FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:消去法からが海外勢の買いが継続

決算を手掛かりにした物色が広がる中で年初来高値を更新し、2021年11月以来1年半ぶりの高値水準に上昇した。株主還元を発表した銘柄への高評価が目立った。米国の地銀不安や景気懸念、債務上限問題などへの警戒感が引き続きくすぶる一方、高値更新でショートカバーが誘発され株価を押し上げたとみられる。市場では、特に先行きが改善してきているわけではないが、海外勢の買いが続いている。他の先進国経済の見通しが不透明な中、消去法的な買いが入ってきているとの見方が聞かれた。結局、是値営業日比261円高の2万9388円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:新規材料乏しく週末で積極的な売買は目立たず

ドル/円は、前日に発表された4月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回り、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ停止観測が高まっていることからドル売りが先行、134.40円付近へ下落した。しかし、本邦実需勢などのドル買い・円売りに支えられ、134.70円付近へじり高となった。日経平均株価の上げ幅拡大で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。ただ、米債務上限問題に対する懸念がくすぶっているため、積極的な上値追いは手控えられた。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、134.60円台を中心とする狭いレンジで推移した。新規の手掛かり材料に乏しく、週末ということも相まって積極的な売り買いは目立たなかった。ユーロ/ドルは、1.09ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコ大統領選では一人が撤退の表明で3人の候補戦

選挙運動は現地時間13日18時をもって終了し、投票は14日8時から始まり17時(日本時間23時)に終了する。なお9日には海外在住のトルコ国民の投票は終了した。国内外あわせ18歳以上の有権者は約6410万人いるとされ、通常では投票率は8割以上、18年の選挙では約86%でした。投票を3日後に控えた昨日、4人いる大統領候補の1人インジェ氏が選挙戦からの撤退を表明した。前回選挙で同氏は、最大野党・共和人民党(CHP)から大統領候補として出馬し敗れている。今回は少数野党から立候補し、反政権票の一部がインジェ氏に向かうと見られていた。インジェ氏の撤退は6党の野党連合から推されたCHP党首クルチダルオール候補にとって追い風となる可能性がある。同候補が残り少ない期間でインジェ氏の票をしっかりと取り込むことができるかが注目される。

 

南アが西側諸国から経済措置を受ける懸念高まる

ファンダメンタルズの弱さが指摘されていた中で、昨日は「南アがロシアに武器と弾薬を提供した」と米国(大使)が非難したことが更に押し下げ要因となった。南アの国内情勢が非常に悪いこと(インフレ高進、電力ひっ迫、交通網の麻痺、治安悪化、政治不信ほか)だけでなく、国外からも信用収縮により新興国から資金が流出していることで上値が重くなっていたが、更に米国を始め西側諸国からの圧力がかかることで、ランドは下値を広げている。上述のように昨日、駐南アの米国大使がロシアへの武器供与について非難したが、おそらくアフリカ成長機会法(Agoa)により南アが得ている免税輸出の恩恵を、米国が廃止することによって、南アに対して経済的措置(=制裁)を講じるのではないかと懸念されている。これまで、ロシアとの関係も維持していた南アだが、今回の武器供与により、欧米各国から制裁を受けた場合はさらにランド安が進む可能性がある。

 

メキシコと米国首脳間で移民問題について会談

報道によるとメキシコのロペスオブラドール大統領は9日にバイデン米大統領と電話会談を行った。主要議題となったのが、両国の国境付近での移民問題。米国ではトランプ政権時代に導入された『タイトル42(新型コロナウイルス対策を理由に導入されていた不法越境者を即時送還できる移民制限措置)』が11日に失効する。この『タイトル42』失効と同時に大量の移民希望者が国境地帯に殺到することが見込まれており、会談では対応が協議されたようである。

 

6月1日のXデーまで2週間余りで要警戒の時期に入った:野村証券

債務上限を巡って12日に予定されていたバイデン大統領と野党・共和党のマッカーシー下院議長の階段が延期になった。来週早々に開くことで合意したというが、9日夕にバイデン大統領と議会指導部の協議が始まったものの、明確な進展が見えない状況が続いている。野村証券は12日付のリポートで「2011、2013年の例を振り返ると、『政府閉鎖不可避』となるXデーから2週間ないし1カ月前から米国株が下落に転じ、日本株も4~7%の下落に巻き込まれている」と過去の事例を紹介した。その上で、「6月1日のXデーまで2週間余りとなっており、要警戒の時期に入った」ともみていた。

 

FRBの緊急融資枠が2週ぶりに増加

米連邦準備理事会(FRB)が11日に発表したデータによると、緊急融資枠であるディスカウント・ウィンドウの残高が前週の53億ドルから93億ドルに、SVB破綻を受けて新に設けた銀行タームファンディングプログラム(BTFP)が758億ドルから831億ドルにそれぞれ増加した。両融資枠の残高は2週ぶりに増加した。加TD証券は11日付リポートで、BTFPの利用額が減少していないことは銀行システムの不確実性が継続していることの証左であると指摘。金利高止まりする中、銀行が高金利での資金調達を余儀なくされていることから、銀行システムへの圧力が続くとの見方を示した。11日の米国株式市場では米カリフォルニア州地銀のパックウエスト・バンコープが23%安と急落していた。5日時点の預金残高が前週比で1割減ったことが嫌気された。

 

米クレジットカード調査:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズは11日付リポートでバンク・オブ・アメリカが集計した1世帯あたりのクレジットカード支出額について、『4月に前年同月比で1.2%減少した』と指摘した。前年同月比で下落するのは2021年2月以来であるものの、ガス価格の下落でほぼ説明がつくという。季節調整済みベースで前月比0.3%増加した。オンライン小売と百貨店の伸びが最も大きく、航空、家具、宿泊業が最も弱かった。BofAは『レジャーサービスへの落ち風の再開が一段落したかどうかは、夏の間にもっともよくわかるだろう』とも指摘した。消費の逆風となったのは3月に続き、4月も税金還付が低調だったのが要因であると説明した。米内国歳入庁(IRS)報告によると、22年4月の連邦個人所得勢還付額は853億ドルだったのに対し、23年4月は705億ドルにとどまり、約150億ドルの不足額は月の可処分所得の0.9%に相当するという。3月にはさらに大きな250億ドルの不足があった。

 

米消費者態度指数の改善は一服か:US Dashbosrd

12日に米ミシガン大学が5月の消費者体動指数(速報値)を発表する。市場予想は63.5と、前月の確報値から横ばいになる見通し。2022年6月から改善傾向は3月から一服感が漂っており、くすぶる金融システム不安への警戒感などがあるとみられる。中長期的な見通しにも注目である。4月の確報値は、1年債の予想インフレ率が前月比1%プラスの4.6%で、22年11月以来の高水準となり、消費者の先行き不安を表していた。5年債の予想は0.1%プラスの3%だった。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月英国内総生産(GDP、予想:前月比横ばい)
○15:00   1-3月期英GDP速報値(予想:前期比0.1%/前年比0.2%)
○15:00   3月英鉱工業生産(予想:前月比横ばい/前年比▲2.9%)
○15:00   3月英製造業生産高(予想:前月比▲0.1%)
○15:00   3月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:175.00億ポンドの赤字/50.00億ポンドの赤字)
○15:00   1-3月期ノルウェーGDP(予想:前期比0.2%)
○15:45   4月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.6%/前年比5.9%)
○17:30   1-3月期香港GDP確定値(予想:前期比5.3%/前年同期比2.7%)
○20:15   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○21:00   3月インド鉱工業生産(予想:前年同月比3.3%)
○21:00   4月インドCPI(予想:前年比4.80%)
○21:00   4月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比4.10%)
○21:00   3月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比▲0.2%)
○21:30   4月米輸入物価指数(予想:前月比0.3%)
○23:00   5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:63.0)
○13日01:00   4月ロシアCPI(予想:前月比0.5%)
○13日03:20   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○14日 トルコ大統領・議会選

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