FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:下値では先高観根強く押し目買い

朝方には米株安を嫌気した売りが先行したが、下値では根強い先行観を背景に押し目買いが入り、プラスに切り返した。ただ、中国景気への警戒感がくすぶる中、香港・上海株が軟調に始まると日経平均はマイナスに転じる場面もあったが、短時間で再びプラスに切り返した。米著名投資家のウォーレン・バフェット氏による商社株買い増しが19日に伝わり、海外勢の日本株買い継続への思惑は根強く、持たざるリスクも意識された。結局、前営業日比186円高の3万3575円と続伸して終了した。信用評価損益率は16日申し込み時点でマイナス7.34%と、前の週マイナス9.0%からマイナス幅が1.66ポイント縮小した。改善は3週連続となった。

 

東京外国為替市場:持ち高調整もあり141.75円を挟んだもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ141.70円近辺へじり高となった。日経平均株価の持ち直しで、リスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。午後は、日経平均株価が上げ幅を拡大すると、さらにドル買い・円売りが進んで一時141.86円付近まで上昇した。日米金融政策の違いが鮮明になっていることで、海外短期筋のドル買い・円売りも観測された。ただ、今晩予定されているパウエルFRB議長の議会証言を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて141.75円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.0915ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

海外勢の国債買い4カ月連続:5月は1兆3000億円

海外投資家による日本国債買いが続いている。日本証券業協会が20日に発表した統計によると、5月は短期国債を除く国債を約1兆3000億円を買い越した。4カ月連続の買い越しで、1年3ヵ月ぶりの長さとなる。日銀の金融緩和が長期化するとの観測が根底にある。内外の金利差が拡大し、海外勢から見た投資妙味が増している。日商協がまとめた公社債の投資家別売買動向によると、海外勢は5月に日本国債を1兆3077億円買い越した。2月から買い越しに転じ、3月の買越額は6兆830億円と過去最大を記録。欧米の金融不安でリスク回避志向が強まったため。その後も買い越しが続き、21年11月~22年2月の4カ月連続の買い越し以来の長さとなる。

 

22日のトルコ金融政策発表待ちの様相

米格付け会社ムーディーズは20日、トルコが正統的で予測可能な政策にシフトしていることが証明されば、同国にとって「信用にプラスであることは明白」との声明を出しました。明日のトルコ中銀の金融政策発表で、利上げ決定が確実視されているなかで中銀がどの程度まで政策金利を引き上げてくるのかが注目である。シムシェキ財務相/エルカン中銀総裁のコンビがエルドアン大統領と距離を保ったまま政策を遂行できるのか、試金石となる。

 

南アでは5月CPI指標発表が注目される

欧州入り後すぐに発表される南アフリカの5月消費者物価指数(CPI)が注目される。政府や民間の調査予想では4月の6.8%上昇から低下するとの声が強い。インフレ圧力が後退することは、南ア経済にとっては良いことで、予想通りであればランドにとってもネガティブな動きにはなりにくいと思われる。判断が難しいのは、予想よりも高い結果となった場合である。これまでは、インフレ高進による南ア経済の減速懸念でランド売りに反応していたが、ここ最近は再び利上げ期待によるランド買いに反応することもあり、値動きを予測するのは難しい状況である。

 

メキシコの格付けは据え置き:英格付け会社フィッチ

格付け会社フィッチ・レーティングスは16日、メキシコの格付けを『BBB-』で据え置くことを発表した。見通しは『安定的』とし、今年のメキシコ成長率を2.5%、2024年を1.8%と予想している。フィッチは主要格付け機関の中でメキシコに対する格付け評価が最も厳しく、現在の『BBB-』は一般的に『投資適格級』とされる中で最も低いランクであり、一段階下の『BB+』から『投資不適格級(ジャンク級)』と呼ばれる。

 

米住宅着工件数は市場予想を大幅に上回る:US Dashboard

米商務省が20日に発表した5月の米住宅着工件数は前月比21.7%増の163万1000戸(年率換算、季節調整済み)と市場予想140万戸を大きく上回った。2022年4月以来、およそ1年2カ月ぶりの高水準を回復した。最も大きな割合を占める一戸建ての着工件数が同18.5%増の99万7000戸、変動の激しい5世帯以上の集合住宅も同28.1%増の62万4000戸と揃って全体を押し上げた。先行指標である許可件数は前月比5.2%増の149万5000戸を上回った。一戸建ての許可件数は同4.8%増の89万7000戸と4カ月連続で増加し、22年7月以来の高水準となった。5世帯以上の集合住宅の許可件数も同7.8%の54万2000戸と3ヵ月ぶりに増加に転じた。米30年固定の住宅ローン金利の上昇一服を背景に住宅需要が戻りつつある。とりわけ一戸建てに関しては中古住宅の在庫不足により個人からの旺盛な需要が示された。米連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクルが停止に近づいており、資金調達環境の改善期待から米建設業者の景況感も改善している。住宅市況には先行き不透明感が残る一方、底入れから安定化へと明るさが着実に増え始めている。

 

米中古車評価額を超えるローンを抱える人が増加:遅延増加の予兆懸念

米消費者の間で自動車の評価額を超えるローンを抱える人が増えていることが、米信用調査会社トランスユニオンと市場調査会社JDパワーが20日公表した報告書で分かった。背景には、コロナ禍で劇的に値上がりした自動車の価値が下がっていることがある。調査によると、中古車のローン資産価値(LTV)比率は第1四半期(1‐3月)に125となり、2021年同時期の104から上昇した。LTV比率が125とは、借り手のローンが自動車価値の125%に相当することを意味する。トランスユニオンのシニアバイスプレジデント、サトヤン・マーチャント氏は発表文で「自動車価格の値上がりと全般的なインフレ高止まりを受けて、中古車を入手するのに平均を上回るLTV比率で始める消費者が増えている」と指摘した。LTVの上昇は、今後延滞が増える予兆となる可能性がある。自動車の評価額を超えるローン残高を示すネガティブエクイティは近年、大きく膨らんでおり、中にはディーラーに足を踏み入れる時点ですでに1万ドル(約140万円)相当のネガティブエクイティを抱えている消費者もいる。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比8.4%)
○15:00   5月英CPIコア指数(予想:前年比6.8%)
○15:00   5月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.5%/前年比11.2%)
○17:00   5月南アフリカCPI(予想:前月比0.4%/前年比6.5%)
○17:00   カジミール・スロバキア中銀総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   4月カナダ小売売上高(予想:前月比0.2%/自動車を除く前月比0.4%)
○22:45   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、ナーゲル独連銀総裁、講演
○23:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米下院金融サービス委員会で金融政策に関する半期に一度の証言
○22日01:25   グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○22日02:00   米財務省、20年債入札
○22日06:30   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:13.75%で据え置き)
○英中銀金融政策委員会(MPC)

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