FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米下院での債務上限停止法案可決を好感

寄り付き後は方向感のない値動きとなったが、前場中ごろに米下院での債務上限停止法案の可決が伝わると、日経平均株価は上げ幅を広げた。ただ、その後は売りに押されて小幅高でもみ合い展開になった。市場では、米債務上限停止法案の下院での可決については想定通りとの指摘も開かれた一方、過去に上限引き上げ後に国債の格下げが行われたこともあり「マーケット参加者は米国債の格下げがあるかどうかに、より注目している」という。結局、前営業日比260円高の3万1148円と反発して終了した。5月第4週(22日~26日)の投資部門別株式売買動向(東証・名証の合計)によると、海外投資家(外国人)は3816億円買い越しとなり、買い越しは9週連続となった。個人投資家は442億円の売り越しとなり、売り越しは7週連続。信託銀行は2421億円の売り越しとなり、売り越しは9週連続となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利の持ち直しでドル買い優勢に

ドル/円は、日経平均株価の上げ幅拡大がリスク選好の円売りを誘い、139.30円付近へ上昇した。しかし、仲値にかけて本邦輸出勢のドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれ、139.10円台へ押し戻された。仲値発表後は、米債務上限引き上げ法案が下院で可決されたことを好感したドル買い・円売りが入り、139.55円付近へじり高となった。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドル押し上げにつながった。午後は、日経平均株価の底堅い動きを眺めたドル買い・円売りが持ち込まれ、139円台半ばから139.70円付近へ上昇した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドル買い要因となった。ユーロ/ドルは1.06ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国景気下振れで短期調整圧力も:野村証

野村証券は31日付のストラテジーリポートで、同日に中国国家統計局が発表した5月の製造業購買担当者景気指標(PMI)が2カ月連続で好不調の境目である50を割り込んだほか、5月の長江商学院サーベイの設備投資意欲指数も4カ月ぶりの低下となるなど、中国関連の銘柄に「マクロ面から要注意シグナルが重なっている」と指摘した。日本企業全体の中国売上高比率は86%にとどまり、必ずしも巨大とは言えないとしつつも、個別株では中国エクスポージャーが大きい銘柄に調整圧力となりえるとの見方を示した。リポートでは、中国エクスポージャーが大きい銘柄のうち、3月中旬の商品市況ピークアウト以降に株価の調整が小幅にとどまっており、アナリストが楽観視していない銘柄に短期の調整リスクがあるとし、マツダやトクヤマ、住友電気工業、TSテック、不二製油などの候補を挙げた。

 

金総書記の体重140キロ以上:深刻な睡眠障害か

米ニューヨーク・ポスト紙は31日、北朝鮮の金正恩挑戦労働党総書記の体重は140キロ以上で深刻な睡眠障害に苦しんでいるようだと報じた。韓国の国家情報院が分析したもので、アルコールとニコチンに依存し不眠症になる悪循環に陥っている可能性があるとしている。目のまわりにくまがあり疲れた様子が確認され、腕に傷とあざがあるのはストレスの長江だと国家情報院の委員が語ったと伝えた。

 

独消費者物価も伸び鈍化:ECBの利上げサイクル終了の可能性も

5月31日に発表されたドイツの5月の消費者物価指数(ICP)は前年比6.3%上昇と市場予想の6.7%上昇を下回った。同日発表されたフランスのHICPも前年比6.0%上昇と市場予想6.3%上昇を下回り、4月の6.9%上昇から鈍化した。前日(30日)発表のスペインのHICPも前年比2.9%上昇と市場予想の3.3%上昇を下回り、4月の4.1%上昇から鈍化していた。ユーロ圏のインフレ鈍化が強く意識され、1日に発表されるユーロ圏のHICPも4月の7.0%上昇から6.3%上昇へ鈍化するとみられている。引き続き高水準ではあるものの、欧州中央銀行(ECB)による金融引き締めのサイクルが終了に近づいている可能性を意識する市場参加者が増えそうだ。

 

欧州市場では5月ユーロ圏消費者物価コア指数:予想は前年比+5.5%

4月実績は前年比+5.6%だった。エネルギー価格が落ち着きを見せており、インフレ率は低下しつつある。ただし、サービス価格の高止まりが続いているため、全体のインフレ率は4月実績と差のない水準なる可能性がある。

 

トルコリラは不信感が強く下値への警戒感が高い

1-3月期トルコGDP(前年比)は+4.0%と予想を上回ったものの、相場の反応は限定的だった。リラ/円は今年前半に支持帯として働いていた6.70円台を割り込んできており、下値への警戒感が高まっている。米金利低下や原油価格の下落など、通常であればリラ・ポジティブとなる要因も全く無視されている。エルドアン政権が今後5年間も続くことに対する為替市場の不信感はかなり強く、現状水準から7%以上離れているが、過去最安値6.17円が完全に意識されている。通常通りであれば本日、トルコ中銀は26日時点の外貨準備高を公表する。一部通信社の算出によれば前回、中銀の外貨保有総額から外貨建て債務を差し引いた「ネットの外貨準備高」がマイナスに転じている。エルドアン大統領はサウジアラビアなどの湾岸諸国に支援を要請したようであるが、どの程度まで効果があったのかを確かめることになる。

 

欧米各国による南アへの制裁に注意

南アフリカで警戒が引き続き必要なのは、欧米各国による南アへの制裁である。米国は中国・ドイツに次いで南アにとっては3番目の貿易相手国である。南アフリカの米国向け輸出の約25% (592 億ランド) が、米国によるアフリカ成長機会法 (AGOA) と一般特恵制度 (GSP) の恩恵を受けている。また、欧州連合(EU)の輸出のうち、なんと98.7%(429億ランド) 欧州連携協定(EPA)の恩恵を受けている。南アフリカ準備銀行(SARB)が指摘するような国際銀行間通信協会(SWIFT)の除外などの大きな制裁がすぐに実行されるのは難しいかもしれないが、南アの輸出に際して与えられていた優遇制度が取り消されるリスクは高まっている。

 

米家計貯蓄は今年の秋までに枯渇:ロスMKM

ロス・MKMは5月31日付リポートで、コロナ禍において給付金などを通じて積み上げられた米国の過剰貯蓄に関して、「超過貯蓄は急速に減少しており、我々の推計によれば今年の秋までに枯渇するとみている。最も将来を見据えた先行指標(イールドカーブ、マネーの伸び)が示唆している景気循環はピークを迎えるか可能性が高いという予測とまさに的中している」との見解を示した。サンフランシスコ連銀が発表した家計の貯蓄調査を踏まえ、ロス・MKMが試算した結果では、米家計の過剰貯蓄はピーク時の2兆ドルから足元では5000億ドル強まで減少したという。このペースで行くと、「10月までに超過貯蓄はなくなるだろう」と分析した。パンデミック(政界的旅行)後に熱狂的に支出が回復したサービス産業が減速を始める頃かも知れないと指摘した。リポートでは「今年の夏か秋には景気後退が始まる可能性が高いと考えている。我々の見解では、リスク市場はそのような不測の事態に対して価格を設定していない」との見解を示した。

 

米住宅ローン金利は22年11月以来の高水準:US Dashbosrd

5月31日に米抵当銀行協会(MBA)が発表した5月26日までの週の住宅ローン申請件数は前週比で3.7%減少した。3週連続での減少で、住宅ローン金利の上昇が重荷となった。30年物国定住宅ローン金利は7.0%を超えて提示されるケースもあり、平均で6.9%だった。これは2022年11月以来の高水準。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独小売売上高(予想:前月比1.0%/前年比▲5.0%)
○15:00   5月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.1%)
○16:00   5月トルコ製造業PMI
○16:30   5月スイス製造業PMI(予想:44.5)
○16:50   5月仏製造業PMI改定値(予想:46.1)
○16:55   5月独製造業PMI改定値(予想:42.9)
○16:55   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○17:00   5月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:44.6)
○17:30   5月英製造業PMI改定値(予想:46.9)
○17:30   4月英消費者信用残高(予想:15億ポンド)
○17:30   4月英マネーサプライM4
○18:00   5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比6.3%)
○18:00   5月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比5.5%)
○18:00   4月ユーロ圏失業率(予想:6.5%)
○18:30   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○20:30   5月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(5月4日分)
○21:00   1-3月期ブラジル国内総生産(GDP、予想:前期比1.3%/前年同期比3.0%)
○21:15   5月ADP全米雇用報告(予想:17.0万人)
○21:30   1-3月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比▲2.5%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.5万件/180.0万人)
○21:30   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○22:45   5月米製造業PMI改定値(予想:48.5)
○23:00   5月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:47.0)
○23:00   4月米建設支出(予想:前月比0.2%)
○24:00   EIA週間在庫統計
○24:00   5月メキシコ製造業PMI
○2日02:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○2日03:00   5月ブラジル貿易収支(予想:90.00億ドルの黒字)

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