FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:海外勢の買いで堅調地合い

米国株高のや円安を支えに日経平均はバブル後高値を更新し、1990年8月以来33年ぶりの高水準となった。海外勢の買いで堅調に上値を伸ばしたとの指摘も聞かれた。指数寄与度の大きい銘柄や米半導体関連株の一角がしっかりで、相場を押し上げた。ただ、市場では物色動向としては、値がさ株が買われている以外は、特に大きな方向感は見られないとの声も聞かれた。結局、前営業日比234円高の3万808円と7日続伸して、1990年8月以来およそ33年ぶりの高値で引けた。

 

東京外国為替市場:日米金融政策の違いを意識したドルの押し目買い

ドル/円は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定やポジション調整のドル売り・円買いが持ち込まれ、138.28円付近まで下落した。本日は実質的な五・十日にあたり、仲値にかけて本邦輸出勢のドル売り・円買いが通常より多く観測されたことも、ドル/円の下落につながった。ただ、前日に米連邦準備制度理事会(FRB)当局者からタカ派的な発言が伝わり、6月の会合で追加利上げを実施するとの観測が浮上しているため、下値を追う動きは限られた。その後は、日米金融政策の違いを意識したドルの押し目買いが見られ、138円台半ばへ値を切り返した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、やや値を下げて138.30円台を中心とする狭いレンジで推移した。今晩予定されているパウエルFRB議長の発言内容を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.0765ドルを挟んで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

YCCの早期修正思惑が再燃する可能性も

今朝発表された4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.4%上昇、生鮮とエネルギーを除く総合指数は同4.1%上昇でした。前者は3ヵ月連続、後者は11カ月連続で伸びが広がった。年明け以降、インフレ基調が鈍化するとの見方もあったが、足もとでは鈍化する兆候が見えません。6月には大手7電力会社において家庭の電気代が14~42%値上げされます。市場では、植田日銀総裁の下、4月会合では金融緩和路線の維持姿勢が鮮明となりましたが、高インフレが定着することで、早期の長短金利操作(YCC)修正や金融引き締めの路線への転換思惑が再燃する可能性も考えられるとの見方もある。

 

トルコの外貨準備高が枯渇する可能性がリスク

トルコ中銀は昨日、市場参加者調査を発表した。2023年末のインフレ見通しの中心値は37.17%と前回から若干低下した。年末のドル/リラ予想も前回調査からリラ高に傾いたが、それでも23.0860リラと、国内でも現行水準から大きくリラ安が進む覚悟をしている。本日のトルコは『青年とスポーツの日』で祝日。通常であれば動意が鈍いまま週末を迎えるが、トルコ選挙後の債券や為替相場の動きを見る限り、流動性が薄い中で一波乱あってもおかしくはない。トルコ金融当局によるリラ買い介入資金が大きく減少するなか、投機筋によるドル買いリラ売り仕掛けには注意したほうがよい。昨日明らかになった12日時点でのトルコ中銀のネット外貨準備高は、前週比44.5億ドルも減少し23.3億ドルだった。一部通信社調べによると、これは過去21年で最小額。さらに選挙後にもリラ買い・外貨売り介入は継続していたとすると、外貨準備高の枯渇がかなり近づいていることがうかがえる。

 

南アランドが他の新興国通貨より見劣りする展開

同じ新興国通貨のトルコリラやメキシコペソなどに対しても円安が進んでいる中で、ランドのみ円安がほぼ進んでいない。この動きを見ても分かるように、ランドの地合いが悪いことを表している。今週に入っても、3月の小売売上高が大幅に悪化したことや、このままの状況では、電力の負荷制限が(南アは南半球なので、これからが)冬にはステージ8まで上昇する可能性が高まっていることなどもランド売り要因となっている。

 

メキシコにEV生産工場建設も国内の普及は進まず

メキシコでは自動車製造業が順調に拡大している。特に近年は各国が最大の消費国である米国へのアクセスが容易なメキシコに電気自動車(EV)の生産拠点を構える動きが加速しており、今年に入ってからもBMWがサン・ルイス・ポトシにEV製造工場を建設することを発表。直近ではテスラがヌエボ・レオンに新工場を建設と発表した。ただ、メキシコ国内では電気自動車の普及は進んでいない。昨年の自動車販売台数109万台のうち電気自動車はわずか0.5%程度。従来のガソリン車と比較すると電気自動車は総じて高額で、平均的なメキシコ人の収入では手が届きにくく、充電ステーションなどのEVインフラも不足していることなどが要因となっている。

 

米MMFへの資金流入傾向変わらずで過去最大を更新

米投資信託協会(ICI)が公表した17日時点の米FFM(マネー・マーケット・ファンド)の純資産残高は5兆3416億ドルだった。前週から135億ドル増え、過去最高を更新した。内訳は、機関投資家が6.2億ドル減の3兆3900億ドル、個人投資家が141億ドル増の1兆9516億ドルだった。個人のMMF残は4月19日時点で納税資金捻出のため37週ぶりに減ったが、以降は4週連続で増加している。MMFへの資金流入傾向は変わっていない。

 

米FRB高官の発言がタカ派シフトした3つの背景:ノムラ

ダラス連銀のローガン総裁が18日、講演で「ここ数週間の指標はまだ利上げ見送りが適切だとは示していない」と述べた。ノムラ・セキュリティーズは18日付リポートで「ダラス地区連銀の調査で、5月初旬に融資基準がさらに厳しくなったと報告されていたことを考えると、これは少し意外な結果となった」と指摘した。タカ派のセントルイス連銀のブラード総裁は同日のインタビューで、「データはまだ6月の利上げ停止が適切であることを示していない」と述べたのを踏まえ、ノムラは「彼の基本的な主張は明らかに追加利上げのためのものであるよう思われる」とも指摘した。リポートでは、「先週の木曜日以降、米連邦準備理事会(FRB)高官の発言はタカ派寄りにシフトしている。6月の追加利上げのリスクは大幅に高まった」と指摘した。そうした背景に、①最近の地域銀行株の底堅さ、②銀行部門のストレスによる信用収縮が経済活動に及ぼす期待効果の低減、③12日にミシガン大学が発表した長期インフレ期待が予想外に急上昇したこと、といった3つの理由があるとみていた。今後はこの3点に金融市場がどのような反応するかに注目しているという。昨年6月のミシガン大学の調査(速報値)で、長期インフレ期待が3.3%に上昇したが、同月の確定値では3.1%に下方修正されたのを踏まえ、「長期的なインフレ期待の修正の可能性は、金融政策に影響を与えるかもしれない」との認識を示した。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.5%)
○18:45   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30   3月カナダ小売売上高(予想:前月比▲1.4%/自動車を除く前月比▲0.8%)
○21:45   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○22:00   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、討議に参加
○22:55   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○24:00   パウエル米FRB議長とバーナンキ元FRB議長、パネルディスカッションに参加
○20日04:00   ラガルドECB総裁、デコス・スペイン中銀総裁、パネルディスカッションに参加
○トルコ(青年とスポーツの日)、休場
○先進7カ国首脳会議(G7サミット、広島市、21日まで)
○21日 バイデン米大統領、債務上限を巡り記者会見
○21日 ギリシャ総選挙

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