FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:アジア株軟調から利益確定売りが優勢に

前日の米国市場が休場で手掛かりに乏しい中、高値警戒感がくすぶり利益確定売りが優勢となった。ただ、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが19日、5大商社の持ち株比率を引き上げたことが明らかになり、朝方には商社株の物色が目立った。ただ、アジア株の軟調な値動きや円安一服も重しになった。先週の中銀イベントを通過し、大きく懸念されるような指標の発表なども控えていないことから、先高観がある中で、押し目を買う動きが続いたという。結局、前営業日比18円高の3万3388円と小幅に反発して終了した。

 

東京外国為替市場:日米金融政策の違いが意識されドルは底堅く推移

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、142.20円まで上昇した。仲値発表後も、ドル/円の堅調地合いは続き、一時142.25円程度まで値を上げて昨年11月以来となるドル高・円安をつけた。その後、西村経産相が「為替は安定することが重要、過度な変動や投機的な動きはしっかりと注視しなければならない」と発言すると、持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、142円を割り込んで一時141.58円付近まで下落した。日経平均株価の下げ幅拡大もリスク回避の円買いを誘った。午後は、日米金融政策の違いが鮮明になっていることで、海外短期筋などがドル買い・円売りに動き、142.15円付近へじり高となった。日経平均株価の下げ幅縮小や低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドル/円の押し上げにつながった。ただ、高値警戒感から上値ではドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて142.00円付近でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、この後に参入してくる欧州勢待ちの様相を呈しており、1.09ドル台前半で小動きに終始した。

 

ドル/円と日経平均の相関が最も強いが10年スワップとの相関も強い:JPモルガン

JPモルガン証券は20日付のリポートで、ドル/円との60日間の相関の強さを見ると、依然として日経平均株価との相関が最も強いものの、10年のスワップ金利差との相関も強くなってきているとの見解を示した。リポートでは、ドル/円の1日のボラティリティを見ると、6月の日銀会合後は7月の日銀会合でもっともボラティリティが高くなっているとし、「1.3円の値動きを織り込んでいる」とも指摘した。その他のクロス円と金利差の関係を見ると、足もとで豪ドル/円やポンド/円はフェアバリューより円安水準で推移しているとも指摘。利上げを継続する世界の中央銀行と、緩和を継続する日銀の違いが意識されている可能性があるという。

 

23年の中国GDP成長率見通しを引き下げ=JPモルガン

JPモルガンは最新リポートで、2023年の中国国内総生産(GDP)成長率見通しをこれまでの5.9%増から5.5%増に引き下げた。5月の主要経済指標が軒並み失望的な内容となるなか、市場で政策期待が高まったことに言及した。すでに公表された電気自動車(EV)関連の支援策や、中期貸出制度(MLF)などの金利の引き下げ、企業の運営コストの引き下げに向けた措置に続き、不動産や消費関連の景気刺激策が打ち出されるとの見方が強まっていると指摘した。ただ、スピーディな政策支援があるとしても、GDP成長率見通しを引き下げる必要があるとした。JPモルガンは、短期間内に政策支援が強化されるほか、7月末にはより幅広い政策の見直しが行われる可能性があるとの見方を示した。また、中国の内生的な経済成長力が23年10-12月期から24年1-3月期に改善する可能性があるとみて、23年末に中国株式市場が上昇トレンドに入ることに期待を示した。

 

ECBはストレステストで厳しい結果に備えるよう銀行に要請

欧州の銀行監督当局は、今年のストレステスト(健全性審査)の初期段階を無事に乗り切った銀行に、最終結果はより厳しくなる可能性があると警告した。欧州中央銀行(ECB)は金利上昇の恩恵を受けている銀行に、より信頼性のある結果を出すための調整の準備をするよう示唆したと、事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。多くのバンカーは当局に同意せず、当局が業界に圧力をかけるためにストレステスト結果を悪くしようとしていると反論していると、一部の関係者が述べた。テスト結果は衝撃に対する銀行の備えの度合いを示し、資本要件に影響する。健全であることが認められれば、景気の不透明性が増す中でも大型の株主還元に道が開ける。

 

22日のトルコ中銀による金融政策発表待ち

市場では、今週22日のトルコ中銀による金融政策発表待ちという雰囲気が広がりつつある。政策金利に対する見通しは、今のところ一部通信社によるエコノミスト予想の中心値は『現行8.5%から20%に引き上げ』となっている。ただし、米JPモルガンやバンク・オブ・アメリカなどは25%まで引き上げを予想し、ゴールドマン・サックスに至っては40%もあり得るとしている。シムシェキ・トルコ財務相は就任時の挨拶で、同国は合理的な政策に戻る以外に選択肢はないと述べていた。その財務相を後ろ盾としているエルカン新中銀総裁が思い切った利上げに踏み切る可能性は高い。しかしながら一部市場参加者からは、急速な政策転換が経済に与える影響を懸念する声も出てきた。そういったなかシムシェキ財務相は先週末に銀行や主要企業のトップ級と会合を開いたことが報じられた。その会合でシムシェキ財務相は、好ましくない副作用を避けるためにゆっくりとした調整を行うことを示唆した。新体制にとって市場の信頼を得るためにも、今回の金融政策はとても重要となっている。

 

南アフリカではインフレ率が抑制されるとの予想

21日に発表される5月の南ア消費者物価指数(CPI)ですが、経済調査局(BER)のエコノミストは、食料品価格と燃料価格ともにインフレ率が抑制されるとの予想を立てている。食料品価格は前月比0.7%上昇が予想されるものの、前年比は4月から12‐14%程度鈍化するとの見立てである。また、ガソリン価格も同様に低下するとの予想で、前年比では4月の6.8%から6.4%に減速するとの見通しである。多くのエコノミスト予想も6.5%程度となり、予想通りになれば南ア経済にとっては朗報となる。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.7%)
○17:00   4月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○17:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○17:00   ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○17:30   5月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比2.3%)
○18:00   ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○18:00   4月ユーロ圏建設支出
○19:30   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○21:30   5月米住宅着工件数(予想:140.0万件、前月比▲0.1%)
         建設許可件数(予想:142.5万件、前月比0.6%)
○23:30   シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○21日00:45   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、イベントに参加
○21日02:10   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演

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