FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:海外短期筋を中心とした買いが優勢に

まちまちの米国株を受けても上昇して始まると、寄り付きを安値に上げ幅を広げる展開になった。JFEホールディングスなど決算発表銘柄に非常に強い動きが見られる中、全体でも前日の下げに対する押し目買いが優勢となった。29100円近辺ではいったん上値が抑えられたが、同水準より上が定着してくると、売り手不在の様相が強まった。海外短期筋を中心に日本株の持ち高を増やす目的の買いが継続的に入った。結局、前営業日比292円高と2万9242円となり2022年1月5日以来の高値を付けた。JPXが発表した4月第4週(24日~28日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は1485億円の買い越しとなり、買い越しは5週連続となった。個人投資家は1049億円の売り越しとなり、3週連続となった。信託銀行は994億円の売り越しとなり、売り越しは5週連続となった。

 

東京外国為替市場:日銀の金融緩和が早期に修正されるとの思惑から円買い

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、一時135.32円付近まで上昇した。日経平均株価の上げ幅拡大で、リスク選好が高まったことも円売りを支えた。仲値発表後は、植田日銀総裁が「基礎的なインフレ率にある程度良い目が出てきている」「持続・安定的な物価2%達成見通しに至れば、イールドカーブコントロール(YCC)を止める」などの見解を示した。これらの発言で、日銀の大規模な金融緩和が早期に修正されるとの思惑からドル売り・円買いが持ち込まれ、135.00円付近へ下落した。午後は、米金融システムに対する根強い懸念から持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、134.85円付近へ下落した。米長期金利が小幅に低下したことも、ドル売りにつながった。ユーロ/ドルは、1.0990ドル前後で小動きもみ合いとなった。

 

トルコ大統領選は僅差:今月28日に決選投票

14日にトルコ大統領選を控えた世論調査では、野党連合のクルチダルオール候補が支持率でエルドアン大統領をリードしているものの、その差は選挙戦が始まったころよりも縮まっている。どちらの候補も当選に必要とされる50%に届かないと今のところ予想されており、今月28日に決選投票が行われる可能性が高まっている。そういったなかエルドアン大統領は先週末、トルコ全土から支持者をイスタンブールに集めて大集会を開いたた。選挙に向けてラストスパートをかけるため、約1万台ものバスがチャーターされたと報じられている。100万人以上が参加したと大統領が主張するイベントは全国に生中継されており、有権者に大統領の強さが印象付けられたとする見方もある。

 

南アから外国人投資家の資本流出

南アの調査会社によると、今年の外国人投資家からの資本流出は、1月の第3週に始まり、2月と3月に加速しているとの結果が報告された。最新のデータによると、年初から、債券と株式は1700億ランドを超える金額が南アから流出しているとされている。流出理由としては、グレーリストなどの規制の失敗と相まって、負荷制限によって引き起こされた経済成長の鈍化などがあげられている。今後は、これだけでなく世界的な信用収縮がランド売り要因に追加されることになる。

 

メキシコ大統領の息子の汚職報道:今後の行方に注目

メキシコではロペスオブラドール大統領の息子の汚職報道が報じられている。報道によると、大統領の長男であるアンドレス・ロペス・ベルトラン氏は自身の地位を利用し、友人が数百万ドル相当の契約を獲得することを支援した。契約の中にはロペスオブラドール大統領が放棄した計画(前政権による空港建設)の跡地に自然公園を建設することも含まれていたようで、今後は大統領を巻き込んだ問題に発展する可能性も否定できない。ロペスオブラドール大統領は今回の報道を当然ながら否定しているが、今後の行方が注目される。

 

株式エクスポージャー拡大意向が再び過去最低水準に:JPモルガン調査

JPモルガンが顧客を対象に毎週行っている調査によると、今後数日~数週間で株式エクスポージャーを拡大すると答えた比率は27%となり、前回調査から11ポイント低下した。4月中旬に付けた過去最低(26%)に迫った。現在の株式のポジショニングについて、過去平均の50~60パーセンタイルと答えた比率が25%と最も多く、20~30パーセンタイルの21%、40~50%パーセンタイルの19%が続いた。同リポートでJPモルガンは、今年中に米連邦準備理事会(FRB)が利下げを行った場合、これは景気後退の始まりか金融市場における重大な危機のどちらかに起因するものであると指摘。債券市場では今年中の利下げを織り込むなど株式市場との間にギャップが存在するとし、金利上昇はマルチブルの低下と景気後退リスクの上昇、金利低下はリスクオフイベントの結果であることから、いずれにしても株式市場は下落する可能性があるとした。

 

1~3月期の銀行融資担当者調査:エバコア

米連邦準備理事会(FRB)が8日に発表した1~3月期の銀行融資担当者調査(SLOOS)を踏まえ、エバコアISIは8日付リポートで「銀行の信用引き締めは1~3月期にわずかに拡大したに過ぎなかった」と指摘した。融資基準が広く厳格化されたものの、「世界金融危機や新型コロナウイルスほどではなく、特に商業・工業・商業用不動産ローンにおいて顕著であるが、シリコンバレーバンク後のサプライズ自体の規模はそれほど大きくない」との認識を示した。もっとも、「企業不動産(CRE)の信用基準は著しく厳格化され、商工業ローンや住宅ローン、その他の消費者ローン基準とは異なり、現在では過去のピークに極めて近い」ことに着目。「流動性への懸念やリスク許容度の低下、業界特有の問題を引き締めの理由として指摘する傾向が、大手銀行よりも小規模銀行の方が強かった」ことに注目していた。貸出需要が低迷していることについては、「興味深いことに、住宅ローンや消費者ローンの需要は回復し始めている可能性がある」と指摘した。昨年の金利上昇によるショックや食品・エネルギーショックの影響が弱まったことが背景にあると説明した。今回の結果を受けて、リポートでは「FOMC政策担当者の比較的楽観的な評価と、(慎重な)事務方の予測との間で一致している。これは100bpというよりも、50bpのFF金利の引き締めに取って代わられたように感じられる」との見解を示した。

 

債務上限で米政権と野党が協議:ユーラシア

早ければ6月1日にも米政府が初のデフォルト(債務不履行)に陥るXデーを迎える可能性がくすぶる中、バイデン大統領が9日に、マッカーシー下院議長(共和党)を含む議会指導部をホワイトハウスに招いてデフォルト回避に向けた協議を始める見通しである。ユーラシア・グループは8日付のリポートで、「目に見える進展はないだろう」としながら、「最善のシナリオは話し合いを続けるという合意だが、その控えめな目標に届かない可能性もある」との見解を示した。リポートでは、バイデン大統領としては議会が債務上限を長期間引き上げ、9月30日まで政府機関の閉鎖を回避できるようにする案を軸に財政問題を交渉するよう提案すると予想されるとしながら、「マッカーシー下院議長が発言件を失うことなくこうした取引を成立させられるとは考えにくく、下院通過の4兆ドルの歳出削減法案が代替案であるという立場を堅持するだろう」と見込んだ。バイデン政権と議会共和党の両者がすれ違いの話し合いを続け、早ければ6月に騒々しい対立が起きるリスクが高まると指摘した上で、同社の基本シナリオは短期的な延長で11時間後の交渉に備えるというもの(確率60%)ともみていた。

 

欧米市場イベント

○15:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○15:45   3月仏貿易収支(予想:93億ユーロの赤字)
○15:45   3月仏経常収支
○15:50   ヘロドトゥ・キプロス中銀総裁、講演
○17:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○17:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○19:00   バスレ・スロベニア中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○21:00   4月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比6.23%)
○21:30   ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○10日01:05   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○10日02:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○10日02:00   米財務省、3年債入札
○ロシア(戦勝記念日)、休場

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