FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:過熱感を警戒した売りに押される展開

米国株はまちまちで、寄り付きは小幅な下落した。すぐにプラス圏に浮上したが、場中は上げ幅を広げてくると売りに押され、マイナス圏に沈むと買いが入るといった動きを繰り返した。ただ、後場からは急速な上昇を受けて、過熱感を警戒した海外の短期筋とみられる投資家が株価指数先物に継続的な売りを出し、日経平均を下押しした。市場では、ここから上値を試す買いを入れる手掛かりは見当たらないとの見方があった。結局、前営業日比272円安の3万1641円と続落して終了した。東京証券取引所が8日に発表した5月第5週(29日~2日)の投資部門別株式売買(東証・名証の合計)によると、海外投資家(外国人)は5352億円買い越した。買い越しは10週連続となった。個人投資家は388億円の買い越しとなり、買い越しは8週ぶりとなった。信託銀行は7344億円の売り越しとなり、売り越しは10週連続となった。

 

東京外国為替市場:日本株下落からリスク回避の円買いやや優勢

ドル/円は、前日にカナダ中銀が予想外の利上げを実施したため、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの思惑からドル買い・円売りが入り、140.10円付近へ値を上げた。しかし、来週予定されている5月米消費者物価指数(CPI)や米連邦公開市場委員会(FOMC)の重要イベントを前に、積極的な上値追いは手控えられた。その後、日経平均株価がさえない動きになると、利益確定やポジション調整のドル売り・円買いで139.85円付近へ押し戻された。午後は、日経平均株価の下げ幅拡大がリスク回避ののドル売り・円買いを誘い、一時139.67円付近まで下落した。ただ、今晩の米経済指標や米株価動向を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、日米金融政策の違いを意識したドル買い・円売りも見られ、値を切り返して139.80円前後で取引された。ユーロ/ドルは、1.07ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

株のSQ予想は149万程度の売買で買い越しの可能性:7日時点推計

株価指数先物・オプション先物6月物は9日、特別清算指数(SQ)算出を迎える。SQ算出に関連した9日寄り付きの現物株式の売買注文は、「日経平均株価」の裁定取引関連で採用1銘柄あたり149万株程度で買い越しとなりそうだ。2日時点の建玉とも5~7日の手口をもとに主要証券会社の現物株の売買を推計した。SQ算出日の寄り付きに現物株の買いが目立つとみられる証券会社はソシエテ・ジェネラル(76万株)、ABNアムロ(20万株)、シティグループ(17万株)など、一方、売りが想定されるのは、ゴールドマン・サックス(91万株)、BofA(32万株)、HSBC(10万株)などの証券会社である。

 

トルコは自由な通貨取引に移行の途中と市場は考えている

これまでリラ相場は当局による規制や介入など管理相場と言えるものだったが、現在は『自由な通貨取引に移行の途中』と市場参加者は考えている。シムシェキ新財務相が先日述べた『トルコ経済は合理的な立場(基盤)に戻る以外に選択肢はない』ということも、国家による市場統制を緩めるという意味なのかもしれない。ドル/リラは、これまで無理やり押さえつけられた反動がどの程度まで続くかを見極める状況が続きそうである。ただ、トルコ中銀もリラの暴落を『ただ見ているだけ』というわけにもいかず、緊急の会合が開かれるとの思惑が高まっている。新たなトルコ中銀総裁の選考はある程度進んでいるようであり、新総裁が就任次第に緊急会合、そして利上げというシナリオを予想する向きが増えつつある。ただしエルドアン大統領のことなので、最後になって『やはり引き締めはダメ』と言い出すリスクは残っている。

 

IMFは南アでは経済的および社会的困難が増大していると警告

国際通貨基金(IMF)の年次協議では、南アについて経済的および社会的困難が増大していると警告する報告書を発表した。また、成長の鈍化、企業や消費者の信頼感の低下、政治リスクの高まりが政府財政に影響を与えている、とも示している。また、昨日急遽発表された4-6月期南アBER企業信頼感指数は、前回の36を下回る27まで落ち込み、2020年以来の水準まで低下した。このように、昨日だけでも南アにとってはネガティブ要因は事欠かない。また、ロシアとの良好な関係を継続していることで制裁リスクもあり、調整以外ではランドは買う地合いではないと思われる。調整が一段落すれば、ランドは再び売り場探しとなりそう。

 

メキシコでは国外労働者による送金額が4月としては過去最高

メキシコ銀行(中央銀行)が1日に発表した4月の国外労働者によるメキシコへの送金額は50億330万ドルとなった。前月の51億8610万ドルからはやや減少したものの、4月の結果としては過去最高額を記録前年同月比では6%増となり、これで前年同月の水準を36カ月連続で上回る結果となった。メキシコ国外労働者の大半は米国に居住しており、昨年は送金額の95%が米国からだった。足もとの送金額の順調な推移は米雇用状況の底堅さを示しているとも言える。また、同日に公表された5月メキシコ製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.5となり、4カ月連続で景況改善・悪化の分水嶺となる50を上回った。4月(51.1)からはわずかに悪化したものの、メキシコ製造業の底堅さは維持されている。

 

低水準のVIX指数と高止まりのMOVE指数:US Dashboard

「恐怖指数」とも呼ばれる米国株の予想変動率を示すVIX指数の低下が鮮明になっている。6日には終値で2020年2月以来の14割れとなり、7日も小幅に低下している。米債務上限問題の決着や、米連邦準備理事会(FRB)が6月に利上げを見送る意向を示したことで、先行き不透明感が後退した。米国債の予想変動率を示す「MOVE指数」もシリコンバレーバンク(SVB)の破綻で急騰する前の水準まで低下したが、FRBが利上げ開始した22年3月以前の水準を大きく上回る。利上げに対する米債市場の警戒感は根強い。

 

5月の米中古車価格が下方修正で6月の米CPIに反映される可能性も:ノムラ

5月の米中古車価格指標『マンハイム指数』が前月比2.7%減と速報値(2.1%減)から下方修正された。ノムラ・セキュリティーズは7日付リポートで「マンハイム、JDパワー、ブラックロックを含む様々なソースからの(中古車の)卸売価格と小売価格に基づいて、13日の5月米消費者物価指数(CPI)は中古車価格について前月比4.0~5.0%と再び強い上昇を示す可能性が高い」と指摘した。その一方で、「6月のCPIからは卸売価格と小売価格のリード・ラグの関係から中古車価格が下落する可能性が高い」とも指摘した。リポートでは「6月のCPIは6月と7月米連邦公開市場委員会(FOMC)の間に発表されることを考えると、これは重要なことだ」として、CPIの先行きに関心を示した。

 

欧米市場イベント

○18:00   1-3月期ユーロ圏GDP確定値(予想:前期比横ばい/前年比1.2%)
○18:00   1-3月期南アフリカ経常収支(予想:1725億ランドの赤字)
○21:00   5月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比5.90%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.5万件/180.0万人)
○23:00   4月米卸売売上高(予想:前月比0.4%)
○ポーランド(聖体祭)、ブラジル(キリスト聖体祭)、休場
〇米英首脳会談(ホワイトハウス)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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