FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:株価の過熱感は強いものの海外勢による買い思惑が継続

米債務上限問題への警戒感による米国株安が重しとなったほか、急ピッチな株高への警戒感がくすぶった一方、海外勢による日本株買いへの思惑が継続して下値を支えた。市場では、ひとつのテーマで集中的に物色されると反動による下げが強まる危うさがあるところだろうが、うまく循環物色されている。指数の過熱感は意識されるが、個別銘柄は押し目もあり、あまり過熱感がない、良い傾向との見方が出ていた。結局、前営業日比278円高の3万1086円と8日続伸して終了した。終値で3万1000円台をつけ、1990年7月26日(3万1369円)以来、約33年ぶりの高値をつけた。

 

東京外国為替市場:米長期金利の持ち直しからドル買い優勢に

ドル/円は、日経平均株価の動向を睨みながら、137円台後半でもみ合いとなった。仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが、需給に大きな偏りは見られなかった。仲値発表後は、米長期金利がやや低下していることで、海外短期筋などがドル売り・円買いに動き、137.50円付近へ軟化した。ただ、本日予定されているバイデン米大統領とマッカーシー下院議長の米債務上限問題を巡る会談を見極めたいとの雰囲気から下げは一服した。その後は、日米金融政策の違いを意識したドル買いも見られ、値を切り返して137.60円台を中心に取引された。午後は、低下していた米長期金利の持ち直しドル買い・円売りが入り、137.95円付近へじり高となった。日経平均株価の上げ幅拡大で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。ユーロ/ドルは、1.08ドル台前半で小動きに終始した。

 

CTAの先物買いは先行き2週間も継続:野村証

野村証券は22日付のクオンツリポートで、足もとの日本株の上昇について、先物需給面ではCTA(商品投資顧問)の影響が大きいと指摘した。足もと2週間かけて、CTAがロング拡大ペースを強めているほか、先行き2週間程も同スペースで先物買いが継続すると見込んだ。一方、その後はCTAが利食いのロング縮小に転じる可能性が高いとも展望している。マクロヘッジファンドは米銀の破綻懸念や中国景気回復ペースの失速などを背景に、ロング縮小傾向を維持している可能性が高いと指摘した。それでも、そのペースは非常に緩やかなものになるとしている。

 

ドル買い比率は7カ月ぶり低水準:前週のFX概況

QUICKが22日に算出した19日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は47.3%と前の週末から4.1ポイント低下した。節目の50%を下回り、2022年10月中旬以来約7カ月ぶりの低水準となった。早期の米利下げ観測の後退などを通じて急速に円安・ドル高を進み、個人投資家は相場の流れに逆らう「逆張り」的な円買い・ドル売りに動いたとみられる。前週の円相場は18日に一時138.75円近辺と、22年11月30日以来およそ半年ぶりの円安・ドル高水準に下落した。前の週末である12日の17時時点(134.85~87円)と比べ、4円近くも円安が進んだことになる。米連邦準備理事会(FRB)高官らから利上げ継続の支持など金融引き締めに積極的なないようの発言が相次いだことなどを受け、円売り・ドル買いが活発となった。「豪ドル/円」取引での豪ドル買い比率は前の週末から6.3ポイント低い55.9%となり、22年9月以来の低水準となった。「NZドル/円」取引のNZドル買い比率14.5ポイント低い46.7%へ急低下した。

 

4月のドイツ生産者物価は21年4月以降で最低の上昇率

19日に発表された4月のドイツの生産者物価指数(PPI)は、前年同月比4.1%と3月の6.7%上昇から大きく鈍化した。市場予想の4.4%上昇を下回り、2021年4月の5.2%上昇以降で最小の上昇率となった。PPI上昇の主な要因は、資本財が前年同月比で6.8%上昇したことだ。特に機械類は8.6%上昇と大幅に値上がりした。食料品も同13.6%上昇し、砂糖が88.9%急騰し、加工・保存されたギャガイモも40.5%上昇した。22年3月おロシアによるウクライナ侵攻で急騰していた反動もあり、エネルギー価格は2.8%上昇と緩やかだった。15日に発表された4月の卸売物価指数(WPI)も前年同月比0.5%下落と20年12月以来のマイナスとなったが、石油製品が前年同月比15.7%下落する一方で果物・野菜・ジャガイモが22.0%上昇した。川上からのインフレの消費者物価指数(HICP)も鈍化傾向の継続が見込まれるものの、消費者がインフレの鎮静を実感することはなさそうだ。

 

トルコ選挙結果を受けて資産売りが強まっている

トルコ金融市場については、先週に大幅上昇したトルコ債クレジット・デフォルト・スワップ(CDS、債務不履行に備える保証率)の動向に注視する必要がある。選挙結果を受けて非正統的な金融・経済政策が続く見通しが強まっており、それを嫌気したトルコ資産売りが強まっている。25日に公表予定のトルコ中銀の外貨準備高も気に掛ける必要がある。先週発表された12日時点のネット外貨準備高は前週比44.5億ドルも減少し、過去21年間で最少の23.3億ドルまで落ち込んだ。選挙後もリラ買い外貨売り介入を金融当局が続けていたとすると、最少額を更新する可能性は高そうである。

 

南ア中銀が利上げ幅拡大してもランドの押し上げ効果も限定的

今週は南アからは24日に4月消費者物価指数(CPI)、翌25日には卸売物価指数(PPI)が発表され、また同日には南アフリカ準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)が政策金利を発表する。年初は低下傾向だったインフレだったが、3月CPIは+7.1%と再び加速した。インフレ進行が止まらず、今月のSARBは利上げ予想が優勢となっている。MPC前日に発表される4月CPIが想定以上に高進していた場合は、利上げ幅が再び50ベーシスポイントになる可能性もある。前回は利上げ幅が広がったことでランド買いで反応したが、しばらくすると買いの勢いは弱まった。それを考えると、利上げ幅拡大によるランドの押し上げ効果は限定的ではないかと思われる。

 

メキシコ中銀は政策金利据え置きも声明文はハト派ではない

メキシコ中銀は18日、金融政策決定会合を開き2021年6月から続いた利上げサイクルをいったん終了し、政策金利を11.25%で据え置くことを決めたと発表した。これについては市場の予想通りだったこともあり、特段為替相場への反応は限定的でした。声明文を見てみると、以下の点が注目される。

・インフレは鈍化し続けているものの、依然として高い水準であることを指摘
・インフレの先行きは不確実であり、上方リスクがある
・政策金利を現在の水準で長期間維持する必要があると明記

インフレについては、ヘッドラインをそれぞれ下方修正するなど、鈍化傾向を強めているが、コアインフレについては前回から据え置かれていることからもインフレリスクが顕在していることが窺われる。そのうえで、政策金利についてはひとまず高水準のまま据え置き、今後のデータ次第では引き締め政策を再開することも匂わせており、今回の声明文は『ハト派ではなかった』との指摘が多く聞かれています。

 


米デフォルトに備える投資家は株式から中期国債へ

米WSJ紙は21日、米連邦債務問題が解決せず市場のボラティリティが高まると予想、投資家の一部が動きはじめたと報じた。リスクを軽減するため株しいファンドから資金を引き揚げ、短期債ではなく償還が数年後の国債購入を検討している。需要の高まりで、5年物国債の高まりで、5年物国債の利回りは2年物国債利回りより0.5%超低い水準になったと伝えた。

 

米6月利上げ見送りでも金利高・円安は進む:野村証

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は19日、「政策金利は想定されていたほど上昇する必要がないかもしれない」と述べるなど、利上げ打ち止めの可能性を示唆した。野村証券は「6月利上げ見送りに傾いていることをうかがわせる」としながらも、「夏場にかけて米金利高・ドル高円安が進む余地がある」とみている。それは①市場がまだ年内‐50bp程度の利下げを織り込んでいる、②この「利下げ期待」は市場が、景気・インフレ失速に伴いFRBがハト派化することを読んでいるというよりも、テールリスク(金融破綻、債務上限協議決裂など)に備えヘッジしていると見られること、③テールリスクが後退、解消する過程では、ヘッジ解消が見込まれること、が理由だ。そして③の段階では「少なくともいったんリスク選好が強まると見られるため円安が進みやすく、ドルよりもクロス通貨の方が高くなりやすい様に思われる」と述べていた。

 

欧米市場イベント

○15:30   1-3月期スイス鉱工業生産
○17:30   4月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比2.0%)
○17:45   ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○18:00   3月ユーロ圏建設支出
○18:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○20:30   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○21:30   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:00   5月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲17.0)
○23:15   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○23:15   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○23日00:05   ボスティック米アトランタ連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁、討議に参加
○23日00:05   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○23日02:30   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○カナダ(ビクトリア・デー)、休場

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