なポジティブニュースである。ただし、依然として米国を始め西側諸国からの制裁リスクも残っていることで、一方的なランド買いにはなりにくく、先週のレンジ内でもみ合いとなる可能性が高そうである。

 

米大統領選前の7月の米国株はそれほど強くない経験則:アノマリー分析

相場のアノマリー分析に詳しいトレーダーズ・アルマナックによれば、1950年以降のNYダウは7月に月間で平均上昇率が1.3%高で比較的強いため、『サマーラリー』に対する期待を高めそうだと言うが、実際はそれほど強くないため誇大広告には注意する必要があるという。大統領選前の1950年以降の7月相場を調べたところ、NYダウは上昇11回、下落が7回で勝率61.6%、平均上昇率は1.0%だった。ナスダック総合指数は1971年以降で上昇7回、下落が6回で勝率53.8%にとどまり、平均上昇率は1.0%だった。選挙前の7月相場はNYダウ、S&P500指数共に7位、ナスダックとラッセル1000指数は共に9位にとどまり、比較的上昇は見込めるものの、大幅高にはなりづらい経験則があるようだ。

 

欧米市場イベント

16:15   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:00   6月独Ifo企業景況感指数(予想:90.6)
17:15   ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○27日02:00   米財務省、2年債入札
27日02:30   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○ECB中央銀行フォーラム(ポルトガル・シントラ、28日まで)

 

 

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