FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:資本収益性の向上を期待する買い優勢に

前週末の米国市場で、2月の個人消費支出(PCE)価格指数は伸びが鈍化し利上げ長期化懸念が和らいで株高となったことを好感する動きが先行した。ファーストリテイリングやソフトバンクグループなどの指数寄与度の大きな銘柄の堅調な値動きが相場をけん引した。一方、日銀短観で、大企業・製造魚うの業況判断指数(DI)がプラス1と5四半期連続で悪化したことも重しとなった。指数寄与度の高い半導体関連株は総じて軟調となった。PBRが1倍を下回る企業に対し東京証券取引所が前週、改善計画を要請したのを受け、バリュー(割安)株に資本収益性の向上を期待する買いが優勢になった。結局、前営業日比146円高の2万8188円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:上下に振れた後は133円台半ばでもみ合い展開

ドル/円は、31日に発表された米PCEコアデフレーターなどの弱い数字を意識したドル売り・円買いに押され、132.90円付近へ値を下げた。しかし、仲値にかけて本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、133.10円付近へ値を戻した。仲値発表後は、ドル売り・円買いが再燃して一時132.82円付近まで値を下げた。しかし、下値では値ごろ感からドル買い戻す動きも見られ、133円台前半へ値を切り返す荒い値動きとなった。午後は、新年度入りで本邦実需筋などから継続的にドル買い・円売りフローが持ち込まれ、一時133.59円付近までじり高となった。ただ、今晩発表される3月米ISM製造業景況感を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて133.40円台を中心とする狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.0795ドルを挟んで小動きに終始した。

 

日銀短観で大企業非製造業DIは2019年12月以来の高水準:ゴールドマン

日銀が3日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス1となり、市場予想(プラス4)を下回った。5四半期連続の悪化となる。ゴールドマン・サックス証券は3日付のリポートで「大企業・非製造業では業況判断DIはプラス20と12月から1ポイント改善し、市場予想通りの結果となった。改善は4四半期連続で、DIは2019年12月以来の高水準に達した」とし、大企業製造業の悪化が続く一方で非製造業の改善に着目した。リポートでは、回収基準日が3月13日(7割弱が回答)のため、「欧米の金融ストレスの影響はさほど織り込まれていないと思われる」とも指摘した。また、23年度の想定為替レートが131.72円で実勢相場に近く、22年度の想定為替レートも130.65円で実勢相場との乖離幅が縮小している点にも着目した。

 

ドル買い・ユーロ買い比率が低下:前週のFX概況

QUICKが3日に算出した3月31日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は58.3%と前の週末から6.6ポイント低下した。米欧の金融システムを巡る不安が和らいで円安・ドル高方向に振れた場面で、個人投資家は利益確定目的の円買い・ドル売りに動いた。前週末の外国為替市場では金融システムに対する警戒感が後退し、円相場は3月31日に一時1ドル=133.60円近辺と2週間ぶりの安値水準をつけた。円が下落した場合で、個人は利益確定や相場の流れに逆らう「逆張り」戦略による円買い・ドル売りを入れたとみられる。「ユーロ/円」取引のユーロ買い比率は前の週から14.0ポイント低い23.3%だった。「豪ドル/円」取引では豪ドルの買い比率は同7.0ポイント低い67.1%だった。

 

トルコの3月CPIに注目:大統領選ではエルドアン大統領が優位との見方も

トルコの経済指標では、3月消費者物価指数(CPI)が発表される。前年比は前回の55%台から低下が見込まれるが、それでも50%は下回らないというのが大方の予想である。インフレ率は昨年9月から3カ月間80%超えが続いた後は減速基調である。もっとも、前年と比べる『ベース効果』による鈍化であり、高い物価が経済活動を鈍らせていることに変わりはない。トルコ中銀は依然として『金利を敵』とするエルドアン大統領の言いなりであり、金融引き締めなど眼中にないという姿勢である。5月の選挙で大統領交代となれば中銀の考え方にも変化が出てくるかもしれないが、いずれにせよ1カ月半後の結果を待たなければならない。その大統領選と国会議員選挙であるが、野党6党に推されたクルチダルオール・共和人民党(CHP)党首に暗雲が立ち込めてきた。5年前の大統領選でCHPから立候補し、得票率が30%を超えたインジェ氏が別の党から出馬する。支持層が似ている両者は票を食い合う可能性が高く、エルドアン大統領にとっては優位という見方がでている。

 

メキシコ大統領が鉱業と水に関する利権縮小の法案提出

環境を保護し、近隣のコミュニティにおける水不足を防ぐことを目的に、ロペスオブラドール・メキシコ大統領は28日、採掘権を短縮し、監視を強化するために、鉱山と水に関する規制を見直す法案を提出した。新提案では鉱物の開発権は50年から15年に短縮し、水利権は最長5年間となるという。『国家の直接的な領域であるメキシコの地下の鉱物資源と水資源の国家主導権を回復する』ことを目的に、開発権を確保しようとする企業は、その事業が既存の水供給に悪影響を及ぼさないことを証明する必要があるなど、規制を強化するものである。この法案は確かに環境という面においては効果的に見られるが、専門家によると『この法律案が産業を弱体化させ、企業の大量撤退につながり、メキシコ国内の40万5千人の直接雇用を危うくする』と警告している。

 

米PCE価格指数は前年比で鈍化も中核的な物価圧力は根強い:US Dashboard

3月31日に発表された2月の米個人消費支出(PCE)物価指数(デフレーター)は前年同月比5.0%上昇と市場予想の5.1%を下回った。1月の5.3%上昇から伸びが鈍化し、伸び幅は2021年9月以降で最小となった。エネルギーと食品を除くコアPCEデフレーターも同4.6%上昇と市場予想4.7%上昇を下回り、1月の4.7%上昇から鈍化した。しかし、米連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%を大きく上回ったまま高水準で推移している。31日の米株式相場や長期債相場はPCEデフレーターが市場予想を下回ったことを好感した。一方、フェデラルファンド(FF)金利先物からシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が算出する「Fedウオッチ」は、31日の取引終了後に5月の利上げ確率が53.3%と据え置き46.7%をわずかに上回った。

 

米国市場では3月ISM製造業景況指数:予想は47.5

2月実績は47.7え若干改善したが、18業種中、14業種で業況が悪化した。3月については、インフレ高止まりの影響があること、新規受注は引き続き伸び悩んでいることから、2月実績並みの水準にとどまる見込みである。

 

欧米市場イベント

○15:30   3月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%)
○16:00   3月トルコ製造業PMI
○16:00   3月トルコCPI(予想:前月比2.85%/前年比51.33%)
○16:30   3月スイス製造業PMI(予想:48.9)
○16:50   3月仏製造業PMI改定値(予想:47.7)
○16:55   3月独製造業PMI改定値(予想:44.4)
○17:00   3月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:47.1)
○17:30   3月英製造業PMI改定値(予想:48.0)
○19:00   シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○21:00   ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○22:45   3月米製造業PMI改定値(予想:49.3)
○23:00   3月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:47.5)
○23:00   2月米建設支出(予想:前月比横ばい)
○4日00:30   3月メキシコ製造業PMI
○4日03:00   3月ブラジル貿易収支(予想:91.92億ドルの黒字)
○4日05:15   クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○豪州、NZは2日から冬時間に移行済み

 

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