FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:地合いの強さから買いが強まる

前日の米国株の流れを引き継ぎ、指数寄与度の大きい銘柄や主力株が堅調で、指数を押し上げた。市場では、新規材料が出たというわけではなく、地合いの強さから買い圧力が強まっている印象との声が聞かれた。一方で、足もとの水準は実質的な真空地帯で振幅も大きくなりやすく、大幅下落のリスクも警戒されるとの声もあった。結局、前営業日比584円高の3万3018円と3営業日続伸して終了した。1990年7月以来およそ33年ぶりの高値を更新した。

 

東京外国為替市場:139円台半ばでのもみ合い相場

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、139.65円付近へ上昇した。日経平均株価の大幅高もリスク選好の円売りを誘った。仲値発表後は、米長期金利低下を睨みながら、小幅に値を下げて139.50円台を中心とする狭いレンジで推移した。午後は、今晩発表される5月米消費者物価指数(CPI)を控えた持高調整などのドル売り・円買いに押され、一時139.33円付近まで下落した。ユーロ/ドルのユーロ高・ドル安が波及した面もあった。ただ、日経平均株価の大幅高でリスク選好のが高まっていることもあり、下値を追う動きは限られた。その後は、日米金融政策の違いを意識したドル買い・円売りも見られ、値を切り返して139円台半ばでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続観測が高まっているため、海外短期筋などがユーロ買い・ドル売りに動きから、1.0795ドル付近へじり高となった。

 

YCC修正は7月会合でも見送られるリスク:SMBC日興証券

日銀が15~16日に開く金融政策決定会合ではイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正・撤廃が見送られるとの見方が優勢。ただ、4月会合では多くの市場参加者は『修正なし』との事前見通しを持ちつつも、「もしあった場合」のヘッジとして持っていたショートポジションのカバーが会合後に行われた結果として、大幅な金利低下が生じた。SMBC日興証券では、6月会合で見送られた場合は「少なくとも4月会合で既に一定のカバーが行われている分、ヘッジポジションは減少していると見るべきではあり、会合後の金利低下はあっても限定されることにはなる」とみている。ただし、ポジションのカバーの有無ということだけでなく、YCC修正が今回会合でも見送られた場合、「今年度の第1四半期が、円債投資の妙味が十分に高まる機会のないまま早くも終了することにはなる」と指摘。7月会合でのYCC修正予想が多いことから、あと1カ月半待つという投資家の選択になる可能性はあるが「もし7月会合でも修正が見送られた場合に金利低下が進んでしまう可能性を考慮して、四半期末を契機に円債投資を増加させ始めるという選択肢もあり得る」と述べていた。

 

トルコでは財政・金融政策の正統派回帰できるか

リラが対ドルで史上最安値を更新し続ける中、5.90円付近と伸び悩んで終えた。トルコ中銀の外貨準備高不足から金融当局がリラ安定化策を停止するとの観測は高まったままであり、リラ売りの流れを強めている。エルドアン大統領が米国の金融機関経験があるシムシェキ氏とエルカン氏をそれぞれ財務相と中銀総裁に据えたということは、財政・金融政策の正統派回帰を意味する。しかしながら、これまでリラの下落を無理やり支えていた反動が起きており、リラ売りが収まるまではまだ暫く時間がかかるのかもしれない。なお、一部で噂されていた新トルコ中銀総裁後に緊急会合が開かれるとの話は立ち消えたようである。予定通り22日にエルカン新中銀総裁のもとで金融政策委員会(MPC)が開かれると市場では見ている。


 

南アでは電力制限緩和でランドの支援材料

国営電力会社エスコムによる電力制限については、今のところ停電が実施された場合でも夜間のみのようである。国内の経済活動に大きな支障なしとなれば、通貨ランドにとっても安心材料となる。ロシアのウクライナ侵攻について南アフリカが中立的な姿勢を示しつつあることも、米国との関係改善が期待されてランドの支援材料となる。アフリカ諸国首脳による平和使節団がロシアとウクライナを訪問するとされ(日程は未定)、ラマポーザ南ア大統領は首脳陣のなかで中心人物の1人である。南ア大統領報道官は先日、使節団は戦闘行為の中止を説得したいと述べており、今後の動向が注目される。

 

メキシコの航空安全性評価は回復ならず

米連邦航空局(FAA)はメキシコの航空安全性評価の変更を見送った。ブティジェッジ米運輸長官に7日にメキシコを訪問。ロペスオブラドール大統領と格付け変更について話し合う予定との報道が伝わり、メキシコの『カテゴリー1』回復が期待されたが、会談後に大統領は『航空安全評価に関して依然として米国と違いがあった』との見解を示している。メキシコの航空安全性評価は現在『カテゴリー2』。2021年5月に最上位の『カテゴリー1』から引き下げられ、現在まで「カテゴリー1」の回復は果たせていない。『カテゴリー2』の場合、その国の航空会社は新航路の開設・増便などが認められないため、米国からの観光客が順調に回復する中で航空・観光業界にとって懸念材料となっている。

 

商業用不動産で減損計上へ:米ゴールドマンCEO

米ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は12日、米CNBCのインタビューで2023年4~6月期に商業用不動産のローンや出資で減損は計上すると明らかにした。金利が上昇する中「不動産市場の中でも特に商業用不動産にかかる圧力は疑いの余地がない」と説明。「ホールセール部門を通じた融資にいくらかの減損がみられるだろう」と語った。商業用不動産では借り入れコストが上昇しているほか、リモートワークへの移行で稼働率の低下が鮮明。一部の不動産オーナーは借り換えせずに物件を手放しており、債務不履行(デフォルト)の影響が金融機関にも現れ始めている。ソロモン氏によると、ゴールドマンは1~3月期に不動産ローンで4億ドルに近い損失を計上したという。ゴールドマンはオルタナティブ(代替)投資を強化する一環として不動産への出資も拡大してきた。ソロモン氏「今四半期や次の四半期の環境を考慮すると、これらの投資案件を評価損として計上することになると思う」と説明。一方で、ゴールドマンの事業全体でみると「管理可能だ」と語った。

 

米消費者の1年先のインフレ期待は2年ぶりの低水準:US Dashboard

12日に米NY連邦準備銀行が発表した消費者調査で、1年先のインフレ期待は4.1%と4月調査の4.4%から低下し、2021年5月以来2年ぶりの低水準となった。米金融市場では期待インフレ率の上振れが薄れ、13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げをスキップする(据え置く)との見方が強まった。一方、3年先のインフレ期待は3.0%と4月の2.9%から上昇した。5年先のインフレ期待も2.6%から2.7%へ上昇した。1年先の所得の伸びに対する期待は2.8%と4月の3.0%から低下した。1年先の世帯収入の伸びに対する期待は3.3%へ上昇したが、過去12カ月平均の3.6%を依然として下回ったままだった。米消費者は、短期的には物価高騰が沈静化すると見込むものの中期的にはインフレへの警戒感が続き、自身の所得・収入の伸びには慎重な見通しが示された。

 

米国市場では5月消費者物価コア指数が公表:予想は前年比+5.3%

4月実績は+5.5%だった。住居費の上昇率は鈍化しつつあるが、コアインフレ率の大幅な低下は期待できない。ただし、複数の項目で物価上昇率は鈍化しており、この状況は5月も変わらないため、コアインフレ率は4月実績を下回る見込み。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.1%/前年比6.1%)
○15:00   5月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00   2-4月英失業率(ILO方式、予想:4.0%)
○18:00   6月独ZEW景況感指数(予想:▲13.1)
○18:00   6月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:00   グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員候補、議会証言
○19:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21:30   5月米CPI(予想:前月比0.2%/前年比4.1%)
      エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.4%/前年比5.3%)
○23:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言
○24:00   ディングラ英MPC委員、講演
○14日02:00   米財務省、30年債入札
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目

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