FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売り強まり下落幅拡大

ドル/円相場が前営業日の取引時間中と比べ円高方向に振れたことが重しになったほか、指数寄与度の大きいファーストリティリングなどの一角が売られた重しになった。一方、相場全体に目立った方向感がみられない中でも空運株は朝方から堅調推移となった。ただ、日本株はこのところ上昇基調で推移していたため、利益確定売りも出やすかった。結局、前営業日比208円安の2万8949円と5営業日ぶりに反落して終了した。信用評価損益率は4月28日申し込み時点でマイナス9.29%と、前週のマイナス9.27%からマイナス幅が0.02ポイント悪化し、悪化は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:米金融システムに対する根強い懸念からドル売り優勢に

ドル/円は、先週末に発表された4月米雇用統計の強い数字を好感したドル買いが先行し、135.20円前後で取引が始まった。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ停止観測が高まっているため、ドル買いは続かなかった。その後は、米金融システムに対する根強い懸念からドル売り・円買いが優勢となり、134.80円付近へ軟化した。日経平均株価の下げ幅拡大で、リスク回避姿勢が強まったことも円買いを誘った。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を下げて134.70円台を中心とする狭いレンジで取引された。今週予定されている4月米消費者物価指数(CPI)のイベントを前に、様子見ムードが平がっている。ユーロ/ドルは、英国市場が休場となるため積極的売り買いは見送られ、1.104ドル前後で小動きに終始した。

 

ドル買い・ユーロ買い比率が上昇:前週のFX概況

QUICKが8日に算出した5日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は56.7%と前の週末から5.2ポイント上昇した。先週は、日銀が4月末の金融政策決定会合で大規模緩和んの維持を決めた影響が残って週前半に円売りが膨らみ、対ドルでは一時1ドル=137.78円付近と約2カ月ぶりの安値水準を付けた。相場の流れに逆らう『逆張り』戦略をとる個人投資家は、円安・ドル高が進んだ場面で円買い・ドル売りに動いた。2~3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大方の市場参加者が予想していた通り0.25%の利上げが決まった後は、円高・ドル安方向への揺り戻しが起きた。だが、5日発表の米雇用統計で非農業部門の雇用者数や平均時給の伸びが市場予想を上回ると、再び円安・ドル高方向に振れた。『ユーロ/円』取引のユーロ買い比率は前の週から13.9ポイント高い30.3%だった。4日の欧州中央銀行(ECB)理事会では0.25%の利上げが決まった。多くの市場参加者の予想に沿った内容で、結果公表後には利益確定目的のユーロ売りが出た。円高・ユーロ安が進む場面で、個人投資家は逆張りのユーロ買いに動いた。

 

株安が加速しやすい状況に留意:野村証券

野村証券は8日付のクオンツリポートで、米企業の2023年1~3月期決算発表が終盤を迎えるにあたり、足もとまで例年通りポジション縮小を進めているマクロヘッジファンドによる株式ロングが再拡大する可能性を挙げた。それでも、今局面では景気悪化への懸念が高まっているほか、当面の景気指標次第ではロング再拡大が不発に終わるリスクも挙げている。リポートでは3月以降の米銀破綻以降、マクロ勢の米株エクスポージャーと米景気サプライズとの連動性が高まっていると指摘した。この日公表されるシニアローンオフィサー調査が株安材料と見なされた場合、ディーラーのガンマポジションがショートに転じることからも、株安が加速しやすい状況であるとした。

 

エルドアントルコ大統領にとって今回は厳しい選挙戦

大統領選挙に向けた動きが本格化した当初から、世論調査ではエルドアン大統領の苦戦が伝えられてきた。現職大統領は巻き返しを狙い、最大野党・共和人民党(CHP)の拠点・トルコ第3の都市イズミルでも支援者を大勢集めて演説を行った。国営放送も政権側にかなり偏った報道を繰り返ししていると、英語メディアが報じている。深刻な経済危機と2月大地震への対応の遅れで、エルドアン大統領にとってこの20年間で最も厳しい選挙と言われている今回、国外在住者もいつも以上に関心を示しているようである。選挙管理委員会の発表によれば、先週木曜日の時点で海外に住む110万人以上のトルコ国民が投票した。これは国外在住の約3分の1にも及び、投票率としては前回2018年選挙の倍以上にもなる。

 

メキシコの国外労働者による送金額は3月としては過去最高額

メキシコ銀行(中央銀行)が2日に発表した3月の国外労働者によるメキシコへの送金額は51億9380万ドルとなった。前月の43億4840万ドルから増加し、3月の結果としては過去最高額を記録した。前年同月比では11%の大幅増となり、これで前年同月の水準を35カ月連続で上回る結果となった。国外労働者の大半が米国に居住している関係上、米雇用環境が良好であるうちはメキシコ本国への送金額も堅調な状態を維持できる。4月メキシコ製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.1となり、3カ月連続で景況改善・悪化の分水嶺となる50を上回った。3月(51.0)からもわずかに改善しており、メキシコ製造業の底堅さは維持されている。

 

米中古車価格が今年初めて下げる

米CNBCは5日、新車生産が増加する中で業者間取引の中古車価格が今年初めて下がったと報じた。コックス・オートモーティブがまとめた4月のマンハイム中古車価格指数は前月比3%低下したとしている。昨年12月と比べ依然5.2%高い水準だが、前年同月比は4.4%下がったと伝えた。

 

米利下げ転換の織り込みは尚早:US Dashbosrd

5日に発表された4月の米雇用統計では、非農業部門の就業者数が前月比で25万3000人増え、市場予想の17万8000人増を上回り、1月以来の大幅増となった。3月分は23万6000人増へと大幅に下方修正された。一方、失業率は市場予想の3.6%上昇に反して3.4%へと低下し、半世紀ぶりの低水準だった1月と並んだ。時間当たり平均賃金(平均時給)は前月比0.5%上昇、前年同月比で4.4%上昇と市場予想の前月比0.3%、前年比4.2%上昇を上回り、いずれも伸びが3月から加速した。労働参加率も高水準を維持し、特に25~54歳のブライムエイジ(働き盛りの世代)の参加率は83.3%と新型コロナウイルス感染拡大前の2020年1月(83.1%)を上回った。労働需要のひっ迫を背景とした賃金の高い伸びは、今しばらく続きそうだ。3日に米連邦準備理事会(FRB)は利上げ打ち止めを示唆したが、利下げ転換の織り込みは尚早となる。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月独鉱工業生産(予想:前月比▲1.3%/前年同月比1.8%)
○23:00   3月米卸売売上高
○23:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○9日05:45   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○英国(英国王戴冠式記念で祝日)、ロシア(振替休日)、休場

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