FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:上値では利益確定売りが出やすい展開

米国株はまちまちで、小安く始まった後、序盤は前日終値を挟んで一進一退となった。しかし、次第に売りが優勢となってマイナス圏が定着した。下げ幅を広げて節目の2万9000円に接近したところでは切り返したものの、そこから幾分戻したところでは売り直された。米国の債務上限問題など外部環境で不透明感が残る中では3万円を目指すのは難しく、上値では利益確定売りが出やすかった。結局、前営業日比4円高の2万9126円とわずかに反発して終了した。JPSが5月第1週(1日~2日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家(外国人)は1602億円買い越しとなり買い越しは6週連続となった。個人投資家は2815億円の売り越しとなり、売り越しは4週連続となった。信託銀行は346億円の売り越しとなり、売り越しは6週連続となった。

 

東京外国為替市場:米FRBの利上げ停止観測がドルの重しに

ドル/円は、オセアニア市場では、前日に発表された4月米消費者物価指数(CPI)が予想を下回り、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ停止観測が高まっていることからドル売り・円買いが先行し、134.10円付近へ下落した。米長期金利が低下したことも、ドルの押し下げ要因となった。東京市場に入っても軟調地合いは続き、134円を割り込んで一時133.90円付近まで値を下げた。しかし、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、134.20円付近へ値を切り返した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、134.20円台を中心とする狭いレンジ取引された。今晩予定されている4月米卸売物価指数(PPI)やFRB当局者の発言内容を見極めたいとのムードも広がっている。ユーロ/ドルは1.09ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

12日SQ算出予想:10日時点推計

株価指数オプションとミニ日経平均先物5月物は12日、特別清算指数(SQ)算出を迎える。SQ算出に関連した12日寄り付きの現物株式の売買注文は、「日経平均株価」の裁定取引関連で採用1銘柄あたり31万株程度で売り買いが均衡しそうである。2日時点の建玉と8~10日の手口をもとに主要証券会社の現物株の売買を推計した。SQ算出日の寄り付きに現物株の買いが目立つとみられる証券会社はみずほ(16万株)、UBS(9万株)、シティグループ(3万株)など。一方、売りが想定されるのはABNアムロ(16万株)、BNPパリバ(7万株)、ソシエテ・ジェネラル(5万株)などの証券会社である。

 

インバウンド消費が3月に急増:ゴールドマン

財務省が11日に発表した3月の国際収支で、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は2兆2781億円の黒字となった。ゴールドマン・サックス証券は11日付のリポートで、訪日外国人による消費を反映するサービス収支の旅行受け取りは3月に3805億円となり2月の3077億円から急増し、コロナ前の2019年(月間平均4183億円)91%まで回復したとの見解を示した。その一方、証券投資収益の受け取りで、債券利子受け取りが1兆円と前年同月比の8648億円から増加したものの、配当受け取りが5569億円と同1.1兆円から半減したことに着目。「欧米を中心とした企業の減益が影響していると思われる」と指摘した。

 

CTAは押し目買い姿勢維持:JPモルガン

JPモルガンの10日リポートで、日本の株価指数先物市場では商品投資顧問(CTA)といった順張り型ファンドによるロング構築が加速したと指摘。CTAのTOPIX先物ポジションは2022年1月以来となる大きさまでネット・ロングポジションが拡大していると推計した。過去の季節パターンでは、5月にCTAはロングを「投げやすい」傾向にあると指摘した。一方で、現在は目立った抵抗がない中で機械的な上値追いが仕掛けられやすく、CTAは押し目買い姿勢を維持するとの見方も示している。それでも、CTAの株先ロング拡大が「日本株の実力を反映した現象か、それとも僥倖(ぎょうこう)にすぎないか、今後も検証の余地を残す」とも指摘。リポートでは、今年度下半期に向けて業績の2桁増の実現確度が高まらない限り、日経平均が2万8500円以上の水準で積み上がったCTAのロングは「正当化しづらい」との見方を示している。

 

25日のトルコ中銀会合の政策金利は据え置きと見込まれる

エルドアン政権が金融緩和に固執していることも依然としてリラを買いづらくしている要因である。ネバティ・トルコ財務相は昨日『利上げは検討課題ではない』と発言し、『エルドアン大統領も利上げに反対している』と述べたことも伝わった。14日の大統領選でエルドアン大統領との接戦が確実視されているクルチダルオール・共和人民党(CHP)党首は、当選した場合は金融政策を正常化に戻すと公言した。ただし大統領選は28日の決選投票までずれ込む可能性が高まっており、25日のトルコ中銀会合では政策金利の据え置きが見込まれている。なお、チャブシオール・トルコ外相は昨日モスクワで、露とイランそしてシリアの外相との会合に参加した。トルコとシリアの外相会談は、シリア内戦を巡る断絶で10年以上行われていなかった。今後はトルコが抱える360万人以上のシリア難民に関する協議が注目される。

 

メキシコペソ相場は底堅い展開が予想される

市場では「米景気の行方はともかくとして、足もとの米労働市場が堅調で米国在住の労働者からメキシコ本国への送金が増加傾向にあること」「メキシコへのニアショアリング(生産拠点を最終消費地に近いところに移転させる戦略)が活発化していること」などもペソ高につながっていると指摘。米中貿易摩擦やコロナ禍の影響から、近年では米国へのアクセスが容易なメキシコへの企業進出が進み、ペソ需要もこれに伴って増している。一方、ペソ相場が上昇することの負の影響(メキシコの輸出品需要の低迷、メキシコへの直接投資の負担増など)も気になるところだが、メキシコの副財務相は先週に「現在のペソ相場は輸出や経済活動を阻害するほどのものではない」と述べている。米国の経済・金融政策次第という点は気になるところだが、現状ではペソ相場が大崩れするような材料は見当たらず、しばらくは底堅い状況が続くことになるかもしれない。

 

米4月CPIは10カ月連続で伸びが鈍化

米4月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.4%と予想通り、伸びが3月+0.1%から拡大した。前年比では+4.9%と、予想外に3月+5.0%から伸びが縮小し21年4月来で最小の伸びとなった。10カ月連続で伸びが鈍化した。燃料、ガソリン価格の下落がCPIを押し下げた。エネルギー項目は前年比‐5.1%となったほか、ガソリンは同比-12.2%。度々注目される中古車価格は昨年6月来で初めて上昇した。供給不足が影響した。連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視している燃料や食品を除いたCPIコア指数は前月比+0.4%と、予想や3月分と一致した。前年比では+5.5%と、3月+5.6%から予想通り伸びが鈍化した。ただ、依然FRBの目標である2%を上回ったまま。鈍化ペースも鈍い。賃貸などのコストも依然高止まりしている。

 

欧米市場ベント

○16:00   3月トルコ経常収支(予想:52.0億ドルの赤字)
○19:30   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20:00   英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:4.50%に引き上げ)
○20:00   英中銀MPC議事要旨
○20:30   ベイリーBOE総裁、記者会見
○21:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:30   4月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比2.4%)
       食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比3.3%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.5万件/182.0万人)
○21:45   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、討議に参加
○23:15   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、討議に参加
○12日02:00   米財務省、30年債入札
○12日02:30   デギンドスECB副総裁、講演
○主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(新潟市、13日まで)

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