FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:3連休控え利益確定売り優勢

前日の米国株の下落を受けて投資家心理が悪化し、当面の利益確定を急ぐ売りが優勢となった。寄り付き直前に北海道で最大震度5弱の地震が発生したことが相場全体の重荷になる場面もあった。市場では、最近の急ピッチの上昇を受けた短期的な調整局面と受け止めているようで、むしろ『押し目買いの好機』といった指摘もあった。また、国内地銀などが、米長期金利上昇によって保有する外国債券の含み損を埋めるための株売りを出しやすい局面にある。ただ、関連した株売りは一時的との見方もある。東京市場は3連休を控えて引けにかけて下げ幅を広げた。結局、前日比191円安の2万3783円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:株価下落を横目にやや円買い優勢

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、一時114.10円まで上昇した。米長期金利が小幅ながら上昇したことも、ドル買いにつながった。しかし、今晩の米9月雇用統計の内容を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を動きは限定的となった。その後は、日経平均株価や香港ハンセン指数の下落をながめ、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて113.80円台へ軟化した。午後は、日経平均株価の動向をにらみながら113.90円前後でもみ合いの展開となった。ユーロ/ドルは、米長期金利の先高観から持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り1.1498ドル程度まで値を下げた。欧勢待ちの様相となっている。

 

米長期金利上昇に中国が米債売却の噂も

4日に米10年債利回りが大幅に上昇し、2011年7月以来の高い水準となる3.23%まで上昇した。昨日発表された9月ADP全米雇用報告、9月米ISM非製造業指数が好調な結果となったことや、パウエル米FRB議長のタカ派寄りの発言が背景とみられるが、中国が相当の米債売りを行ったとの噂もある。真偽は定かではないが、トランプ米大統領の強気姿勢に対し、短期的な駆け引きの手段として、米債を売った可能性はあるかもしれない。ただ、中国が米債を大量に売却することはないとの見方が圧倒的となっている。なぜなら、米債を大量に売却すれば、世界最大の米国債保有国である中国にとってもデメリットが大きい。人民元の不安定な動きにつながり、自国の経済にも大きな打撃を受ける可能性がある。中国の7月の米国債保有残高は1兆1700億ドルだった。2カ月連続の減少となり、1月以来の低水準となっている。中国が米債の大量売却に踏み切れば、米中貿易摩擦が、本格的な政治・経済の米中戦争に発展する可能性も否定できない。 また、中国が米債を大量に売却すれば、米国は「国際緊急経済権限法(IEEPA法)」、「米国自由法」という二つの法律で中国の米国債を凍結・没収することができる。「国際緊急経済権限法(IEEPA法)」は、安全保障や外交、経済上の重大な脅威に対し、大統領の権限で金融制裁できる法律で、「米国自由法」は安全保障上の脅威に対し、資産を凍結・没収できることを定めた法律で、米国債も対象になる。

 

米国市場では9月雇用統計が公表

米国市場では9月の雇用統計が公表される。市場では、非農業部門雇用者数が前月比+18.1万人と、再び20万人割れとなると見ている。ただ、米雇用統計の先行指標は軒並み強い雇用統計を示唆している。米労働省が発表した最新の新規失業保険申請件数は前週比8000件減の20.7万件と予想外に前回21.5万件から減少した。49年ぶりの低水準付近で安定している。米失業保険継続受給者数も165.0万人と、増加予想に反して、前回166.3万人から減少した。 先行指標のADP雇用統計の9月分は前月比+23.0万人と、予想外に再び20万人台の伸びとなり、増加幅が2月来で最大を記録した。注目されるISM非製造業景況指数の雇用は62.4となった。8月の56.7から上昇し、雇用指数が導入された1997年以降、過去最高に達した。また、ISM製造業景況指数の雇用は58.8と、8月58.5から上昇し、59.7となった2月来で最高となった。
もし、非農業部門雇用者数が予想外に再び20万人台の増加となった場合、本年あと1回の利上げや来年3回の利上げ見通しを後押しし、一段のドル買いに繋がると見る。焦点は引き続き賃金となる。平均時給は前月比+0.3%、前年比+2.8%と、8月+0.4%、+2.9%から小幅鈍化が予想されている。FOMCの見通し通り、賃金は依然、労働市場の過熱を示していないなら、緩やかな利上げペースが継続される可能性が高い。

 

米国市場では貿易収支が公表

7月実績は▲501億ドルとなった。6月との比較で輸出額はやや減少、輸入額はやや増加した。民間航空機の輸出減少や自動車、原油などの輸入増加によって貿易赤字幅は拡大した。8月については対中貿易赤字が7月の約368億ドルから減少することが確実視さえていて、輸出は若干増加すると予想されていることから、貿易赤字額はやや縮小する可能性が高い。

 

欧米市場イベント

○15:00   8月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.2%)
○15:00   8月独製造業新規受注(予想:前月比0.5%)
○15:45   8月仏貿易収支(予想:45億ユーロの赤字)
○15:45   8月仏経常収支
○15:45   8月仏財政収支
○16:15   9月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%)
○18:00   インド中銀、金融政策決定会合(予想:6.75%に引き上げ)
○18:35   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○20:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:00   9月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.41%)
○21:30   8月カナダ貿易収支(予想:5億カナダドルの赤字)
○21:30   9月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2万5000人/失業率5.9%)
○21:30   8月米貿易収支(予想:535億ドルの赤字)
○21:30   9月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化18万5000人/失業率3.8%/平均時給、前月比0.3%/前年比2.8%)
○6日01:30   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○6日01:40   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○6日04:00   8月米消費者信用残高(予想:150億ドル)
○5-8日   9月ロシアCPI(予想:前月比0.1%)
○中国(建国記念日)、休場
○7日 ブラジル大統領選
○7日 豪州が夏時間に移行

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