FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

9月日銀短観は3四半期連続の悪化

日銀が本日発表した9月全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の景況感が前回調査比で横ばいとの市場予想に反して、3四半期連続の悪化となった。夏以降の豪雨や台風、地震といった自然災害が生産や物流など幅広い業種に一定の悪影響をもたらすことはある程度想定された。大企業の業況判断指数DIは19、非製造業で22といずれも前回の6月調査から2ポイント低下した。市場では、災害は先行きの復興需要も生むため一部の業種にはプラスの作用を期待する声もあり、一時的との受け止めが多い。しかし、原油などエネルギー関連の上昇や人件費の上昇による景況感の悪化は中長期的な構造要因となる。

 

日経平均株価:米加のNAFTA合意進展報道と円安を好感

前場11:00頃に米ダウ・ジョーンズ通信などが『米国とカナダが北米自由貿易協定(NAFTA)を巡る再交渉で合意しそうだ』と伝えたことや、1ドル=113.96円近辺への円安と相まって商品投資顧問(CTA)やヘッジファンドなど海外短期筋が先物に買いを入れ1月23日年初来高値を上回り1991年11月以来約27年ぶりにの高値を付けた。結局、前営業日比125円高の2万4245円で続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇で全般ドル高

ドル/円は、本邦実需筋からのドル買い・円売りや日経平均株価の上昇に支えられ一時j113.96円まで上げた。米長期金利が上昇したことも、ドル買いにつながった。ただ、114.00円がレジスタンスとして意識されると、上げ幅は一服した。午後は、日経平均株価をにらみながら113.90円前後でもみ合いとなった。今晩公表される米9月ISM製造業景況感指数を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な売り買いは手控えられた。ユーロ/ドルは、米金利の先高観から持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り1.1586ドルまで下落した。イタリアの財政赤字が拡大するとの懸念も引き続き重石となった。

 

10月は45日ルールによる米国金利上昇に注意

10月中旬までは、11月決算のヘッジファンドからの解約に伴う45日ルールによる利益確定の動きが出やすく、相場全体の重石となりやすい。FRBによる利上げ継続により米国債券の利回りの上昇(価格は下落)が堅調に出始めていることや、新興国債券も米国の利上げを受けて金利が上昇してきており、先行き債券価格の下落を懸念して債券ファンドの解約が大きくなる可能性がある。そのため、10月に入り先んじてファンド解約に備える債券売り(金利は上昇)が出やすくなる。米長期金利が上昇してくると、突然気が付いたように株価の下落する動きとなりやすい。今年の1月、2月相場は米国の長期金利が急上昇したことがきっかけとなり米国株を始め世界的に株価が急落した。そのため、株価が下落するまでは、日米金融政策の違いや日米金利差からドル買い・円売りは継続しやすいが、株価下落に伴いリスク回避の円買いとポジションの手仕舞いの円買い加速には注意が必要となる。

 

世界各国・地域の中央銀行が保有するドルの外貨準備が減少

国際通貨基金(IMF)が29日に公表した世界各国・地域の中央銀行が保有する外貨準備でドルの占める割合が2013年以降最低となった。一方、中国人民元の比率は4四半期連続で上昇した。世界全体にある外貨準備のうちドルの比率は4-6月(第2四半期)に62.3%と、前期の62.5%から低下した。過去10四半期のうち9四半期で落ち込んだことになる。現行ではドル高傾向が強まっているが、外貨準備のドルの割合が低下していることは、将来的にはドル安につながりやすい。

 

米国市場では9月ISM製造業景況指数が公表

8月実績は61.3となり、7月実績の58.1を大幅に上回った。新規受注指数が7月の60.2から65.1まで大幅に上昇したことが要因となっている。9月については、新規受注指数は伸び悩む可能性があることや、報復関税による企業収益や生産拠点への影響などが指数に多少反映されると予想されており、8月実績をやや下回る可能性が高い。しかし、製造業景況指数自体は60を超える高水準のため、市場予想と一致下場合でもドル売りにつながらないと予想される。

 

欧米イベント

○15:00   8月独小売売上高指数(予想:前月比0.4%/前年比1.5%)
○16:15   8月スイス小売売上高(予想:前年同月比1.7%)
○16:30   9月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:62.0)
○16:50   9月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:52.5)
○16:55   9月独製造業PMI改定値(予想:53.7)
○17:00   9月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:53.3)
○17:30   9月英製造業PMI(予想:52.5)
○17:30   8月英消費者信用残高(予想:13億ポンド)
○17:30   8月英マネーサプライM4
○18:00   8月ユーロ圏失業率(予想:8.2%)
○22:02   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○22:45   9月米製造業PMI改定値
○23:00   8月米建設支出(予想:前月比0.5%)
○23:00   9月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:60.3)
○23:50   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○24:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○2日01:15   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
○1-6日   9月ブラジル貿易収支
○米サンフランシスコ連銀総裁にメアリー・デイリー氏が就任
○英保守党の党大会(バーミンガム、3日まで)

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