FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国の過度な景気懸念後退で米株高につれた買い優勢に

前日の米国市場で過度な景気懸念が後退し、株高となったことから、東京市場でも買いが優勢となり、日経平均株価は3月9日以来の高値を付けた。銀行株のほか、為替の円安基調を受け、自動車などの輸出関連銘柄もしっかりだった。一方、半導体受託生産世界最大大手の台湾積体電路製造(TSMC)が2023年通年の設備投資に関わる見通しを引き下げたとの報道が嫌気され、指数寄与度の大きい半導体関連銘柄は朝方から軟調に推移した。結局、前営業日比144円高の2万8658円と2022年3月来の8日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:新規材料不足から134円台半ばでもみ合い

ドル/円は、昨晩上昇した反動で利益確定や持ち高調整などのドル売り・円買いが持ち込まれ、一時134.28円付近まで下押しした。ただ、その後は、米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ停止観測が後退していることからドル買い・円売りも見られ、一時134.70円付近まで水準を切り上げた。日経平均株価がやや堅調なこともリスク選好のドル買い・円売りを誘った。午後は、新規手掛かり材料難から積極的な売り買いは見送られ、134.40円台を中心とする狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.094ドル前後での取引に終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコでは国会で天然ガスの生産を開始は朗報

ドルリラのニューヨーク引け水準は19.39リラ台までドル高・リラ安が進んだ。米大手銀行JPモルガンのアナリストチームが、5月のトルコ選挙の結果次第でドル/リラが30リラ近くまで急騰する可能性があると予想したことも嫌気された。JPモルガンによる大幅なドル高・リラ安の予想は、トルコ選挙後に「現行の非正統的な金融政策にわずかな変更しか望めない場合」という条件が付いている。利下げ圧力を強めてきたエルドアン大統領が再選となれば、やはりリラ売り加速との見方が優勢である。なお一部通信社が、今週半ばからトルコが天然ガスの生産を黒海で開始すると報じている。黒海最大のガス田「サカルヤ」における生産は、順調にいけば5年以内に国内で消費する年間ガス量の4分1超まで拡大が見込まれている。こちらはトルコ経常赤字の縮小に繋がり、リラにとっては朗報となる。

 

G7に南アではなくコモロの大統領が出席との報道

昨日の南ア国内のニュースでは、電力の負荷制限が更に悪化(from bad to worse)と報じられている。また、市場動向とは関係ないが、昨日既読されたニュースのトップ項目に『日本がアフリカ連合をG7に招待、南アを除外』との記事が取り上げられている。今年のアフリカ連合の議長国が南アではなくコモロなことで、コモロの大統領がG7には出席することになる。しかし、報道では南アが招待されないことに不満を持っているような報じ方になっている。

 

メキシコの鉱業法の見直し法案は国内からも非難の声

メキシコのロペスオブラドール大統領は先月下旬、鉱業法の見直し法案を下院に提出した。法案では国内鉱山の採掘権をこれまでの50年から15年へと短縮し、水資源の許可規制も厳格化される。これに対して、メキシコの鉱業会議所のグティエレス所長は13日、同法案を厳しく非難した。同氏はこの法案が施行された場合、今後数年間で約90億ドルの投資が失われ、最大42万人の直接雇用が失われる可能性があると警告した。また、こうした政府の動きは市場に対する投資家の信頼を損なう恐れがあるだけでなく、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の下でさらなる貿易紛争につながるとしている。メキシコ政府の資源国有化戦略は、現在も米国を始めとする他国から非難の的になっているが、国内からも懸念する声が日増しに大きくなっている。

 

米国株を3週連続で売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの17日付の顧客フローリポートによると、同社の顧客は先週(10~14)の1週間に米国株を8億4100万ドル売り越した。売り越しは3週連続だった。この週は米雇用統計や米消費者物価指数(CPI)などの結果を受けて景気懸念やインフレ懸念が和らぎ、S&P500種株価指数は週間で0.79%高となって反発した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が9億1200万ドルの買い越しとなり、2週ぶりの買い越しに転じた。機関投資家は24億400万ドルの売り越しとなり、3週連続で売り越しとなった。個人投資家は7億7200万ドルの売り越して、こちらも3週連続で売り越しだった。企業の自社株買いは25億6600万ドルで、1月中旬以来の高水準となった。自社株買いが前週から加速したことで、S&P500の時価総額に対する自社株買い額は2010年以来の大きさで、比率は0.075%と22年の同時点(0.62%)を上回った。セクター別では11セクターのうち6セクターが売り越しとなった。ヘルスケアや資本財、金融、生活必需品セクターの流出が目立った。資金の流入はハイテクセクターがけん引した。

 

中古住宅不足で、米住宅市場指数は7カ月ぶり高水準:US Dashboard

全米住宅建設業協会(NAHB)が17日発表した4月の住宅市場指数は45と、前月から1ポイント上昇し、2022年9月以来、7カ月ぶりの高水準となった。同指数は、住宅建設業者などNAHB会員を対象に今後6カ月間の住宅の販売活動の見通しを指数化したもので、50を上回ると新築住宅市場を『好調』、下回ると『不調』と見ていることを支援す。指数は9カ月連続で50を割り込んだものの、4カ月連続で回復基調が続いている。NAHBは指数の回復について、中古住宅の『在庫不足』が背景にあると分析する。現在、住宅在庫の3分の1が新築だが、これまでは10%強だった。今後、「住宅ローン金利がさらに低下し6%を下回れば、住宅に対する需要がさらに高まる」と予想する一方、建設業者は「建築資材などの不足に悩まされ続けている」と述べていた。

 

インフレ高止まりの可能性があることでディフェンシブ性を配慮:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは17日付リポートで「最近の米国の銀行業界のストレスは経済成長に対する懸念を高め、昨年のインフレを重視した市場から成長懸念への転換を引き起こした」と指摘。足元のクロスアセット(資産間)のパフォーマンスからは「金融の安定性、流動性の懸念、信用リスクに直接さらされる市場にリスクが集中しているように見える」といい、「特に『リアルアセット(実物資産)』は、成長リスクとインフレの鈍化が重なって、現在のマクロ経済を背景としたマルチアセットポートフォーリオの魅力が問われている」とも指摘した。リポートでは「インフレ率が高止まりする可能性があるため、戦略的には依然として『リアルアセット』が好まれるが、インフラ、安定成長企業、短期の物価連動国債(TIPS)、中長期のブレークイーブンをロングするなど、よりディフェンシブ特性が求められる」と指摘。加えて、「戦術的には、商品価格のリセットはファンダメンタルズと比較して行き過ぎていた可能性があり、特にエネルギー分野では上振れを予想している」という。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00   12-2月英失業率(ILO方式、予想:3.7%)
○17:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○18:00   4月独ZEW景況感指数(予想:15.3)
○18:00   4月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:00   2月ユーロ圏貿易収支
○21:30   3月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比4.3%)
○21:30   3月米住宅着工件数(予想:140.0万件、前月比▲3.5%)
          建設許可件数(予想:145.0万件、前月比▲6.5%)
○19日02:00   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演

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