FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:自立反発とSQ通過による安心感から買い優勢に

6月限日経平均先物・オプションの最終決済に関わる日経平均のSQ算出を通過した安心感で買いが優勢となったほか、前日までの株安の反動で自立反発狙いの買いが先行した。市場では、前日までの2営業日で値下がりし、そのまま調整に入るとみていた投資家も多かったようだが、実質はSQ通過後に反発したことで買い安心感が広がっているとの声が聞かれた。結局、前営業日比623円高の3万2265円と3日ぶりに大幅反発した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇からドル買い優勢に

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、139.30円付近へ上昇した。米長期金利が上昇し、日米金利差が拡大したこともドルの押し上げにつながった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、139.30円台を中心とする狭いレンジで取引された。来週予定されている5月米消費者物価指数(CPI)や米連邦公開市場委員会(FOMC)の重要イベントを前に、様子見ムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.07ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日本1‐3月期GDP改定値は予想を上回るも個人消費はさえないまま

日本の内閣府が6月8日発表した1-3月期国内総生産(GDP)改定値は前期比年率+2.7%と速報値+1.6%から上方修正された。民間在庫のプラス寄与が速報値から拡大したことなどが要因となった。民間在庫変動の寄与度は前期比+0.4%と速報値の+0.1%から拡大した。1日に発表された法人企業統計で設備投資の増加が確認されており、設備投資は速報値の+0.9%から+1.4%に上方修正された。一方、個人消費は速報値の+0.6%から+0.5%に下方修正された。個人消費については、2022年4月から23年4月まで実質賃金総額は前年比マイナスが続いており、実質的な賃金減少が個人消費を抑制していることは否めない。

 

FRBなど各国中銀は物価抑制に向け金融引き締め維持を:IMF

国際通貨基金(IMF)は8日、米連邦準備理事会(FRB)をはじめとする世界各国の中銀に対し、金融政策の『軌道を維持』し、インフレとの戦いで引き続き油断しないように要請した。IMFのジュリー・コザック報道官は、米国ではインフレの勢いが弱まっているが、依然として喫緊の懸念事項と指摘。定例会見で『インフレが予想以上に続くようであれば、FRBはより長期にわたり金利をより高い水準に引き上げる必要があるかもしれない』と述べた。また『世界経済には中期的に課題があると見ており、そのためには現時点で政策措置を講じる必要がある』と強調。『インフレを決定的に低下させるために、中銀は金融引き締めを継続すべき』とした。

 

トルコ中銀のネット外貨準備高はマイナス幅拡大

昨日トルコ中銀が公表した週間データから一部通信社が算出したところによると、2日時点の中銀ネット外貨準備高は前週比13億ドル減少し、マイナス幅は57億ドルまで拡大した。2022年末からだと330億ドル減となり、準備高が公表された2002年以降では最大のマイナス額となる。トルコ中銀の新総裁には、予想されていた通り、シムシェキ財務相が推していたハフィゼ・ガイ・エルカン氏が就任することになった。1982年生まれのエルカン氏は、トルコ中銀にとって初めての女性総裁である。米投資銀行ゴールドマン・サックスで約9年間勤務し、米地銀の元共同CEOも務めた経歴を持つ人物が総裁となることで、正当な金融政策への回帰が期待される。しかしながらインフレ高止まりやリラ暴落など、カブジュオール前総裁が残していった課題は山積みである。エルカン新総裁にとってはかなりタフな仕事が待ち受けていることは確かである。一番の問題は、金利を嫌うエルドアン大統領の圧力だと思われる。

 

南アフリカはスタグフレーションに陥るも政治・経済両面で苦悩が続く

昨年来の南アフリカ経済は、感染一服による経済活動の正常化や世界経済の回復にも拘らず、電力不足の深刻化により計画停電を余儀なくされ、幅広く経済活動が制限される状況が続いている。さらに、商品高や通貨ランド安も重なりインフレが昂進し、中銀は断続的利上げを余儀なくされるなど、物価高と金利高の共存が内需の足かせとなる状況も続く。電力不足は輸出にも影響を与えるなど景気の重石となっている。1-3月の実質GDP成長率は前期比年率+1.44%と2四半期ぶりのプラス成長に転じるも、足下の景気は頭打ちの動きが続いている。中国向けを中心に輸出が拡大したほか、公的需要を中心に内需は堅調な動きをみせる一方、雇用悪化や物価高・金利高が重なり家計消費は力強さを欠く。政府は電力不足への対応を強化する動きをみせるが、国営電力公社は冬場の計画停電を前例のないレベルで実施する必要性を示しており、足下の企業マインドも幅広く下振れするなど実体経済を取り巻く状況は厳しさを増している。景気が頭打ちするなかで物価高が続くスタグフレーション状態が一段と深刻化する可能性は高まっている。

 

米CPIの上昇率はさらに鈍化か:US Dashboard

13日に、5月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。4月の総合指数は前年同月比の上昇率が4.9%と、10カ月連続で鈍化した。5月の市場予想は前年同月比4.7%で、さらに鈍化の見込み。前月まで高止まりしていたエネルギーと食品を除くコア指数の上昇率も市場予想は4.8%と、前月の5.5%から大幅に鈍化する見通しである。景気減速の意識が鮮明になりつつあり、米連邦準備理事会(FRB)が今月の金融政策会合で利上げを決定を見送るという観測が、さらに高まるとみられる。ドル売りが強まり、円高・ドル安になる可能性もでてくる。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月ノルウェーCPI(予想:前月比0.3%/前年比6.2%)
○16:00   4月トルコ鉱工業生産(予想:前月比0.6%)
○17:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.50%で据え置き)
○19:45   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21:00   4月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.4%)
○21:30   5月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.32万人/失業率5.1%)
○21:30   1-3月期カナダ設備稼働率(予想:82.0%)
○10日01:00   5月ロシアCPI(予想:前月比0.3%)
○10日01:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演

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