FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:円安基調を好感した買い優勢に

前週末の米国株は軟調だったが、ドル/円が135円台後半と前週末から1円程度、円安方向となったことが支えになった。また、決算を手掛かりにした個別物色が引き続き活発となる中、約1年半ぶり高値に上昇した。市場では3万円の大台が視野に入ってきた一方、企業決算が一巡することで、ここからは積極的に買っていく理由は減っていくのではないかとの見方があった。国内勢の一部から短期的な過熱感を警戒した売りも出て、一段の上値を抑えた。結局、前営業日比238円高の2万9626円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の上昇がドルを押し上げ

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、136.00円付近へ上昇した。先週末に発表された5月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値の期待インフレ率が予想を上回り、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げに踏み切るとの確率がやや上昇していることもドル買い要因となった。午後は、日経平均株価の上げ幅拡大を眺めたドル買い・円売りが入り、一時236.24円付近までじり高となった。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、今晩予定されている米経済指標やFRB当局者の発言内容を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、米債務上限問題に対する警戒感からドル売りも見られ、小幅に値を下げて136.10円台を中心とする狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、12日のニューヨーク市場で約1カ月ぶりの安値1.0848ドルをつけた反動から、利益確定などのユーロ買い・ドル売りが持ち込まれ、1.0870ドル近くへ値を上げた。

 

ドル買い比率が低下:前週のFX概況

QUICKが15日に算出した12日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は51.4%と前の週末から5.3ポイント低下した。2月下旬以来およそ2カ月半ぶりの低水準となった。前週の円相場は1ドル=134~135円程度で一進一退が続いた。だが、米インフレの高止まりで米金融引き締めが長引くとの見方から週末には円安・ドル高が進んだ。相場の流れに逆らう「逆張り」戦略をとる個人投資家は、円安・ドル高に傾いた場面で利益確定の円買い・ドル売りに動いた。「ユーロ/円」取引のユーロ買い比率は7.3ポイント上昇の37.6%と、2週連続で上昇した。円は対ユーロで5月上旬に2008年9月以来およそ14年8カ月ぶりの円安・ユーロ高水準を付けていた。その反動から前週は円がユーロに対して堅調に推移する場面が目立ち、個人投資家の間では逆張りの円売り・ドル買いが優勢となった。

 

トルコでは選挙結果待ちの展開

近代トルコで最も重要な選挙の1つと言われる今回は、20年間も国のトップに立ち続けたエルドアン大統領の苦戦が予想されていた。しかしながら当日開票ではエルドアン氏の優勢が伝わっている。選挙直前の世論調査では、野党6党の連合から出馬した共和人民党(CHP)党首のクルチダルオール候補がリードした。もっとも調査は大都市を中心に実施されており、エルドアン大統領の支持層が多いと言われる地方の意見が反映されていなかった。エルドアン対クルチダルオールの事実上の一騎打ちとなった今回、当選に必要な50%の得票率にどちらも達しないとなれば、28日に決選投票が行われる。600議席を争う大国民議会の選挙(比例代表制)でも、世論調査では与党AKPが議席を減らし、野党連合の躍進が示されていた。ただし、野党連合は中道右派・左派、リベラルやイスラム保守など政治的な思想が入り混じっている集合体である。さらに野党側が国会で過半数を得るには、緑左派党(YSP)を含む労働自由連合も採り入れる必要があるとされ、そうなるとスムーズな国会運営はかなり難しくなる。

 

ロシアへの武器供与の疑いから南アへの制裁の可能性も

先週、駐南ア米国大使が『南アがロシアへ武器供与をしていた』と述べたことで、今後の米国及び同盟国の対応が注目される。米国がアフリカ成長機会法(AGOA)の対象から南アを除外した場合は、南アの輸出に大きな痛手を被るが、更に他の制裁も行うことになった場合は、南ア経済はこれまでにないほど悪化する可能性がある。また、先週後半だけでランド安が相当進んだが、ランド安によるインフレ高進の悪影響も懸念されている。ランドが反発する可能性を探るとしたら、武器供与の問題は現在調査中とするラマポーザ南ア大統領が、米国だけでなく国際的に今回の武器供与について納得できる応えを出した場合のみとなる。そのためには、政府関与が全くないことを証明する必要もある。サミットも迫っていることで、納得できる説明が無い場合は、米国だけでなくG7各国が南アへの制裁を導入する可能性もある。

 

メキシコによる鉱工業関連法案改正で民間部門に負担増との懸念も

5月8日、メキシコ政府は鉱業法、国家水資源法、エコロジー均衡環境保護一般法、廃棄物防止総合管理一般法の改正を施行した。これは、4月28日に上院が強行採決した20の法案の1つであり、与党・国家再生運動(MORENA)の下院議員団が修正を加えたものである。改正の主な変更点は、以下の通り。

・開発コンセッションの期間が30年に延長され、25年の更新が可能に
・鉱業用途の水利用権の期間が30年+25年更新に変更されたこと

一方で、環境や地域社会への考えられる損害を修復するために必要な金額の保証の差し入れを義務付けるなど、民間事業者への規制が強化され、事業コストが増加することも懸念されている。また、識者の間では、鉱区開発コンセッションが公共入札によってのみ付与されることとなり、民間事業者が主体となる資源探査が原則行えなくなることが懸念されている。

 

米債務上限問題に関する投資家調査:JPモルガン

JPモルガンは12日付リポートで、米債務上限問題を巡って仮にテクニカル・デフォルトが発生した場合に予想される金利、信用スプレッド、通貨の変化について調査した結果を示した。調査は9~11日にかけて、123の機関投資家から回答を得た。回答者は米国債が上昇すると予想しており、回答者の61%が米2年債利回りが平均18bp低下すると予想し、67%は米10年債利回りが平均22bp低下すると予想した。調査ではHG(投資適格級)クレジットスプレッドが拡大するという圧倒的なコンセンサスが示され、回答者の99%と97%が、投資適格級の米企業のCDS保証料を測る『CDX北米投資適格指数』とJULI(米国BBB各社債)のスプレッドがそれぞれ平均44bp、66bp拡大すると予想した。米ドルについても安全な避難通貨に対して相対的に下落するという強いコンセンサスが示され、回答者の78%は米ドルが円やスイスフランに対して平均2.6%下落すると予想している。回答者の62%は新興国通貨に対してドルが平均0.2%上昇するとみていた。

 

債務上限問題への懸念も株価調整につながりにくい地合い:野村証券

野村証券は15日付のクオンツリポートで、米債務上限問題について6月1日とされる資金繰りに行き詰まる『Xデー』が近づく中、少なくともオプション市場では、米株市場全体への影響は限定的との見方が『依然として支配的である』とした。マクロヘッジファンドについて、『そもそも米株エクスポージャーをほとんど有していない』ことから、今局面では債務上限問題への株価調整につながりにくい地合いであるとの見方を示している。日本株について、商品投資顧問(CTA)のロング拡大が株価押し上げに寄与したと指摘。モメンタムが大きく落ちるものの、目先もロング拡大バイアスが維持される可能性が高いとしている。一方、日経平均が2万9000円を割り込むことでCTAはロング縮小バイアスに転じるとも見込んだ。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独卸売物価指数(WPI)
○15:00   4月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.7%/前年比10.7%)
         コア指数(予想:前月比0.5%/前年比7.9%)
○15:30   4月スイス生産者輸入価格
○18:00   3月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲2.5%/前年比0.9%)
○21:10   ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:15   4月カナダ住宅着工件数(予想:22.46万件)
○21:30   3月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲0.4%)
○21:30   5月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲2.5)
○21:45   ボスティック米アトランタ連銀総裁、あいさつ
○22:15   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、討議に参加
○16日01:00  ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○16日05:00   3月対米証券投資動向
○16日06:00   クック米連邦準備理事会(FRB)理事、あいさつ

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