FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国の株安を引き継ぎ上値の重い展開

米国市場で弱い経済指標を受けてS&P500種とナスダック総合が下落した流れを引き継ぎ、機械や電気機器など景気敏感株を中心に幅広く売られた。また、前日に比べてドル安/円高だったことは輸出株を中心に重しになった。一方、ディフェンシブ銘柄は堅調に推移した。市場では、景気動向に目が向いており、米雇用統計を控えて手仕舞い売りが強まったとの声が聞かれた。結局、前営業日比340円安の2万7472円と続落して終了した。3月第5週(27日~31日)の投資部門別株式売買動向(東証・名証の合計)によると、海外投資家(外国人)は70億円買い越しとなり、買い越しは6週ぶりになった。個人投資家は2720億円の売り越しとなり、売り越しは3週ぶりになった。信託銀行は180億円の売り越しとなり、売り越しは2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:131円台前半の狭いレンジでのもみ合い相場

ドル/円は、オセアニア市場で、このところ予想を下回る米経済指標が相次いでいるため、米景気後退を警戒したドル売り・円買いが先行して131円割れとなった。東京市場でも軟調地合いが続き、日経平均株価が下げ幅を拡大すると、さらにドル売り・円買いが進んで、一時130.78円付近まで下落した。ただ、前日の海外市場でつけた安値130.64円が視野入りすると、下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、131.20円台へ値を持ち直した。海外勢からイースター休暇を控えた持ち高調整などのドル買い・円売りも観測された。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、131.20円台を中心とする狭いレンジで推移した。明日発表される3月米雇用統計の内容を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.0895ドルを挟んで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

需給ギャップ悪化はYCC撤廃への確信度は幾分低下:ドイツ証券

日銀が5日発表した日本経済の需要と供給力の差を示す『需給ギャップ』の推計は、2022年10~12月期がマイナス0.43%だった。プラス圏が目前に迫った22年7~9月期のマイナス0.08%から悪化し、11期連続のマイナスとなった。ドイツ証券は5日付のレポートで、日銀試算のギャップは直接推計する手法であることから、マイナス幅拡大の根本的な理由を突き止めることは不可能であると指摘した。同時に公表した短観の加重平均DIの改善とは整合的でないともした。一方、日銀が認識している需給ギャップがマイナス幅を拡大したことから、日銀は経済がインフレを加速させるほど過熱していないと判断しているとも指摘した。今回の結果は、4~6月期における長短金利操作(YCC)撤廃に対する確信度を幾分低下させるものであったとの見方を示した。それでも、4月の展望レポートで、日銀が22年度後半ごろの需給ギャッププラス転換との見方を維持することで、今回の影響は限定的にとどまるとも展望した。

 

トルコでは南部で起きた大地震や欧州経済の停滞懸念がリラの重し

世界経済をリードする米経済の見通しがさえず、トルコが頼るところが大きい欧州経済も停滞が予想されつつあるなか、トルコ経済の成長加速は望めそうにない。2月にトルコ南部で起きた大地震の影響もまだ色濃く残り、復興需要も期待されたほどではないなか、リラに投資資金が向かうという状況ではない。ところでトルコの放送監視機関は先日、政府の政策を批判した番組を放送したとして、3つのテレビ局に罰金を科した。批判は主に、大地震やその他の災害への対応のまずさについてだった。また技術系大学としては世界で3番目に古いとされるイスタンブール工科大学も、政府批判で学科長が辞めさせられている。トルコ国内における報道や言論の自由が制限されているのは以前から指摘されていたことである。ただ5月半ばに大統領・国会議員選挙を控えて、今後は検閲が強化され、政府批判が抑え込まれる可能性が高まりそうである。

 

南アでは原油価格上昇が経済にとって痛手

南ア経済にとって痛手となっているのが、原油価格の上昇です。今月はエネルギー基準価格はディーゼル価格が大幅引き下げとなったものの、このままの原油価格の水準を今月維持されれば、来月はガソリンとディーゼルの基準価格の大幅引き上げが予想される。一部の試算では、現時点の原油価格でインフレを抑えるためには、ドル/ランドが16ランド台までランド高が進まなければならないとしている。インフレ高進で政府と家計の債務が急拡大しているなど、南アは他国と比較しても厳しい状況に陥っている。

 

米3月非製造業景況指数とサービス業PMI改定値は予想下回る

米3月ISM非製造業景況指数は51.2と2月55.1から予想以上に悪化し、50を割り込んだ昨年12月来で最低となった。仕入れ価格は59.5と、65.6から低下し20年7月来で最低。雇用は51.3と、54から低下も3カ月連続で活動の拡大となる50を上回った。事前に発表された米3月サービス業PMI改定値は52.6と、予想外に速報値53.8から下方修正された。2月50.6からは上昇。同月総合PMI改定値は52.3と、予想外に速報値53.3から下方修正された。2月50.1からは上昇した。予想を下回った結果を受けて追加利上げ観測が後退し米国債相場は続伸して、10年債利回りは3.26%まで低下した。

 

信用ストレス指標が臨界点に達するまで時間はあるが数週間:BofA

BofAセキュリティーズは5日付リポートで米連邦準備理事会(FRB)が週次で公表する預金統計など踏まえつつ、「地方銀行のストレスは緩和されたように見えるが、中期的な信用引き締めについては引き続き懸念している」と指摘した。金融引き締めによる景気減速や下振れ見通しが銀行の融資態度を厳格化し、「CRE(企業不動産)の融資順が厳しくなる可能性が高い。これはクラスBやCのオフィスプロパティに特有の問題を引き起こす可能性がある」と警戒感を示した。企業信用市場の信用状態を示す独自の「信用ストレス指標(CSI)に着目。ここの指標はここ数週間で安値から17ポイント上昇し、臨界点(75ポイント)をあと約7ポイントまで接近した。臨界点に達すると「信用の流れを物質的に凍結させ、そこに長く留まるほど損害が不可逆的になる可能性が高くなる。これは、たとえ信用状況が後から改善したとしても、深刻な景気後退を回避するには信用の流れを再開するのが間に合わない可能性がある」ことを意味するという。リポートでは「今のところは信用状況がクリティカルゾーンに引き締まるのを防ぐ時間はまだある。そのような時間は数カ月ではなく数週間と試算されると考えている」との見解を示した。

 

米企業の23年1~3月期も精彩を欠く決算発表シーズンに:ウルフリサーチ

ウルフ・リサーチは5日付リポートで「3四半期連続で決算発表シーズンに向けて過去平均を上回る下方修正が行われた。また、ハードルが下がったとはいえ、私たちの感覚ではS&P500種株価指数の構成企業はせいぜい2023年1~3月期の決算発表で非常に控えめなビートを出す態勢を整えている。経営陣のガイダンスも同様に期待外れになる可能性が高い」と精彩を欠く決算発表シーズンを見込んだ。直近の22年10~12月期決算ではアーニングス・サプライズが0.8%で世界金融危機(GFC)後で最も低い水準だった。リポートでは「最近の決算シーズンの傾向は経済が大幅に減速しており、今年は不況に陥る可能性が高いことと一致している。S&P500のオペレーティングEPS(1株利益)は23年に190ドル、24年に210ドルと引き続き予測している」と指摘した。これはいずれも市場予想を15%ほど下回る水準だという。

 

利上げ停止後も米預金金利の上昇続く:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは5日付リポートで、今後数カ月にわたって米預金金利が上昇し続けると予想した。政策金利の引き上げは通常、1~2四半期のタイムラグを伴って預金金利の上昇につながると指摘した。利上げサイクルがピークに近づいていても、その後数カ月間は預金金利が上昇し続けるとした。また、今回の利上げサイクルはペースが速く、短期金利と預金金利の間に歴史的なギャップが存在していることから、預金獲得のための競争が激化する可能性があると指摘した。加えて、モバイルバンキングの台頭により、預金切り替えコストが低下していることも預金獲得競争を激化させる要因になりうるとの見方を示した。預金金利の上昇により、銀行の利ザヤ縮小が懸念される。同リポートでは、銀行の収益性が10%低下することで、貸出が約2%減少するとの学術的研究を引用。米国で3~6%、ユーロ圏で1~2%の貸出抑制につながる可能性に言及し、両地域のGDPを約0.5%下押しするとの推計も示した。

 

欧米市場ベント

○14:45   3月スイス失業率(季節調整前、予想:2.0%)
○15:00   2月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.1%/前年同月比▲2.0%)
○17:30   3月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:53.5)
○20:30   3月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   3月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.20万人/失業率5.1%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:20.0万件/169.9万人)
23:00   3月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、討議に参加
○ノルウェー、メキシコ(聖木曜日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ