FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:半導体関連株が大幅高で指数をけん引

主力の半導体関連株が大幅高で推移し、指数を押し上げた。一方、米債務上限問題を巡る懸念などが重しとなり、指数寄与度の大きい銘柄の一角は軟調だった。米半導体大手エヌビディアの好調な売上高予想を受けて同社株が時間外で急騰したことから、東京市場でも主力の半導体関連株が買われた。格付け会社フィッチは24日、米国の「AAA」長期外貨建て発行体格付けを格下げ方向のウォッチネガティブに指定したが、市場では最終的には債務上限問題が妥協に至るとの見立てを示した上でのウォッチネガティブなので、相場への影響は今のところ限定的との見方が聞かれた。結局、前営業日比118円高の3万0801円と反発して終了した。5月第3週(15日~19日)の投資部門別株式売買動向(東証・名証の合計)によると、海外投資家(外国人)は7476億円の買い越しとなり、買い越しは8週連続となった。個人投資家は9273億円売り越しとなり、売り越しは6週連続。信託銀行は936億円の売り越しとなり、売り越しは8週連続となった。

 

東京外国為替市場:日米金利差拡大が意識されドルは底堅い展開

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、139.50円付近まで上昇した。日経平均株価の上げ幅拡大で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。仲値発表後も堅調地合いは続き、米長期金利が上昇すると、日米金利差拡大を意識してさらにドル買い・円売りが進み、139.65円付近へ値を上げた。午後は、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測が浮上していることから、海外短期筋などがドル買い・円売りに動き、一時139.70円程度までじり高となった。ただ、米債務上限問題の行方を見極めたいと雰囲気もあり、上げは一服した。その後は急ピッチの上昇に対する警戒感から、利益確定やポジション調整のドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて139円台半ばでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、FRBの金融引き締めが長期化するとの見方からユーロ安・ドル高基調が続き、1.07ドル台半ばから1.07ドル台前半へ水準を切り下げた。

 

リアルマネーの買戻し余力は7,800億円程度:JPモルガン

JPモルガン証券の24日付リポートで、日経平均株価は23日~24日の2日間で400円安と調整する中、商品投資顧問(CTA)はロング利食いの先物売りへ一時的に転じていると指摘した。それでも、現物の「追っかけ買い」も増えていることから、日経平均は押しても2万9000円~3万3000円での形成にとどまるとの見方も示している。海外投資家の買いについて、先週から中長期層のリアルマネーが参入してきた証左が認められると指摘した。主力銘柄で約7800億円程度の買戻し余力が残るともい推計した。CTAの損益分岐点について、日経平均で2万9000円であることから、同水準を下抜けるセルオフが発生することでCTAはロスカット目的の「売りモード」へ転換すると指摘。一方で、3万円台で持ちこたえることでCTAは再び「買いモード」へと転じ、日経平均は3万3300円を目途に再び上値追いするとも予測した。

 

英インフレ率は予想を大きく上回り追加利上げ観測強まる

英国の4月のインフレ率は予想を大きく上回った。サービスとコアの価格は約30年ぶりの高い伸びとなり、イングランド銀行(英中央銀行)の追加利上げを見込む取引が活発化した。消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.7%上昇。エコノミスト36人の予想レンジの上限を上回った。中銀の予想は8.4%だった。食品・エネルギー・たばこを除くコア指数の上昇率は6.8%と、3月の6.2%から加速した。インフレ率は8カ月ぶりに1桁台に低下したものの、今回の統計を受け、中銀には夏まで利上げを継続するよう求める圧力が強まる。トレーダーは主要政策金利が年末までに1ポイント近く引き上げられる可能性を織り込んでいる。24日の短期金融市場は、英政策金利が5.5%前後でピークになると示唆。23日時点は5.1%だった。

 

トルコ中銀は政策金利の据え置きが大方の見方

トルコ中銀に関しては、政策金利8.50%で据え置きが大方の見方である。エルドアン大統領の言いなりになり、物価の番人としての立場を捨てた中銀への失望感は高まるばかりである。利上げを少しでも示唆すれば市場センチメントも変わるだろうが、エルドアン再選の可能性が強いなかではそれもできない。また、時点での準備高は急減しており、いよいよ枯渇が現実味を帯びてきた。選挙後の1週間でリラの下落が加速しているため、どの程度まで金融当局が介入していたかが注目される。

〇20:00 トルコ中銀、政策金利発表(予想:8.50%で据え置き)

 

南アでは政策金利の上げ幅と声明文に注目

4月のインフレ低下は南ア経済にとっては朗報だったが、依然として本日行われる南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)では、50bpの利上げ予想が優勢になっている。昨日発表されたCPIの中で、食品および非アルコール飲料の年間インフレ率は、4月は3月の14.0%から13.9%に鈍化したが、依然として高水準を保っている。SARBとしても、インフレ率の目標とする3-6%を上回ったままでもあり、引き続き利上げペースを弱めないのではないかとの声が強いままである。本日は上述したように、MPCが開かれることで、政策金利の引き上げ幅次第でランドは上下する可能性が高そうである。もし、25bpの利上げにとどまった場合は、対ドルでランドが最安値をトライして20ランドを目指す動きを見せる可能性もありそうである。一方、予想通り50bpとなった場合は、反応は限られたものになるのではないかと予想する。もっとも、利上げ幅だけでなくSARBの声明文でサプライズが出ないかも要注目となる。

 

米下院議長は債務上限問題の交渉は『まだ意見が割れている』

米野党・共和党のマッカーシー下院議長は24日、米連邦政府債務の上限引き上げを巡る協議で『まだ意見がかなり割れている』と記者団に話した。ホワイトハウスに共和党側の交渉団を送っているが『依然として歳出を巡って隔たりがある』という。もっとも『合意に至ると強く信じている』との考えも示した。『債務不履行(デフォルト)は避けられる』と従来の表現を繰り返した。政府は資金繰り策が尽きる『Xデー』は早ければ6月1日とされる。政府と野党トップの交渉が妥結しても債務上限の引き上げには上下両院での可決が必要。議会日程も限られるなか、交渉の期限は迫っている。

 

FOMC議事要旨で追加利上げの確率は6割に上昇:US Dashbosrd

米連邦準備理事会(FRB)が24日に公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(5月2~3日開催分)では、次回6月のFOMCでの追加利上げについて参加者の見解が分かれていたことが明らかになった。一部の参加者は、インフレ率を2%に戻すための進展が受け入れがたいほど遅い状態が続くとの予想に基づき、「将来の会合で追加の政策引き締めが正当化される可能性が高い」との見方を示した。何人かの参加者は、経済が現在の見通しに沿って進展するのであれば、「今回の会合後にさらなる政策の引き締めが必要ない可能性がある」と指摘した。米金利先物の動きから米政策金利を予想する「Fed ウオッチ」では、7月のFOMCまでに0.25%利上げする確率が6割を超えた。

 

米国市場では1‐3月期国内総生産(GDP)改定値:予想は前期比年率+1.1%

3月実績は前年比+4.6%だった。サービス価格の上昇率は鈍化しつつあるが、家賃や賃金の上昇圧力がすみやかに弱まる状況ではないため、4月については3月実績に近い伸び率となる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○未定   5月月例経済報告
○15:00   1-3月期独GDP改定値(季節調整済、予想:前期比横ばい/前年同期比▲0.1%)
○15:00   1-3月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比0.2%)
○15:00   6月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲24.0)
○15:45   5月仏企業景況感指数(予想:101)
○18:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18:30   4月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比9.5%)
○19:30   ナーゲル独連銀総裁、講演
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:8.50%で据え置き)
○20:15   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○21:00   4月メキシコ貿易収支(予想:12.00億ドルの赤字)
○21:30   1-3月期米GDP改定値(予想:前期比年率1.1%)
           個人消費(改定値、予想:前期比3.7%)
           コアPCE(改定値、予想:前期比4.9%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.5万件/180.0万人)
○23:00   4月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.0%/前年比▲20.1%)
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:8.25%に引き上げ)
○22:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○22:50   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○23:30   コリンズ米ボストン連銀総裁、討議に参加
○26日00:45   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○26日01:30   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○26日02:00   米財務省、7年債入札

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