FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:目新し材料難から利益確定売りが相場の重し

足もとの株高を主導していたハイテク株や大型株に利益確定売りが出て相場の重しとなった。一方、押し目買いも流入して日経平均を支えた。市場では、日米の中銀イベントを通過し、目先は目新しい材料が出る可能性は低いとの見方で上値が重くなったとの声もあった。日経平均株価は33年ぶりの高値圏にあたるため利益確定を目的とした売りも出やすく、下げは幅は一時400円を超えた。結局、前営業日比335円安の3万3370円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米国市場休場で持ち高調整の動きに

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、一時141.97円付近まで上昇して昨年11月以来の高値をつけた。ただ、心理的節目の142.00円に接近すると上げは一服した。仲値発表後は、日本の通過当局による円安けん制を警戒したドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて141.80円台を中心とする狭いレンジで推移した。午後は、日経平均株価の大幅安がリスク回避の円買いを誘い、一時141.45円付近へじり安となった。本日は米国市場が休場となるため、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが入りやすい面もあった。しかも、下値では日米金融政策の違いを意識したドルの押し目買いが入り、値を切り返して141.60円前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、この後に参入してくる欧州勢待ちの様相を呈しており、1.0940ドルを挟んで小動きに終始した。

 

7月にYCCを修正の標準シナリオを維持:ゴールドマン

日銀が15~16日に開いた金融政策会合でイールドカーブ・コントロール(YCC)など金融政策の現状維持を決めた。ゴールドマン・サックス証券は16日付のリポートで、「当社はもとより植田総裁の記者会見に注目していた。全体としては、4月会合後の記者会見と比べればハト派的なトーンは幾分薄まり、データ・ディペンデントな姿勢が強まったと見ている」との見解を示した。リポートでは、YCC修正に関して「7月の展望レポートが大きな鍵を握るという当社見解は不変だ」と指摘した。7月にYCCを修正するという同社の標準シナリオを現時点で維持するとしつつ、「ただし今後7月会合に向けて、新たな物価情報を十分に精査し、その結果、標準シナリオを変更する可能性がある点には留意されたい」とも指摘。具体策としては、コントロール年限の短期化(10→5年)を引き続き予想しているとしながら、「当社が想定しているのは、フォワードガイダンスと2種類のオペ(ともに5年までの、指値オペと共通担保資金供給オペ)を組み合わせた柔軟かつソフトなYCCスキームだ」としつつ、今後必要に応じて見通しをアップデートするという。

 

ドル買い比率は低下:前週のFX概況

QUICKが19日算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉によると、『ドル/円』取引の総建玉に占めるドル買いの比率は16日時点で43.5%だった。前の週末から10.0ポイント低下した。日米での金融政策の方向性の違いから円安・ドル高が進んだことで、個人投資家は相場の流れに逆らう「逆張り」や利益確定の円買い・ドル売りを増やしたようだ。16日の外為市場で円は一時1度Dる=141円台後半と2022年11月以来の円安・ドル高水準をつけた。米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)など欧米の主要な中央銀行が積極的な金融引き締めを続けるなか、日銀は大規模な金融緩和策を維持。ドルやユーロなど主要通貨に対する円安が進むなか、個人は「逆張り」の円買いに動いた。対円では外貨買い比率が概ね低下した。「ユーロ/円」取引では、ユーロの買い比率が前週末8.4ポイント低い19.5%と約1カ月半ぶりの低水準となった。「豪ドル/円」取引で豪ドル買いの比率は同0.1ポイント低い47.1%となった。だが、「英ポンド/円」取引では、ポンド買いの比率が36.3%と同7.7ポイント上昇した。

 

22日のトルコ銀政策金利会合が注目集まる

22日発表のトルコ中銀政策金利を待つことになる。元米銀バンカーだったエルカン氏がシムシェキ財務相の推薦のもとトルコ中銀総裁に就任し、市場は金融引き締めへの転換を見込んでいる。米JPモルガンなどは、現行8.5%の主要金利が25%まで引き上げられると予想している。ある程度の幅はあるものの、多くのエコノミストが20%台までの利上げを見込んでいる。格付け会社フィッチ・レーティングスも、「トルコでは政策金利がリラや外貨準備高への圧力を緩和し、インフレに対処するための手段として再び利用できるようになるだろう」と声明を出している。ただしフィッチは、新たな政策の信頼性と予測可能性の回復には時間がかかるとし、1度の利上げだけではトルコ中銀が本当の意味で独立性を取り戻したか分からないと述べた。

 

今週の南アの注目は21日のCPI:インフレ加速なら再利上げも

今週の南アからの経済指標では、21日発表予定の5月消費者物価指数(CPI)に要注目である。6月は南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)が行われないが。インフレが加速すれば次回のMPCでの再利上げの可能性が高まる。より警戒しなくてはならないのが、政治状況である。米国の超党派の議員が先週、ロシアに便宜を図っている南アに対して、アフリカ成長機会法(AGOA)の適応を除外する書簡を正式に提出した。もし適応除外となれば、南アから米国への免税アクセスが閉ざされることになる。南ア経済に大打撃となることで、今後もその動向には要警戒となる。

 

メキシコ政府の税制インセンティブ公布も恩恵不十分との声も

メキシコ政府は、現政権の4大プロジェクトの1つである『テワンテペック地峡開発プロジェクト』の一環として、10カ所の工業地帯に税制インセンティブを提供する政令を公布した。これにより、開発業者が各地域で工業団地を建設し、特定の生産活動を行う企業には所得税(ISR)と付加価値税(IVA)の優遇措置が提供される。特定の生産活動に従事する企業は、所得税(ISR)の恩典として、設立から3年間は100%免除、その後3年間は50%または90%の免除が適用される。また、設立から6年間は設備投資の即時償却が可能である。付加価値税(IVA)の恩典としては、地域内での取引に対して4年間の間はIVAが課税されない。しかし、この政令には自動車産業に対する恩恵が不十分との指摘もある。特に、インセンティブの適用期限が定められているため、自動車産業の企業にとっては利益を上げるまでの時間が長く、実質的な減税の恩恵を得られる期間が短いとされている。また、自動車産業が求めるサプライチェーンの開発や人材育成には時間がかかるため、インセンティブのためだけに後発地域に進出する企業は少ないと考えられている。

 

MOVE指数が4カ月ぶり水準に低下:野村証券

16日の米国市場で、債券版恐怖指数のMOVE指数が4日続落し、前日比2.70安の104.43で終了した。野村証券は19日付のリポートで、「MOVE指数は約4カ月ぶりの水準まで低下。米国は7月会合での利上げさえ織り込めば、9月会合(19~20日)はまだ遠くグロース株にとっては安心しやすい時期に入る」との見解を示した。リポートでは、日銀のハト派姿勢はグロース株および不動産株にメリットが大きいとも指摘した。現在のマクロ環境と類似点が多い2005年後半、もっとも株高が堅調なセクターは不動産だったといい、「米・中不動産市場が安定した際の日本の不動産株のポテンシャルに中長期の観点で注目しておきたい」とみていた。

 

FRBの年内2回利上げには懐疑的でも年内利下げ転換の観測は後退:US Dashboard

米連邦準備理事会(FRB)は14日(日本時間15日)の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の誘導目標を5.00~5.25%に据え置くことを決定する一方、FOMCメンバーの政策金利見通し(ドットチャート)で年内あと2回の利上げを示唆した。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が算出する「Fed ウオッチ」では7月のFOMCで政策金利が5.25~5.50%へと0.25%引き上げられる確率が16日時点で74%へと上昇した。しかし9月、11月のFOMCでは5.25~5.50%の確率は、それぞれ68%、67%と大勢を占め、5.50~5.75%へ引き上げられている確率はともに10%に満たない。他方、12月のFOMCでは5.25~5.50%の確率が48%へ上昇し、年内の利下げ観測が後退していることも明らかだ。米景気減速懸念を背景とした利下げ転換観測から「米長期金利は上がりづらい」とされてきたが、同観測の後退で「米長期金利は下がりづらい」へと雰囲気が変わるのかもしれない。

 

欧米市場イベント

○17:00   シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○20:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○20:40   シュナーベルECB専務理事、講演
○21:30   5月カナダ鉱工業製品価格
○21:30   5月カナダ原料価格指数
○22:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○23:00   6月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:51)
○20日03:00   デギンドスECB副総裁、講演
○米国(ジューンティーンス独立記念日の祝日)、休場

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ