FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:バブル後高値更新

米債務上限引き上げに与野党が最終合意したことや、前週末の米ハイテク、半導体株高などが追い風となり、日経平均はバブル後高値を更新し、1990年7月以来の高水準となった。指数寄与度の大きい半導体関連株が堅調で指数をけん引した。ただ、その後はやや伸び悩む展開になった。市場では、今日は米国市場がメモリアルデーで休場となる上、大きなイベントもないことから、徐々に動意に乏しい展開になるのではないかとの声も聞かれた。結局、前営業日比317円高の3万1233円と3営業日続伸した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売りが優勢に

ドル/円は、週末にバイデン米大統領とマッカーシー下院議長が債務上限引き上げて基本合意したことがドル買い・円売り要因となり、一時140.91円付近まで上昇しておよそ半年ぶりとなるドル高・円安をつけた。日経平均株価の大幅高でリスク選好が高まったことも円売りを誘った。ただ、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定やポジション調整のドル売り・円買いが持ち込まれ、140.40円付近へ下落した。本日スポット応当日は月末にあたり、仲値にかけて本邦輸出勢のドル売り・円買いが通常より多く観測されたこともドル/円の下げ要因となった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、140.30円台を中心とする狭いレンジで推移した。本日は英米市場が休場となるため、様子見を決め込む市場参加者も少なくなかった。ユーロ/ドルは、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、1.07ドル台前半で小動きに終始した。

 

ドル買い比率が1年2カ月ぶり低水準:前週のFX概況

QUICKが29日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、「ドル/円」取引の総建玉に占めるドルの買い比率は26日時点で42.6%だった。前の週末から4.7ポイント低下し、2022年3月以来およそ1年2カ月ぶりの低水準となった。急ピッチな円安・ドル高が進むなか、FXを手掛ける個人投資家は相場の流れに逆らう「逆張り」の円買い・ドル売りを増やしている。前週は26日のNY市場で円相場が1ドル=140.73円と2022年11月下旬以来の円安・ドル高水準をつけた。米連邦準備理事会(FRB)高官から追加利上げに含みを持たせる発言が目立つなか、発表された経済指標が米国の底堅い景気や高インフレ圧力を映した。FRBの積極的な金融引き締めは長引くとの見方から円安・ドル高が進み、個人の円買い・ドル売りを誘った。「NZドル/円」取引ではNZドルの買い越しに転じた。買い比率は62.6%となり、前の週末から15.9ポイント上昇した。24日にはNZ準備銀行(中央銀行)が利上げ幅を0.25%に縮小し、24年には利下げするとの見通しを示した。NZドルが大きく下げる場面で、個人投資家はNZドル買い・円売りに動いた。「豪ドル/円」取引では豪ドルの買い比率が4.1ポイント高い60.0%となった。

 

トルコの外貨準備高の枯渇には要注意

トルコの最高選挙管理委員会(YSK)は日本時間29日早朝、現職のエルドアン大統領の当選を発表した。1回目投票で49.5%だったエルドアン氏の得票率は2回目が52%と、得票数では対立候補に約229万票の差を付けて勝利した。これで今後5年間、エルドアン政権が続くことになる。1回目の選挙で予想以上に差がついていたことから、結果自体は市場にとってサプライズではない。ただし、インフレ抑制のために低金利という「非正統的な金融政策」が継続される可能性が高まったことは確かである。エルドアン大統領が金融・経済政策についてどのような声明を発表するかが注目される。
週後半に公表予定のトルコ中銀の外貨準備高にも要警戒である。一部通信社の算出によれば、中銀の外貨保有総額から外貨建て債務を差し引いた「ネットの外貨準備高」は、19日時点で前週比24.8億ドル減少し、1.5億ドルのマイナスとなった。約20年も政権を担ってきた公正発展党(AKP)にとっては初めての経験である。エルドアン大統領は、湾岸諸国が最近トルコに資金を送金したと述べ、今週は準備高が回復することを示唆。ただし、市場の不安が和らぐかは不透明である。トルコはこれまで、複数の国と通貨スワップ協定を結んできたが、それでも外貨準備高が底を着いた。外貨流出はかなり深刻であり、その場しのぎでは市場の信頼は取り戻せないと思われ、金融政策の見直しに迫られるかもしれない。

 

南アではランド安が国内インフレを高める要因

先週発表された、4月の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)は市場予想を下回る結果となったことは、インフレで苦しむ南アにとっては朗報でしたが、インフレが落ち着くまではまだ暫く時間を要する。また、ここ最近のランド安がインフレを高める要因にもなることで、南アフリカ準備銀行(SARB)も為替状況を注意深く見ている。ランド安やインフレ低下を促す特効薬がないことで、当面はランド安地合いが継続しそうである。特に国内では再び電力不安、港湾・鉄道などのインフラの停滞、米国との摩擦など、抱えている問題が根深いことで、当面は大きくランドが買い戻されるのは難しい。

 

メキシコ政府は深刻な農業部門をサポートできるか

メキシコの農家は、価格の下落が彼らの生活を脅かしているため、政府に穀物の最低保証価格を引き上げるよう要求している。具体的な価格としては、トウモロコシの最低保証価格を1トン当たり7000ペソ(390ドル)とし、小麦の最低保証価格を1トン当たり8000ペソ(445ドル)を希望とのこと。少ない収穫量を持つ農家が利益を上げるための支援を提供するために設立された組織であるセガルメックスは、「多くの農家は現在の保証価格では経営が困難だ」と主張している。農家の一人は、自身の農場が500トンのトウモロコシを収穫しているとしても、多額の借金を抱えていると訴えている。農家たちは政府との合意に達しなければ、再びデモを行い、港やオフィス、橋を封鎖する可能性を検討している。これまでにもシナロア州、ソノラ州、バハカリフォルニア州の一部の穀物生産者は価格引き上げを支持する抗議活動を行い、施設や橋を封鎖している。世界の穀物価格は過去18カ月間で50%以上下落しており、この大幅な変動はウクライナの港からの穀物輸出を許可する取引によるものである。この取引は世界の食料安全保障を確保するために行われたが、メキシコの農家にとっては経済的な困難を招いている。分析家は、現在の穀物市場価格では多くの農家が生産費用を回収できないと警告しており、これがメキシコ経済全体に深刻な影響を及ぼす可能性があると指摘している。

 

債務上限問題解決後のリスクは考慮すべき:モルガン

米政府の債務上限協議の進展期待から26日に主要株価指数が大幅高となった後、バイデン大統領と米連邦議会のマッカーシー下院議長が27日、米政府債務の法定上限を引き上げることで基本合意した。好地合いが予想される中、モルガン・スタンレーは28日付のリポートで「債務上限問題が解決した後のリスクは考慮すべきであり、弊社は慎重なスタンスである。ディフェンシブなポジションを取ることを勧め、先進国の高格付け債券に対し株式をアンダーウエイトすることを推奨する」との見解を示した。リポートでは、米国のデフォルト回避に向けて具体的な進展があることは今後の景気、市場の展望にほっと一息つけるものと評しながら、米国財務省短期証券(T-Bill)の発行が急増することが予想されることから、「銀行システムの流動性と短期金利への影響は大きい」と指摘した。T-Billが急増した際に買い手と予想されるのはマネー・マーケット・ファンド(MMF)だろうと指摘しつつ、米連邦準備理事会(FRB)のリバース・レポ・ファシリティ(RRP)金利よりも「高い水準の利回りが必要になる」とも指摘した。つまり、短期金融市場で資金調達コストが高くなり、銀行は流動性を抱えてしまうことになるといい、「今後の金融政策が不透明であり続け、ポートフォーリオ内の証券償還を延長するようならMMFはRRPにある資金をT-Billに振り向けることを躊躇するだろう」とみていた。MMFでは別の投資家がT-Billを購入することも想定されるが、他の資産から資金を用意する必要があるため、「どちらにしても市場のボラティリティが急上昇するリスクは高い」という。

 

欧米市場イベント

○24:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○韓国(釈迦誕生日の振替休日)、スイス、ノルウェー(聖霊降臨祭翌日の月曜日)、英国(スプリング・バンク・ホリデー)、米国(メモリアルデー)、休場

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