FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りが上値の重しに

日経平均株価は、先週まで6営業日続伸していたことから、上値の重い展開になった。為替の円安進行を支えに、日経平均はプラス圏でスタートしたものの、心理的節目の2万8500円を超えたことで、利益確定売りが優勢となった。前週末に大幅高となったファーストリテイリングの下落も指数を押し下げた。結局、営業日比21円高と2万8514円と7日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:134円を挟んでもみ合い相場

ドル/円は、一時134.00円付近まで上値を広げたものの、12日につけた高値の134.04円が意識されると失速、133.70円付近まで緩んだ。仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが、需給に大きな偏りは見られなかった。仲値発表後は、米長期金利が3.5%を上回る水準で推移していることで、ドル買い・円売りが再び強まり、12日の高値を上抜け、一時134.10円付近まで高値を拡大した。その後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、134.00円を挟んだもみ合いで取引された。午後は、米株価指数がやや堅調なことで、リスク選好のドル買い・円売りも見られ、一時134.22円付近まで上値を拡大する場面もあった。ただ、米長期金利水準は高値圏にあるものの3.51%付近でこう着気味なことから、上値も重くなり、その後は133.90円台へ緩んだ。ユーロ/ドルは、1.0980ドル台を中心とする狭いレンジで取引された。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率は低下:前週のFX概況

QUICKが17日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計の建玉状況によると、「ドル/円」取引の総建玉に占めるドル買いの比率は14日時点で53.8%だった。前の週末から4.2%ポイント低下し、2月下旬以来の低水準となった。日米での金融政策の方向性の違いから円安・ドル高が進んだ局面で、個人投資家は円買い・ドル売りに動いた。円相場は12日に一時1ドル=134.04円と約1カ月ぶりの円安・ドル高水準をつけた。日銀総裁に就任した植田氏が大規模な金融緩和を続ける考えを示す一方、米連邦準備理事会(FRB)は5月に0.25%の利上げを続けるとの観測が強まった。円安進行を受け、個人投資家は相場の流れに逆らう「逆張り」戦略や利益確定を目的とした円買い・ドル売りを活発にした。「ユーロ/円」取引ではユーロ買い比率が大きく低下している。前の週末から7.3ポイント低い16.8%と、2022年6月以来およそ10カ月ぶりの低水準となった。欧州中央銀行(ECB)の利上げが長引くとの見方から円安・ユーロ買高が進み、逆張りの円買い・ユーロ売りが勢いを増した。「豪ドル/円」取引では豪ドル買いの比率が同6.2ポイント低い65.9%だった。

 

各システマティック戦略による株式買いが期待される:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズは14につ付けのクオンツリポートで、今週も商品投資顧問(CTA)による米株ロングが拡大するとも見込んだ。CTAはS&P500種株価指数においてロング転換したほか、ナスダック100のロングも拡大、ラッセル2000のショートは徐々にカバーされていると推計している。日経平均のロングについても、大きく積み上がると指摘した。加えて、S&P500の実績ボラティリティが2021年の水準まで低下したことから、CTAに加えトレンドフォロー、リスクパリティ、ボラティリティ・コントロールといった各システマティック戦略からの買いも期待できるとした。

 

市場の目はトルコ大統領選・議会選挙に向いている

今週は、週末にかけてラマダン明けの祭り・砂糖祭(21日から23日)である。20日(木)もイスタンブール証券取引所は短縮取引であり、為替も週半ばから動意が鈍り、レンジがいつも以上に狭まってしまうかもしれない。流動性も悪化する可能性があり、その場合は、上値の重さが続いているなかネガティブなニュースにより注意が必要である。市場の目は5月14日の大統領・議会選挙に向いている。先週発表された世論調査によれば、野党6党の連合から大統領選に立った共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首は、現職のエルドアン大統領を支持率で7ポイントリードしている。しかしながら、1回目投票では立候補者の誰も当選に必要な過半数には届かず、決選投票の見込みが高まっている。2回目投票となれば、エルドアン側がネガティブキャンペーンを含むあらゆる手段を講じることが予想され、そうなると野党側もかなり不利になると現地メディアが報じている。

 

南アでは3月のCPIが発表:どれだけ動意づくかは難しいところ

今週は、南アからは3月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。1月は前年比で6.9%まで低下したCPIだが、2月は再び7%に乗せたこともあり、南アフリカ準備銀行(SARB)の大幅利上げ要因にもつながっている。もっとも、判断が難しいのは3・4月は南アの基準エネルギー価格が低下していることで、3・4月はインフレが抑えられるかもしれない。しかし、来月は原油高・ランド安の影響で基準エネルギー価格が上昇(=南アのインフレ高進)の可能性が高まっていることである。よって、今月のCPIで市場がどれだけ動意づくかは難しいところである。

 

メキシコでは利上げサイクルが終了した可能性も浮上

先週公表された3月30日開催分のメキシコ銀行(中央銀行)金融政策決定会合議事要旨では、理事会のメンバー全員がインフレ圧力の緩和に言及しており、すでに利上げサイクルが終了した可能性も浮上してきた。また、米国でもインフレ鈍化を示唆する指標が相次ぎ、市場では米利上げは最終局面を迎えつつあるとの認識が広がっている。今週メキシコからは特段のイベントが予定されていないこともあり、基本的にはドル円の動向に左右される。

 

配当重視の企業が自社株買い銘柄を引き続きアウトパフォームか:ゴールドマン

米決算シーズンの本格化を控える中、ゴールドマン・サックスは14につ付のリポートで「S&P500採用銘柄の配当金は23年1~3月期(1Q)に前年同期比8%増の伸びを記録した。この好調なスタートは、2023年のS&P500指数の1口当たり分配金(DPS)予想である5%成長に対するアップサイドリスクとなる」との見解を示した。その一方でリポートでは、「企業の自社株買いの見通しはあまり芳しくなく、すでに減速が始まっている」と指摘した。22年10月~12月期(4Q)の自社株買いは前年同期比21%減で、23年1~3月期(1Q)はさらに減速が進むとみられる」とし、配当と自社株買いの成長見通しが異なることから、配当重視の企業の方が自社株買い銘柄を引き続きアウトパフォームすることが予想されるとみていた。

 

5月の米利上げ確率は「8割超」:US Dashboard

米金利先物の動きから米政策金利を予想する『Fedウオッチ』によると、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利上げ確率は、8割を超えた。米欧金融機関の経営危機を受け、一時は利上げが見送られるとの見方が台頭した。しかし、その後、金融システム不安は和らいでいる。14日に米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事が「金融政策の一段の引き締めが必要だ」と述べた。アトランタ連銀のボスティック総裁も5月FOMCでの利上げを支持した。同日に発表された4月の米消費者体動指数は市場予想を上回り、1年先の物価見通しを示す予想インフレ率が4.6%と前回の3.6%から大幅に上昇したことと相まって利上げ観測が強まっている。

 

欧米市場イベント

○21:30   2月対カナダ証券投資
○21:30   2月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲1.6%)
○21:30   4月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲18.0)
○22:00   カンリフ・イングランド銀行(英中銀、BOE)副総裁、講演
○23:00   4月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:44)
○24:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18日05:00   2月対米証券投資動向

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