FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りに押される展開に

米国株安を受けて下げて始まった後、序盤ではすぐに切り返してプラス圏に浮上した。しばらく小高い水準でもみ合ったが、買いが続かず失速した。アドバンテストや東京エレクトロンなど半導体株の下げが大きく、これが指数の重荷となった。一方、半導体株以外は買われる銘柄も多かったことから、場中は半導体株への売り圧力が強まる場面では下げ幅を3桁に広げ、半導体株が下げ渋ってくれば持ち直すといった動きが続いた。結局、前営業日比310円安の3万3264円と3日ぶりに反落して終了した。東京証券取引所が発表した6月第2週(12日~16日)の投資部門別株式売買動向(東証・名証の合計)によると、海外投資家(外国人)は6414億円買い越しとなり、買い越しは12週連続。個人投資家は5777億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続。信託銀行は821億円の売り越しとなり、売り越しは12週連続となった。

 

東京外国為替市場:円安けん制警戒感から利益確定売りで上値の重い展開

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、141.90円付近へ値を上げた。ただ、今晩予定されている米経済指標や米FRB当局者の発言を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、日本の通過当局による円安けん制が警戒されているため、海外短期筋などがドル売り・円買いに動き、141.60円台へ押し戻された。前日の海外時間に約半年ぶりの高値142.37円をつけた反動で、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが入りやすい面もあった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を上げて141.70円台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。野口日銀審議委員が「円安のメリットも少しずつ顕在化している」「昨年のイールドカーブコントロール(YCC)修正はあくまでも金融引き締めではない」などと発言したが、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、1.099ドルは挟んだもみ合い相場となった。

 

国営メディアや政府顧問からも中国で刺激策求める声高まる

国の政策担当者に景気刺激策を求める声が高まる中、今度は一部の有力国営メディアや政府顧問からもそうした措置が必要との見解が示された。中国証券報と上海証券報、証券時報の同国3大証券新聞はいずれも21日に一面で著名エコノミストを引用して、中国人民銀行(中央銀行)は一段の金融緩和を行う可能性が高いと報じた。それとは別に、中国共産党序列4位の王滬寧・政治局常務委員は20日の会議で消費回復に向けた政策提案について協議したと新華社通信が伝えた。また、著名エコノミストで習近平国家主席ら指導部メンバーの相談役を務めていた劉元春氏も、今週の地元メディアとのインタビューで利下げなどの政策支援を呼び掛けていた。

 

トルコ中銀の政策金利の発表に注目集まる:リラは乱高下の様相

日本時間20時にトルコ中銀が政策金利を発表する。エルカン新総裁のもとでは初となる金融政策委員会(MPC)は、久しぶりに市場の注目である。元米銀バンカーであるエルカン氏は、米金融機関アナリストの経歴を持つシムシェキ新財務相の後押しを受けてトルコ中銀総裁に就任した。インフレ抑制を金融引き締めで行うという正統的な政策回帰が確実視されている。通信社によるエコノミスト調査の中心値を取ると、トルコの主要政策金利は現行8.5%から21%まで引き上げられるとの予想である。ただし欧米主要銀行では25%という見方であり、また予測値全体では10%台前半から30%までかなり幅がある。トルコ国内からは20%には届かないという見通しも少なからずあり、もしその通りとなればネガティブサプライズと受けとめられるかもしれない。いずれにせよ、シムシェキ財務相の『徐々に移行』という意味がどの程度なのかを確かめることになる。

 

南アフリカのインフレ緩和傾向:経済にとっては良いニュース

昨日発表された南アフリカの5月消費者物価指数(CPI)は前年比で+6.3%となり、市場予想や4月よりも大幅にインフレが緩和された。インフレ圧力の後退は南ア経済にとっては良いニュースであり、この傾向が続くかが今後注目される。また、食品および非アルコール飲料のインフレ率も前年比+11.8%と、前回+13.9%よりも減速した。今月は南ア準備銀行(SARB)金融政策委員会(MPC)は開かれず、来月に発表される6月CPIがより次の政策決定に影響する。今月に入りランド安が反転し、通貨安によるインフレ高進に歯止めかかったことがデータで示されれば、SARBも7月は利上げを一時停止する可能性が高まるとの声が市場では出ている。

 

カナダ中銀の6月利上げはデータの裏付け十分と判断:議事要旨

カナダ銀行(中央銀行)が6月21日公表した7日開催の政策会合議事要旨によると、十分なデータの裏付けがあると判断してこの会合で利上げを実行したことが分かった。
カナダ銀行は1月以来政策金利を据え置いていたが、7日に25bp引き上げて、22年ぶりの高水準となる4.75%とした。議事要旨では、成長率と物価上昇率が想定より強いとの認識が示された。さらに『家計消費の伸びが再び高まり、消費者信頼感は上昇、ディスインフレの勢いが鈍るという状況を踏まえて、金融政策はまだ適度に引き締められていない、というのが政策委員会メンバーの見解だった』と記された。政策委員会はこの会合でいったん利上げのシグナルだけを発し、7月に実施することも検討したが、即時利上げを妥当化する十分なデータがあると認定した。また『追加利上げが必要かどうかは今後のデータに基づいて評価する』という。短期金融市場は現時点で、カナダ銀行が7月12日の次回会合で25bpの利上げに動く確率を約72%と見込んでいる。

 

パウエルFRB議長はタカ派姿勢を維持:下院金融委証言

連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は下院金融委員会での半期議会証言で2%のインフレ目標達成には長い道のりで、緩やかな金融引き締めが必要となる可能性がある、と主張した。連邦公開市場委員会(FOMC)のほぼ全当局者が年末までにいくらかの利上げが適切と見ていると加え、さらに、FRBのスタッフ見通しで見られた少なくともあと2回の利上げも適切だとの考えを示した。労働市場は一部で緩和の兆候が見られるものの、依然ひっ迫していると言及した。また、6月連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送った理由の説明を議員から求められた際、利上げペースを鈍化させるためだと答えた。また、FRBは今までpause休止という文言を使用したことはなく、今回もしていないとし、あくまでも6月の金利据え置きは利上げペースの鈍化軌道の一環であることを再度強調した。

 

欧米市場イベント

○15:45   6月仏企業景況感指数(予想:100)
○16:30   スイス国立銀行(中央銀行、SNB)、政策金利発表(予想:1.75%に引き上げ)
○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:3.50%に引き上げ)
○17:00   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○18:15   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:21.00%に引き上げ)
○20:00   英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:4.75%に引き上げ)
○20:00   英中銀MPC議事要旨
○21:00   ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:26.0万件/178.2万人)
○21:30   1-3月期米経常収支(予想:2175億ドルの赤字)
○22:55   ボウマンFRB理事、講演
○23:00   5月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲0.7%/年率換算425万件)
○23:00   5月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.7%)
○23:00   6月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲17.0)
○23:00   パウエルFRB議長、米上院銀行委員会で金融政策に関する半期に一度の証言
○23:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○23:30   デギンドスECB副総裁、講演
○24:00   EIA週間在庫統計
○23日04:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:11.25%で据え置き)
○23日05:30   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○米印首脳会談(ワシントン)
○中国、香港(端午節)、休場

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