FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:高値警戒感や円高進行が相場の重しに

指数寄与度の大きい銘柄が軟調に推移したことや、為替が前日の取引時間中と比べやや円高に振れたことが相場の重しとなった。その後、米下院議事運営委員会が30日、連邦債務上限を一時的に停止する法案を7対6の賛成多数で可決したとの報道が伝わると、日経平均は下げ渋る場面もみられた。ただ、前引けにかかては、再び下げ幅を拡大し、ほぼ全面安の展開となった。為替が前日の取引時間中と比べてやや円高に振れたことが相場の重しとなった。月間では日経平均は5カ月連続で上昇した。5月の月間上昇率は7.0%と2020年11月以来の大きさだった。信用評価損益率は26日申し込み時点でマイナス10.57%と、前の週のマイナス8.89%からマイナス幅が1.68ポイント悪化した。悪化は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下でドル売り優勢に

ドル/円は、日経平均株価のさえない動きや米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いが持ち込まれ、139.60円付近まで下落した。その後は、日米金融政策の違いを意識したドルの押し目買いが入り、139.80円台へ値を切り返した。本日は月末にあたり、仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが、需給に大きな偏りは見られなかった。午後は、日経平均株価の大幅安でリスク回避のドル売り・円買いが強まり、一時139.35円付近まで下落した。米長期金利が一段と低下したことも、ドルの押し下げ要因となった。ユーロ/ドルは、海外勢などから月末に絡むユーロ売り・ドル買いフローが持ち込まれ、1.07ドルを割り込んで一時1.0685ドル付近へ下落した。前日に発表されたユーロ圏の指標が低調な数字だったことも、ユーロの重石となった。

 

日銀の政策修正時期は7月予想が最多:QUICK調査

日銀の植田総裁が就任した後も、大規模な金融緩和を維持する姿勢を堅持している。ただ、イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正は事前アナウンス無しで行われると、市場参加者の多くが考えている。5月のQUICK債券月次調査によると、日銀が長期金利の誘導目標を修正する時期について「7月」との回答が35と最も多かった。10月(17)、12月(15)が続き、2023年中に修正するとの見方は8割を占める。足元で円安が進むなか、早ければ6月の金融政策決定会合に向けて、政策修正の思惑が広がる可能性もある。

 

エルドアン大統領が内閣改造期待あるもリラの上値重い展開

エルドアン大統領が「内閣改造で経済政策をリードする強いチームを作る」という公約への期待感から、イスタンブール株式市場は大幅に続伸した。そして、ドル建てのトルコ債にも買い戻しが入ったものの、通貨リラへの売り圧力は止まらない。外貨準備高は湾岸諸国から支援を受けているが、産油国がいくら潤沢な資産があるとはいえ限りはある。今後、外国資本が戻ってくるかどうかは、やはり正常な金融・財政政策が行われるかにかかってくるのではないか。そうなると先日報じられた、財務相そして副首相(経済担当)として2009年から10年弱もトルコ経済を支えたシムシェキ氏の登場が待たれる。株式市場では期待が高まっているが、逆にエルドアン大統領が同氏の説得に失敗してしまうと、トルコ資産への失望売りが強まってしまうかもしれない。

 

南アがロシア寄りの行動ならSWIFTから除外されるリスクも

今週ケープタウンで開催されるBRICS閣僚会議と、今年後半にヨハネスブルグで開催される首脳会議の出席者に外交特権を与えると発表したことが、ランド売りのきっかけとなっている。この外交特権はロシアのプーチン大統領にも与えることになる。南アは国際刑事裁判所(ICC)に加盟していることで、プーチン大統領が南アに入国した場合は逮捕する義務がある。しかし、この特権を理由に入国も許可し、逮捕もしないようにと南ア政府は目論んでいる。前日、南アフリカ準備銀行(SARB)が、ロシア寄りの政府の行動で、SWIFTから南アが除外されるリスクがあることを公表していたのにもかかわらず、南ア政府のこの決定には多くの南ア国民も疑問に感じている。

 

米債務上限の引き上げはかえって株安?との問い合わせが多い:野村証

野村証券は31日付のリポートで、「債務上限の引き上げは、かえって株安につながるか」という問い合わせが多いとしながら、その疑問に回答した。リポートでは発行が抑制されていた米国財務省短期証券(T‐Bill)の発行が急回復し、それが銀行預金を吸収する形となるため「流動性相場が崩れる」という逆説に人気があるとしながら、「しかし、その説は『本来T‐Billに入るはずの資金がハイテク株に流入していた』という、不自然な資金シフトを想定する必要がある」と指摘した。その一方、「債務上限解決で好材料出尽くし」という見方については、一時的に「ウワサで買って事実で売る」の売りパターンになりやすいだろうとしながら「下げ相場入りの転換点に入る理由にはならない」と指摘した。また、債務上限問題をクリアすることで米連邦公開市場委員会(FOMC)がタカ派化しやすくなるという影響も、「事前の警戒がさほど高くなかったため減的だろう」とし、いずれにしても株安の要因になりにくいとみていた。

 

S&P500種株価指数の年末目標を上方修正:RBC

RBCキャピタル・マーケッツは30日付リポートでS&P500種株価指数の2023年年末の目標値を従来の4100から4250に引き上げた。足元での経済、市場センチメント、バリュエーション(投資尺度)、企業業績、政治、クロスアセットモデルの6点を考慮した。これは基本シナリオにあたり、ベア(弱気)ケースでは3800、ブル(強気)ケースでは4600に達すると見込んだ。見通しは「ダウンサイドリスクよりもアップサイドリスクの方を認めている」という。同時にS&P500の23年の一株利益(EPS)予想を200ドルから213ドルに引き上げた。24年のEPSは223ドルを見込んでいる。リポートでは「ポジショニングに関して、米国株式と米国以外の株式との比較では論拠が過大評価されていると考えている。大型グロース株のリーダーシップが一時停止するリスクが高まっているためだ。一方で、小型株は忍耐強い投資家にとって魅力的な入口にあると考えている」と指摘した。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.5%/前年比▲5.8%)
○15:30   4月スイス小売売上高
○15:30   ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○15:45   1-3月期仏国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.2%)
○15:45   5月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比5.5%)
○15:45   4月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   4月仏消費支出(予想:前月比0.3%)
○16:00   1-3月期トルコ国内総生産(GDP、予想:前年比3.9%)
○16:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○16:55   5月独雇用統計(予想:失業率5.6%/失業者数変化1.50万人)
○17:30   ビスコ伊中銀総裁、講演
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   5月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.2%/前年比6.5%)
○21:00   4月南アフリカ貿易収支(予想:50億ランドの黒字)
○21:00   1-3月期インドGDP(予想:前年同期比5.0%)
○21:30   3月カナダGDP(予想:前月比▲0.1%/前年比1.7%)
       1-3月期カナダGDP(予想:前期比年率2.5%)
○21:50   コリンズ米ボストン連銀総裁、ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、あいさつ
○22:15   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:45   5月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:47.0)
○23:00   4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:937.5万件)
○1日01:00   4月ロシア失業率(予想:3.6%)
○1日01:30   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○1日02:30   ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○1日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)

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