FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:好決算銘柄が指数を支援

前日の米国株式市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表を経て景気の先行き不透明感が強まり株安となったが、東京市場では好決算を受けて内需・ディフェンシブ銘柄の一角が堅調で指数を支援した。一方、前日の米国市場で主要半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体関連株が売られた。ドル/円相場が前日の取引時間中と比べやや円高となっていることで、輸出関連銘柄の一角も軟調だった。結局、前営業日比74円高の2万8156円と5日続伸して終了した。4月第1週(3日~7日)の投資部門別株式売買動向(東証・名証の合計)によると、海外投資家(外国人)は6796億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。個人投資家は2103億円の買い越しとなり、買い越しは2週ぶりとなった。信託銀行は4032億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。

 

東京外国為替市場:本邦輸入勢やリスク選好の円売りが優勢

ドル/円は、前日に発表された3月米消費者物価指数(CPI)が予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)が5月以降に利上げを停止するとの観測からドル売り・円買いが先行し、133円を割り込み132.90円付近へ下落した。しかし、本邦輸入勢のドル買い・円売りや米長期金利の上昇に支えられ、133.30円付近へじり高となった。日経平均株価が持ち直しで、リスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、133.20円台を中心とする狭いレンジで推移した。今晩発表される3月米卸売物価指数(PPI)を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.09ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

CTAはTOPIX先物でロング拡大で5月の巻き戻しに注意:JPモルガン

12日付リポートで、TOPIX先物では商品投資顧問(CTA)といった海外順張り勢によるロング拡大が目立って増加していると指摘した。1~3月までに突発的なリスクオフに見舞われた場合、4月は海外勢による日本株買いが発生しやすいとした上で、今年も同様の傾向が見られているという。要因について、①新年度入り後、国内勢による新規キャッシュ流入が株価押し上げと海外勢によるショート解消を迫ること、②配当課税を巡る内外投資家行動の差、③全人代以降の中国景気の持ち直しで日本株に見直しムードが高まることなどを挙げた。一方、CTAによる4月の先物買いは、「5月にその大部分が吐き出される展開をたどってきた」とも指摘。昨年以降、CTAによる上値追いの期間は1カ月ほどにとどまっていることからも、好材料がない限り、TOPIXが2025前後からは戻り売りに転じるプレーヤーが増えるとの見方も示した。

 

クレディスイスAT1債全額減損でアジアの富裕層が犠牲に:WSJ

米ウォ—ルストリート・ジャーナル紙は、スイス金融大手UBSによる救済合併の一環として、クレディ・スイスのAT1債(その他ティア1債)の全額減損が決まったことで、裕福なアジア投資家の一部は大きな損失を被った。170億ドル(約2兆2600億円)相当のクレディ・スイスAT1債は先月、実質的に無価値となった。スイス金融当局による今回の決定は物議を醸している。アジアの富裕層の多くはAT1債に資金を投じており、中にはクレディ・スイスのプライベートバンク顧客も含まれる。AT1債は高いリターンが得られ、世界有数の大手銀行など知名度の高い金融機関が発行体となっており、裕福な個人投資家にとっては極めて妙味の大きい金融商品だった。クレディ・スイスが2022年6月に発行した16億5000万ドル相当のAT1債は9.75%の年利を確約していた。同行はここ10年、米ドルや他の通貨建てで永久債を発行しており、その中でも最も高い金利水準だった。またディールロジックのデータによると、これらのAT1債は、多くの欧米金融機関を通じて販売されていた。

 

トルコは米・ロの板挟みの状態

トルコと米国の関係に溝が広がりつつあることも、リラにとっては悪材料である。米政府は昨日、米国の対ロ制裁に違反して軍事転用ができる製品をロシアに輸出したとして、トルコに拠点を置く複数の企業に制裁を科した。主にロシアが所有する、または同国と関係のある企業のようである。エネルギーや観光などトルコ経済がロシアに頼ることは多く、今後も米国とロシアの間で板挟み状態が続くかもしれない。

 

南アからポジティブ要素を探すのは難しい状況

先日発表された国際通貨基金(IMF)の世界経済の見通しでも、南アが主要国の中で最大の下方修正(今年の成長率は前回の見積もりから1.1%減少し+0.1%)予想となっているように、南アからポジティブ要素を探すのは難しい状況である。ランドの売り場探しは変わらないと思われる。本日も南アからは主だった経済指標の発表等は予定されていない。南アの電力事情(負荷制限)は現在のステージ5から6に達するのではないかとの憶測が流れている。昨日は電力相がその可能性を否定しないものの「ステージ6の負荷制限を超える最悪のシナリオを回避するために、できる限りのことを行っている」と発言している。冬季が近づいていることで、電力事情には目を向けておく必要はありそうである。

 

預金逃避は収束し次は銀行業界の規制変更に焦点を当てる:RBC

RBCキャピタル・マーケッツは12日付のリポートで、米連邦準備理事会(FRB)のマクロ預金データ、銀行関係者との対話に基づき、シリコンバレーバンクらの経営破綻に伴う預金逃避の動きは収束したとの見解を示した。その上で、次は銀行業界の規制変更に焦点を当てるとしながら、「銀行業界には収益性の低下が待っている」と先行きを警戒した。リポートでは、2008年のリーマンショック後の規制変更と同様、預金逃避に伴う流動性ストレスに備えた高品質流動資産(HQLA)の引き上げ、過剰な無保険預金に対する資本賦課、包括利益(AOCI)の自己資本への算入などの規制変更により、「多くの銀行、特に資産規模で500億ドルから2500億ドルの銀行の収益性が低下するものと思われる」と指摘した。また預金逃避は終わったものの、シリコンバレーバンクらを悩ませた金利デュレーションの問題を抱える可能性のある他の銀行を処理するため、「資本力のある大手銀行が近い将来、規制当局の支援を求められるかもしれない」ともみていた。

 

バフェット氏は『銀行破綻はまだある』:米CNBC

著名投資家ウォーレン・バフェット氏は12日、米CNBCのインタビューで『銀行破綻はまだ終わっていない』と述べ、米国の銀行システム動揺はまだ続くとの認識を示した。3月に米有力地銀のシリコンバレーバンク(SVB)とシグネチャー・バンクがそれぞれ預金取り付けで破綻し、金融システムの脆弱性が露呈した。金利上昇リスクに備えていなかった銀行の経営者について、バフェット氏は「間抜けな意思決定」と批判した。一方、銀行破綻が続いたとしても「預金は安全」で、個別行の失敗によって「米国の市民生活全体がパニックに陥る必要はない」と強調した。バフェット氏は「会計処理が、利益を押し上げるための方策を銀行経営者にとらせる誘因となった」とも指摘した。SVBは保有債券の多くを時価評価しない「満期保有目的」に入れていた。金利上昇局面で含み損が拡大し、破綻に至る信用不安の引き金となった。バフェット氏は過去の「株主への手紙」でも度々、会計基準が必ずしも経営実態をあらわさない点を説いていた。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.8%/前年比7.4%)
○15:00   2月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○15:00   2月英鉱工業生産(予想:前月比0.2%/前年比▲3.7%)
○15:00   2月英製造業生産高(予想:前月比0.2%)
○15:00   2月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:170.00億ポンドの赤字/49億ポンドの赤字)
○18:00   2月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比1.0%/前年比1.5%)
○20:45   ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.2万件/181.4万人)
○21:30   3月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比横ばい/前年比3.0%)
       食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.4%)
○22:00   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○14日02:00   米財務省、30年債入札
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、最終日)
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合(ワシントン、16日まで)

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