FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米3月CPI発表を控えるなか円安基調が相場を支えた

米国市場でNYダウが上昇した流れを引き継ぎ、景気敏感株やバリュー株が堅調だった。対ドルでの円安も相場を支えた。一方、米3月米消費者物価指数(CPI)の発表を今晩に控えて手掛かりにくさも意識された。ただ、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が保有比率を高めたことに言及した総合商社株には引き続き買いが入った。結局、前営業日比159円高の2万8082円と4日続伸して終了した。信用評価損益率は7日申し込み時点でマイナス10.39%と、前の週のマイナス10.03%からマイナス幅が0.36ポイント悪化した。悪化は3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:日本株高を好感した円売りがやや優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、133.90円付近へじり高となった。日経平均株価の上げ幅拡大で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。午後は、日米金融政策の違いが鮮明になっていることで、海外勢などから仕掛け的なドル買い・円売りが持ち込まれ、一時134.04円付近まで上昇して約1カ月ぶりの高値をつけた。ただ、今晩発表される3月米消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたいとの雰囲気から、上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて133.80円前後で推移した。ユーロ/ドルは、1.09ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

世界経済見通しを下方修正:IMF

国際通貨基金(IMF)は11日発表の世界経済見通しで、2023年の世界の成長率を2.8%、24年は3.0%と予想した。それぞれ0.15下方修正した。米国の23年の成長率予想は1.6%に0.2ポイント引き上げた。日本の23年の成長率見通しは1月時点の1.8%から1.3%に下方修正。ウクライナ戦争と金融セクターのストレスを背景に不確実性が高いと警告した。

 

OPEC減産分を米国などが補う

米エネルギー情報局(EIA)は11日、2023年の世界の石油供給量は前年比で日量約150万バレル増の同1億130万バレルになるとの見通しを発表した。石油輸出国機構(OPEC)などが自主減産を打ち出しているが、米国などほかの産油国がその影響を補うとしている。21年と22年はOPECの増産が続いたが、23年以降は一転して生産量を減らす見通しだ。これに代わって非OPEC諸国が増産に乗り出し、世界の石油供給をけん引するという。20年の世界の石油生産は新型コロナウイルス禍を受けて前年に比べて減少したが、21年以降は回復に転じている。EIAは23年の世界生産がこれまでの過去最高だった18年(日量約1億50万バレル)を上回るとみる。OPECとロシアなどで構成する「OPECプラス」の一部は4月2日、23年末まで日量約116万バレルの減産を決めた。EIAによると、23年のOPECの生産量は前年比で日量約50万バレル減り、ロシアも同約40万バレル減少する。一方、米国の生産量はシェールオイルを中心に23年に前年比で日量約90万バレル増加する。南米ガイアナやブラジルの海底油田の生産も増える。非OPEC諸国の増産量を合計すると、ロシアの減産分を差し引いても23年は前年比で日量約190万バレルとなり、増加分の半分を米国が供給する計算である。米国の石油生産量は23年に日量約2110万バレルに達するとみる。

 

トルコの2月鉱工業生産はプラス予想から大きく下落:大地震の影響

昨日発表された2月トルコ鉱工業生産(前月比)は-6.0%とプラス予想から大きく下振れた。同月にトルコ南部を襲った大地震の影響が色濃く残る結果となった。指標に対するリラ/円の反応は鈍いままだったが、リラ買い材料ではないことは確かである。なお、世界銀行によると、2月の災害による物理的な損害は約342億ドルと見積もられ、これは2021年トルコGDPの4%に相当する。同銀の試算では、復興・復旧費用はその2倍に達する可能性があるとされている。復興需要も一部では期待されているが、政府の負担増が懸念され、リラの上値を抑えることになる。

 

南アの政治的な動きに要警戒

本日も南アからは経済指標等の発表はないが、南アの政治的な動きには要警戒となる。南アの国営電力会社エスコムの前CEOデ・ルイター氏が、エスコムの汚職を指摘していたが、全国鉱山労働者組合 (NUM) は、汚職をした従業員と管理職に関する情報をゴーダン公共企業相に伝えていたことが判明した。しかしながら、ゴーダン氏は、それ以上の措置をとらなかったことで、NUMはラモクゴパ電力相との会談を要求していると報じられている。これまで、与党のアフリカ民族会議(ANC)は『デ・ルイター氏が汚職の証拠を示さない場合は訴える』と述べていたが、やはり汚職が判明されたようで、今後の展開が注目される。

 

顧客が米国株を2週連続で売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの11日付の顧客フローリポートによると、同社の顧客は先週(3~6日)の1週間に米国株を23億700万ドル売り越した。売り越しは2週連続だった。この週は市場予想を下回る企業景況感や米雇用指標が相次ぎ、米景気の不透明感が高まる中、S&P500種株価指数は週間で0.10%安となって4週ぶりに反落した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が9億4300万ドルの売り越し。4週ぶりに売り越しに転じた。機関投資家は23億9100万ドル売り越した。2週連続で売り越しだった。個人投資家は6億4500万ドルの売り越して、こちらも2週連続で売り越した。企業の自社株買いは16億300万ドルだった。自社株買いが前週から加速したことで、10週間ぶりに典型的な季節的傾向をやや上回った。通常は決算シーズンが始まってから、約6週間後に加速する傾向があるという。S&P500の時価総額に対する自社株買いは0.67%と、22年同時点(0.60%)を上回った。もっとも、1月に自社株買いが多かったことが影響している。セクター別では11のセクターのうち9セクターが売り越しとなった。この週は商業用不動産を巡る懸念を背景に、不動産から資金流失が最多だった。規模は2021年7月以来の大きさ。次いで資本財からの流出が多かった。資金流入ではコミュニケーションサービスが最も目立った。前週に大きく売られたことから反動で買いなおされた。

 

利上げに『慎重になる必要』:米シカゴ連銀総裁

米シカゴ連銀のグールズビー総裁は11日の講演で、金融システム不安の経済への影響が不透明な環境で「我々は慎重になる必要がある」と述べた。「金融界の逆風がどの程度、インフレの抑制につながるのか見極められるまで、さらにデータを収集し、利上げに積極的になりすぎないように注意すべきだ」と話した。金融ストレスがある現状では、金融ストレスが実体経済に及ぼしうる潜在的な影響を精査するために「正しい金融政策のアプローチは慎重さと忍耐を必要とする」と強調した。歴史は金融ストレスがある局面はそれが危機に至らなくても、信用状況の悪化につながると戒めていると指摘。「米連邦準備理事会(FRB)は政策を決定する際に(金融状況を)確実に考慮しなければならない」との考えを示した。一方、過度な金融ストレスがかかった際に予防的な利下げを求める考えがあるが「この論理には注意すべきだ」と話し、早期の利下げ転換を見込む市場をけん制した。金融市場の懸念は金融政策上の懸念に優先させるべきだという考えを「ファイナンシャル・ドミナンス」と呼び、こうした立場には否定的な考えを示した。グールズビー氏は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を持っている。

 

米国市場では3月消費者物価コア指数:予想は前年比+5.6%

2月実績は前年比+5.5%だった。サービス価格や住居費は高い上昇率を維持している。3月については、住居費の上昇率は高止まりが予想されているが、財の物価上昇率は鈍化が見込まれており、コアインフレ率は2月実績と同水準となる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   2月インド鉱工業生産(予想:前年同月比5.1%)
○21:00   3月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比5.80%)
○21:00   1月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比1.4%)
○21:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:30   3月米CPI(予想:前月比0.2%/前年比5.2%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.4%/前年比5.6%)
○22:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○22:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○23:30   EIA週間在庫統計
○13日01:00   3月ロシアCPI(予想:前月比0.2%)
○13日01:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○13日02:00   米財務省、10年債入札
○13日03:00   3月米月次財政収支(予想:3020億ドルの赤字)
○13日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月21-22日分)
○13日03:15   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、13日まで)
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合(ワシントン、16日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ