FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:新総裁による日銀の緩和政策継続姿勢を好感した買い優勢

米半導体株高を受けて関連株が堅調だったほか、日銀の早期政策修正への思惑が後退し、輸出関連株が支援された。終盤には米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の日本株への強気な見方が一部報じられ、思惑から株価が一段高となる場面もあった。日銀の植田新総裁が前日の会見で緩和継続姿勢を示したことで、133円台前半までの円安が好感された。自動車などの輸送用機器や電気機器、機械といった銘柄群で堅調な動きが目立った。結局、前営業日比289円高の2万7923円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:133円台前半でもみ合う展開

ドル/円は、高値警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが先行、133.25円付近へ下落した。米長期金利が小幅に低下したこともドル売りを誘った。しかし、仲値にかけて本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、133円台半ばへ値を持ち直した。午後は日経平均株価や米長期金利を睨みながら、やや値を下げて133.30円前後でもみ合いとなった。明日発表される3月米消費者物価指数(CPI)のイベントを前に、様子見姿勢が強まっている。ユーロ/ドルは、1.08ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

10日時点のSQの売買注文予想

株価指数オプションとミニ日経平均先物4月物は14日、特別清算指数(SQ)算出を迎える。SQ算出に関連した14日寄り付きの現物株式の売買注文は、「日経平均株価」の裁定取引関連で採用1銘柄あたり30万株程度で売り買いは均衡しそうだ。7日時点の建玉と10日の手口をもとに主要証券会社の現物株の売買を推計した。SQ算出の寄り付きに現物株の買いが目立つとみられる証券会社はUBS(13万株)、ソシエテ・ジェネラル(4万株)、三菱UFJモルガン(3万株)など、一方、売りが想定されるのは、みずほ(17万株)、JPモルガン(6万株)、モルガン・スタンレー(5万株)などの証券会社。

 

中国景気は底入れ進むも製造業を中心に不透明要因山積み

中国では先月の全人代を経て習近平政権の3期目は本格始動している。昨年の中国経済は当局によるゼロコロナ戦略が足かせとなったが、昨年末以降の戦略転換を受けて底入れが期待される。政府統計では企業マインドの改善が示唆されるなど、今年の中国経済がスタートダッシュを切っている様子が確認される。過去には政府統計と民間統計にズレが生じる動きがみられたが、3月の財新製造業PMIは50.0と好不況の分かれ目となる水準を維持するも頭打ちしている。他方、3月の財新サービス業PMIは57.8に上昇して2年強ぶりの高水準となっており、政府統計と同じ方向に動いている。よって、足下の中国経済は着実に底入れの動きを強めていると捉えられる。ただし、製造業においては「国進民退」色がうかがえる上、外部環境を巡る不透明要因が山積する状況と併せて、先行きの景気回復の持続性には不透明感がくすぶっている。

 

トルコリラを積極的に買う材料は乏しい

トルコリラを積極的に買う材料は依然として乏しいままである。昨日発表されたトルコの2月経常収支は87.8億ドルの赤字と予想よりも赤字幅が拡大し、同月失業率は10.0%と前回より悪化した。さえない経済指標に対する相場の反応は鈍かったものの、トルコ経済が好転する兆しも見えないのは確かである。ドル/円や主要クロス円が上昇したとしても、それらに比べてリラ/円の上昇幅は限られる。なお、本日は欧州序盤に2月トルコ鉱工業生産が発表予定である。前月比予想は2.0%と前回から若干改善する見込みである。

 

IMFの世界経済見通しの公表で南アの見通しに注目

ランドの重さの要因は複数あるが、金融危機の影響などで南アへの投資が減少しているなどの南ア国外の要因である。そして、南アがインフレ進行の中で経済・政治などでポジティブ要素が限られるなど国内要因がある。国内要因では、緩和されていた電力の負荷制限が、本日16時にステージ3からステージ5へと拡大することも、再び南アにとってのネガティブ要因になっている。本日から南ア市場は休場明けとなるが、南アからは主だった経済指標の発表予定はない。ただし、国際通貨基金(IMF)が世界経済の見通しを公表することで、南アの見通しがどのようになるのかには注目しておきたい。

 

米インフレ期待見通し:NY連銀3月調査

「インフレ期待1年:4.7%(2月4.2%)、3年2.8%(2月2.7%)、5年2.5%(2月2.6%)」金融政策決定において、FRBはインフレ期待動向を重要視。先週の雇用統計の比較的強い結果に続き、インフレ期待の上昇で、5月連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利上げをさらに正当化。6月の追加利上げのリスクを指摘する市場関係者も浮上した。米2年債利回りも再び4%台に達するなど、ドルも下げ難い展開か。

 

米国の銀行不安や景気減速懸念が後退

アトランタ連銀は米国1-3月期の国内総生産(GDP)成長見通しを前回5日に示した+1.4%から+2.2%へ引き上げた。世銀も世界経済の本年の成長見通しを引上げた。加えて、連邦住宅貸付銀行(FHLB)が3月最終週に発行した債券が370億ドルと2週間前の3040億ドルから急減したと関係筋の話として報じられた。米銀巡る危機緩和の兆候が見られた。

 

コロナ特需解消でPCメーカー苦戦

米アップルのパソコン(PC)出荷台数は1₋3月(第1四半期)に40.5%減少した。売れ残った在庫を抱えるPCメーカーにとって厳しい年明けとなった。IDCの最新リポートによると、全PCメーカーの合計出荷台数は29%減の5690万台となり、2019年初頭の水準を下回った。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期のリモートワーク用特需が消えた形である。レノボ・グループとデル・テクノロジーズは30%超の減少を記録し、HPは24.2%減少。華硯電脳(エイスース)は30.3%減だった。過去1年の個人消費の減速により、スマートフォンの出荷台数は2桁台の減少となり、世界の大手メモリーチップ供給会社の間では在庫が積み上がっている。携帯機器やデスクトップPC、ノートPC用にメモリを供給する韓国のサムスン電子は先週、09年の世界金融危機以来の低水準となる1₋3月利益を発表し、メモリー半導体を減産することも明らかにした。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月ノルウェーCPI(予想:前月比なし/前年比6.1%)
○16:00   2月トルコ鉱工業生産(予想:前月比2.0%)
○18:00   2月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.8%/前年比▲3.5%)
○21:00   3月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比4.70%)
○21:00   2月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.3%)
○12日02:00   米財務省、3年債入札
○12日02:30   グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○12日06:15   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合(ワシントン、16日まで)
○IMF、世界経済見通し公表

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