FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:先週末のSQ通過で安心感から買い優勢に

米消費者物価指数(CPI)や米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を週内に控えて手掛け難さが意識された一方、日本株の高パフォーマンスが海外勢の興味を促し続けているとして「買いが買いを呼んでいる」との声も聞かれた。前週末の株価指数先物・オプション6月物の特別清算指数(SQ)算出を無難に通過したとの受け止めも引き続き安心感につながった。結局、前営業日比168円高の3万2434円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利が上昇へ転じるとドル買い優勢に

ドル/円は、米長期金利が小幅に低下したことがドル売りを誘い、一時139.27円付近まで下落した。しかし、仲値に向けて本邦輸入企業などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、139.40円付近へ値を戻した。仲値発表後は、低下していた米長期金利が上昇へ転じると、ドルは買い戻されて一時139.64円付近まで値を上げた。ただ、9日の欧州市場でつけた高値139.27円に接近すると上げは一服した。午後は、米長期金利や日経平均株価を睨みながら、139円台半ばを中心に取引された。今週予定されている5月米消費者物価指数(CPI)や米連邦公開市場委員会(FOMC)の重要イベントを前に、様子見ムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.07ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀の保有ETFの平均取得価格=19,600円

2010年に白川日銀総裁がETF購入に踏み出した時、「臨時、異例の措置」と表明していた。しかし、13年後の2023年には日本銀行は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を上回る日本最大の株主になっている。2023年3月31日時点の日経平均株価の終値は28,041円、評価益は16兆356億円なので、平均取得価格は日経平均株価換算で19,600円程度と推定される。

 

円相場の見通しを下方修正:JP モルガン

JPモルガン証券は12日付のリポートで、円相場の見通しを大きく下方修正した。ドル/円は23年7~9月期(3Q)時点で135⇒142円、23年10~12月期(4Q)時点で134⇒142円とした。ドル/円は24年4~6月期(2Q)まで142円と横ばいでの予想となった結果、来年前半までにクロス円は大きく円安に振れる見通しといい。ユーロ/円は160円、ポンド/円は180円、豪ドル/円は100円程度まで円安が進むと予想した。円安の理由として、①植田新日銀総裁のスタンスが今のところ予想よりハト派的に見えること、②日本のインフレ率が予想以上に上昇しており実質金利が大幅にマイナスとなっていること③その他の中銀による金融引き締めの動きが予想以上に長く続いていること、などが背景にあるという。

 

ドル買い比率が上昇:前週のFX概況

QUICKが12日算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、「ドル/円」取引の総建玉に占めるドル買いの比率は9日時点で53.5%だった。前の週末から5.5ポイント上昇し、5月上旬以来およそ1カ月ぶりの高水準となった。6月の米利上げは見送られるとの観測から円高・ドル安が進んだ局面で、相場の流れに逆らう「逆張り」戦略を取る個人投資家は円売り・ドル買いに動いた。前週は円相場が周辺に1ドル=140円台半ばまで下落した後、138円台後半まで水準を切り上げる場面があった。米国で景気や雇用指標が下振れし、米連邦準備理事会(FRB)は13~14日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置くとの見方が強まった。円高が進んだ局面で、FXを手掛ける個人は円売り・ドル買いの持ち高を増やした。豪ドルは売り越しに転じた。「豪ドル/円」取引で豪ドルの買い比率は前の週末から6.3ポイント低い47.2%となり、2022年9月以来のおよそ9カ月ぶりの低水準となった。6日には豪準備銀行(中央銀行)が市場予想に反して0.25%の利上げを決めた。豪ドル相場が急伸したのを受け、個人は逆張りの円買い・豪ドル売りに傾いた。

 

ECBは6月は0.25%利上げで7月も連続利上げの可能性:大和証券

15日のECB理事会では5がtうに続き0.25%の利上げが決定されると、市場では9割織り込んでいる。日本時間午後9時15分に結果が公表される。9時45分からのラガルド総裁の記者会見でもさらなる金融引き締めへの含みを残すというのが概ね既定路線だ。現時点では、7月の会合でも0.25%の連続利上げが決定されると予想している。中銀預金金利は現行の3.25%から2回の0.25%利上げを経て3.75%、主要リファイナンス・オペ金利だと4.25%がターミナルレート(利上げの終着点)と想定する。利上げが見送られ、利上げ打ち止めが示唆されるのは9月会合となりそうだ。同時に公表される3ヵ月ごとのECBスタッフのマクロ経済予測では、消費者物価指数(HICP)の鈍化がより明確なものとなろう。すでに物価のピークアウトは確認されていはるが、もう少し連続した鈍化を確認する必要がある。5月のHICPは前年同期比6.1%上昇と4月の7.0%上昇から大きく低下し、コアHICPも同5.3%上昇と3月の5.7%上昇をピークに鈍化傾向である。しかし、サービスインフレの高止まりを警戒するECB高官は依然として多い。サービス物価のさらなる上昇が基調的なインフレを押し上げる可能性は排除できない。実際、1~3月期の賃金上昇率は前年同期比4.3%上昇と、22年10~12月期の同3.1%上昇から上昇ペースを加速させている。賃金上昇ペースを相殺するだけの需要減退がみこめなければインフレの上振れリスクは高いままである。ウクライナ戦争以降の減速懸念に対してユーロ圏経済は意外と底堅いという印象である。ECBが利上げ打ち止めから、直ちに利下げに転じるとは想定しづらい。早くても24年後半だろうが、マーケットでは24年春頃からとの見方も少なくないように思われる。FRBが利下げに転換するとECBも追随するとマーケットは警戒するのだろうが、そのシナリオに現実味があるかは別問題である。

 

トルコ新中銀総裁の今後の動向に注目:どこまで利上げ出来るか?

エルドアン大統領が中銀総裁として指名したエルカン氏は、大手米投資銀行の元バンカーであり、米地銀の共同CEOも務めた。経歴から正統派金融政策に回帰するとの見方が強まっており、今後の焦点は『トルコ中銀がどのようなペースで金利を引き上げていくか』に移りつつある。現地メディアは週末、エルカン氏を推薦したシャムシェキ財務相は、現行8.5%の政策金利を2カ月以内に20%に引き上げることを大統領から承認されたと報じている。記事では新財務相は10月までやりたいようにできるとし、必要であれば金利は40%まで上げることができるとも述べた。米ゴールドマン・サックスもトルコに関するレポートで、新政権は金融と財政に大幅な調整が必要であると理解しており、40%まで金利引き上げの可能性を指摘した。問題はやはり、エルドアン大統領がどの程度まで我慢できるのかである。シャムシェキ財務相は就任時、大統領はシャムシェキ氏が実施する政策に2年間介入しないと約束したと述べていた。しかしながらこれまで大統領が決定してきた人事を見る限り、その前には何らかの口出しはある。

 

中長期的な南アランドの上値の重さは変わらず

先週のランドは想定以上に値幅を伴って買い戻された。電力制限(計画停電)の水準の緩和や1-3月期経常収支の改善などがランド買いを促した。大きな買い要因とは言えないが、ショートポジションが溜まっていたと思われる。経常収支はGDP比年率換算で1%と、前四半期の改定値の2.3%から改善された。この主な要因としては、貿易黒字が2022年第4四半期の342億ランドから2023年第1四半期には1032億ランドまで急拡大したこと。しかしながら、南アは様々な経済的逆風に直面しており、今後は貿易黒字も減少を辿り、経常赤字の拡大につながる可能性が高いとの予想も多くみられる。ファンダメンタルズが強まったわけではなく、中長期的なランドの上値の重さは変わらないのではないだろうか。

 

欧米市場イベント

○15:30   シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○16:00   4月トルコ経常収支(予想:45.0億ドルの赤字)
○16:00   4月トルコ失業率
○21:00   4月インド鉱工業生産(予想:前年同月比1.5%)
○21:00   5月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.37%)
○23:00   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○13日00:30   米財務省、3年債入札
○13日02:00   米財務省、10年債入札
○13日03:00   5月米月次財政収支(予想:2360億ドルの赤字)
○ロシア(ロシアの日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ