FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米景気先行き不安と円高を嫌気した売り優勢に

前日の米国市場では、景気の先行き不透明感から主要3指数が下落しており、東京市場でも幅広い銘柄が売られた。また、為替の円高基調も日本株の重しとなった。ただ、東証改革への思惑から、低PBRの海運株は堅調に推移した。利益確定目的の売りも出た。結局、前営業日比474円安の2万7813円と4日ぶりに反落して終了した。信用評価損益率は3月31日申し込み時点でマイナス10.03%と、前の週のマイナス10.46%からマイナス幅が0.43ポイント縮小した。改善は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:日本株大幅安がドルの重しに

ドル/円は、日経平均のさえない動きがリスク回避の円買いを誘い、131円台半ばから一時131.31円付近まで値を下げた。前日の発表された米経済指標が低調な数字となり、米景気減速懸念が強まっていることも、ドル/円の押し下げ要因となった。しかし、本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、131.55円付近へ値を戻した。午前11時に、ニュージーランド準備銀行が予想を上回る50bpの大幅利上げを実施したことで、NZD/円はNZD高・円安が強まった。ドル/円はこの流れが波及して131.80円付近へじり高となった。低下していた米長期金利がやや持ち直したことも、ドル買い戻しにつながった。午後は、日経平均株価の下げ幅拡大を睨みながら、やや値をさげて131円台半ばでもみ合いとなった。今晩は発表される米経済指標を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、この後に参入してくる欧州勢待ちの様相を呈しており、1.09ドル台半ばで小動きに終始した。

 

トルコの自動車販売台数が拡大:数少ない明るい材料

トルコメディアによれば、同国の自動車・小型商用車の市場は第1四半期に55.2%拡大した。販売台数は23万台を超え、3月だけでも10万台以上と記録的な急増となった。サプライチェーンの制約が緩和されたこと、需要のひっ迫、実質金利マイナスなどの要因があった。トルコ経済にとっては数少ない明るい材料である。投票まで残り約40日間となった大統領選については、先月末の世論調査で、野党6党の連合から出馬するクルチダルオール・共和人民党(CHP)党首が『当選しない』と考えている割合が減少していることが報じられている。

 

大幅利上げの南アランド買い相場も一服

先週の南アフリカ準備銀行(SARB)による大幅利上げのランド買い相場は一服となった感がある。米金利の低下にもかかわらず、ドル売り・ランド買いの反応が鈍くなっている。週末の石油輸出国機構(OPEC)プラスの減産が南ア経済に痛手になるとの声が高いのもランドの重しの一つである。昨日発表された4月の南ア国内のエネルギー基準価格は、ディーゼル価格は大幅に低下、ガソリンはほぼ横ばいとなった。しかし、5月は減産の影響により再び基準価格が上昇するという声が高まっている。特にこれから冬季に差し掛かる南半球の南アにとって、エネルギー価格の上昇は深刻な問題となりそうである。また、昨日米金融大手JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)が『米国の銀行危機はまだ終了していない(Not Over Yet)』と発言し、今後何年にわたって影響が継続するとの見方を示したように、金融システムに対する不安もランドには悪材料となりやすい。

 

メキシコ中銀は15会合連続の利上げでも先行きはハト派姿勢

メキシコ中銀は先月30日に開催した定例会合で15会合連続の利上げに動くも、利上げ幅を25bpに縮小する決定を行った。同国経済は外需や移民送金の大方を米国に依存しており、足下では米国経済が頭打ちの様相を強めるなかで景気の足を引っ張る材料が顕在化しつつある。他方、商品高や景気回復を追い風とするインフレ昂進の動きは一服しつつあるも、依然中銀目標を大きく上回る水準で高止まりしている。ただし、政策運営に影響を与える米FRB(連邦準備制度理事会)は直前のFOMCでも小幅利上げに留めており、利上げ幅の縮小に動きやすい環境にあったと捉えられる。さらに、先行きの政策運営について前回会合で言及した追加利上げの可能性を削除するなど、利上げ局面の終了が近付いている様子もうかがえる。米ドル高一服によりペソ相場は強含んでいるものの、先行きの政策運営は米FRBの動向に左右される神経質な展開が続くと予想される。

 

顧客は米国株を5週ぶりに売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの4日付の顧客フローリポートによると、同社の顧客は先週(3月27日~31日)の1週間に米国株を32億900万ドル売り越した。5週ぶりの売り越しとなった。この週は米金融システム不安が和らぐ中、2月の米個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率が市場予想を下回ったことが追い風となり、S&P500種株価指数は週間で3.48%高となって3週続伸した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が3100万ドルを買い越して3週連続の買い越しだった。機関投資家は15億1700万ドル売り越して売り越しに転じた。個人投資家は10億1500万ドルを売り越して、こちらも売り越しに転じた。企業の自社株買いは4億5200万ドルだった。自社株買いは過去9週間、典型的な季節的傾向を下回っている。セクター別では11のセクターのうち6セクターが売り越しとなった。この週はコミュニケーション・サービスが2008年以来となる、過去2番目に大きい資金流出となった。ハイテクも6週間ぶりに売り越しとなった。買い越しだったのはエネルギーに続いて、資本財と素材だった。エネルギーは原油市場が上昇に転じたことが盈虚うした。個別株やETFについては、ハイテクと資本財を除く全てのセクターで個別株が買い越しとなった。ETFは08年以来のデータ史上初めて流出を記録した。

 

3月のマクロ・CTAは下落率が18年2月以来の大きさ

米調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)が集計するヘッジファンド全体の運用成績を示すグローバル・ヘッジファンド指数は、3月の騰落率が1.18%安だった。下落率としては2022年6月(1.79%安)以来の大きさとなった。3月の米国株式市場は下旬にかけて反発基調を強めたが、グローバル・ヘッジファンド指数の戻りは鈍かった。中でも、マクロ・ヘッジファンド戦略の下落が目立った。同戦略の月間下落率は3.01%と、18年2月(4.85%)以来の大きさとなった。株式ロング・ショート戦略は0.13%安にとどまった。

 

米製造業新規受注は2カ月連続でマイナスで設備投資の低調を示唆:US Dashboard

4日に発表された2月の米製造業新規受注は前月比0.7%減と市場予想の0.4%減を下回った。1月の2.1%減から2カ月連続でマイナスとなり、1~3月期の企業の設備投資が引き続き低調であることが示唆された。①輸送用機器は1月に14.0%急減していたが、2月も2.8%減った。自動車は0.8%増加したが、民間航空機受注の6.6%減で相殺された。②企業の設備投資の指標とされる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注は0.1%減だった。③国内総生産(GDP)の企業設備投資の計算に用いられるコア資本財の出荷額は0.1%減少した。

 

欧米市場イベント

○15:00   2月独製造業新規受注(予想:前月比0.3%/前年同月比▲9.3%)
○15:45   2月仏鉱工業生産(予想:前月比0.5%)
○16:50   3月仏サービス部門PMI改定値(予想:55.5)
○16:55   3月独サービス部門PMI改定値(予想:53.9)
○17:00   3月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:55.6)
○17:30   3月英サービス部門PMI改定値(予想:52.8)
○18:15   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○18:15   ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、バスレ・スロベニア中銀総裁、講演
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:6.75%で据え置き)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   3月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比6.90%)
○21:15   3月ADP全米雇用報告(予想:20.0万人)
○21:30   2月カナダ貿易収支(予想:18.0億カナダドルの黒字)
○21:30   2月米貿易収支(予想:690億ドルの赤字)
○22:45   3月米サービス部門PMI改定値(予想:53.8)
○22:45   3月米総合PMI改定値(予想:53.3)
○23:00   3月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:54.5)
○23:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○中国、香港(清明節)、休場

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