FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:半導体関連株が指数を押し上げ

日経平均株価は、2021年8月28日以来の高水準とある3万円台を回復した。為替の円安が追い風となったほか、指数寄与度の大きい半導体関連株が堅調で指数を押し上げた。市場では、過熱感が漂う中で上昇はゆっくりで、下げるとなると早い展開が想定されるとの声も聞かれた。結局、前営業日比250円高の3万0093円と5日続伸して終了した。終値で3万円を回復するのは、2021年9月28日以来1年8カ月ぶりとなった。信用評価損益率は12日申し込み時点えマイナス9.46%と、前の週のマイナス9.29%からマイナス幅が0.17ポイント悪化した。悪化は3週連続となった。

 

東京外国為替市場:リスク選好の動きからドルがじり高

ドル/円は、米長期金利低下がドル売り要因となり、136.30円付近へ小幅に値を下げた。しかし、前日に発表された米経済指標が好調で、米景気減速懸念が和らいでいることもあり、下値を追う動きは限られた。その後は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、136円台半ばへ値を切り返した。午後は、日経平均株価の上げ幅拡大がリスク選好の円売りを誘い、136円台半ばから136.80円付近へじり高となった。日米金融政策の違いが鮮明になっていることから、海外短期筋のドル買い・円売りも観測された。ユーロ/ドルは、前日に発表された独経済指標が低調で、ユーロ圏の景気減速を警戒したユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.0850ドル台へ下落した。

 

中国の失業率が過去最悪更新し危険水域

国家統計局が16日発表した若年層の失業率は4月に20.4%と前月の19.6%から上昇し、昨年夏に記録したこれまで最も高かった19.9%を上回った。調査対象全体の失業率は5.2%と、3月から低下した。統計局の報道官は北京での記者会見で、「若者の雇用安定・拡大に向け一段の取り組みが必要だ」と述べた。一方、過去3年間で就業者数は4100万人余り減少した。新型コロナウイルス禍がもたらした経済的影響と国内の少子高齢化がいずれも響いている。

 

トルコ選挙結果を受けリラは買いづらい展開が継続

トルコ選挙の結果を受け、今後も非正統的な金融政策の継続は避けられないとする見方からリラの買いづらさは変わらない。大統領選は決選投票に持ち込まれたものの、1回目でトップだったエルドアン大統領が優勢なことは明らかである。大統領が「金利は敵」とする姿勢を続ける限り、トルコ中銀も簡単に利上げに踏み切ることはできない。なお、議会選挙ではエルドアン大統領率いる与党・公正発展党(AKP)が第1党の座を確保した。一部通信社の調べによると、2月に大地震に襲われた11県のうち10県でAKPがリード。地震発生当初は政府の対応の遅れが非難されていたが、復興支援に関しては野党では力不足と考えられている。

 

南ア債の入札は低調な結果:ランド相場の重しに

昨日行われた南ア債の入札(2032、2035、2037年債)は1‐4月の平均入札倍率の3.3倍を下回り、約2.8倍になった。根強い南アのエネルギー不足、それに伴う経済見通しの悪化、そしてロシアへの武器投与問題が、低調な入札に終わったと南アでは報じられている。引き続き、新興国からの資金流出が続いている中で、上述のように南アは様々な問題を抱えていることが、南ア債需要の低下やランド相場の重しになる。

 

顧客が米株を4週ぶりに売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの16日付の顧客フローリポートによると、同社の顧客は先週(8~12日)の1週間に米株を5億5600万ドル売り越した。4週ぶりに売り越しに転じた。この週は9日にバイデン米大統領が共和党のマッカーシー下院議長らと連邦債務の上限引き上げについて協議したが目立った進展がなく、12日の再協議も翌週に延期されたことで先行き不透明感からS&P500種株価指数は週間で0.29%安となって続落した時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が9400万ドルの売り越しとなり2週連続で売り越しとなった。機関投資家は7億3100万ドルを売り越し、こちらも2週連続で売り越しだった。個人投資家は13億6100万ドルの売り越しで、7週連続で売り越しとなった。企業の自社株買いは9億3400万ドルと前週まで5週連続で季節的傾向を上回った後に、勢いが鈍化した。規模別では2週連続で小型株と中型株が買い越しで、資金流出はすべて大型株によるものだった。ただし、小型株のセンチメントが年初来で最も悪く、世界金融危機以降で、年間ベースで過去最高値の資金流出を記録している。セクター別では11のセクターのうち5セクターが売り越しだった。資金流入となったセクターの中ではヘルスケアが2億8500万ドルと目立った。一方で、一般消費財からは4億4200万ドル、資本財からは4億2300万ドル、ハイテクからは3億5600万ドルが流出した。リポートでは『マクロデータの弱体化や債務上限問題などを背景に、ディフェンシブセクター全体では過去4週間に流入が見られたのに対し、シクリカル(景気敏感)セクターからの流出が過去3週間に見られた』と指摘した。

 

米個人消費は底堅さをみせるが先行きに懸念:US Dashbosrd

16日発表された4月の米小売売上高は前月比0.4%増えた。3ヵ月ぶりに増加に転じたが、市場予想の0.8%増は下回った。自動車・同部品を除いた売上高は前月比で0.4%増えた。市場では米国の個人消費者の底堅さが示されたと評価されたが、全体の前年同月比は1.6%増と、伸びの鈍化傾向が続いている。物価上昇を踏まえると、むしろ弱いとみることもできる。米ミシガン大学が12日に発表した5月の米消費者体動指数は57.7と、2022年11月以来、半年ぶりの水準に低下した。米個人消費の先行きが懸念される。

 

欧米市場イベント

○16:15   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○18:00   4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比7.0%)
○18:00   4月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比5.6%)
○18:00   エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○19:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、記者会見
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   3月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲0.7%)
○21:00   3月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比▲0.1%)
○21:30   3月対カナダ証券投資
○21:30   4月米住宅着工件数(予想:140.0万件、前月比▲1.4%)
         建設許可件数(予想:143.0万件、前月比横ばい)
○23:30   EIA週間在庫統計
○18日00:15   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18日01:00   1-3月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比▲2.1%)
○18日02:00   米財務省、20年債入札
○ノルウェー(憲法記念日)、休場

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