FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:配当の権利落ち日で売り優勢に

今日は3月期末の配当の権利落ち日ということもあり、高配当銘柄を中心に売りが膨らんだ。一方、ドル/円相場が前日の取引時間中に比べ、円安方向に振れたことで輸出関連銘柄の一角は買われた。寄り付きは指数寄与度の大きい半導体関連銘柄が堅調に推移したが、前場中盤にかけてはマイナスに転じた。結局、前営業日比100円安の2万7782円と反落して終了した。3月第4週(20日~24日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は4617億円売り越しとなり、売り越しは5週連続となった。個人投資家は2217億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。信託銀行は205億円の買い越しとなり、買い越しは19週ぶりになった。

 

東京外国為替市場:米2年債利回りが低下したことでドルの重し

ドル/円は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが先行し132.45円付近へ下落した。本日は五・十日にあたり、仲値に向けて本邦輸出勢から月末・期末に絡むドル売り・円買いが観測されたことも、ドル/円の押し下げにつながった。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売り持ち込み、132.70円付近へ値を切り返した。午後は、海外短期筋などがドル売り・円買いに動き、一時132.37円付近まで下落した。金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りが低下したこともドル売りにつながった。ただ、今後発表される米経済指標や米連邦準備理事会(FRB)当局者の講演内容を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、132.45円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは1.0840ドルを挟んで小動きとなった。

 

エルドアン大統領の大学の卒業証明書

トルコ大統領選の投票まで残すところ1カ月半となった。21世紀に入り最も重要な選挙といわれる今回は、経済運営の失敗も大きく影響し現職のエルドアン大統領が苦戦。野党候補とかなりの接戦が予想されている。さてトルコでは、大統領職に就くためには大学の学位所有が前提条件とされている。2014年から同職を務めるエルドアン氏の公式発表によれば、同氏は1981年にマルマラ大学の経済商業学部を卒業した。しかしながら14年に大学の卒業証書紹介システムが裁判所命令によって閉鎖されたため、正式な記録がない。エルドアン氏の大学卒業記録に対する疑惑が高まり続けるなか、16年にマルマラ大学は大統領の卒業証書コピーを発行した。もっとも学部は公式発表と異なる『経営学部』とされ、これがまた人々の疑いを深めた。大統領選を控えるなか、大統領府広報局長はトルコの新聞を通してエルドアン氏の大学卒業に関するいくつかの文書を公開。ただし、正確性についてかなり怪しい部分があると野党側から指摘されている。たとえば、卒業証書には教授の署名が必要でだが、署名した人物が教授になったのはエルドアン氏が卒業したとされる翌年とか。卒業疑惑はまだまだ燻り続けそうである。

 

南アでは本日のMPCの利上げ幅に注目:利上げでもランド買いは難しい

南アで最大の注目となるのは南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)である。直近の調査では8割弱が25bpの利上げ予想となっている。コロナのパンデミック後の利上げは、景気回復による利上げではなく、供給サイドのインフレ高進による利上げのため、南ア経済には痛手となっている。よって、利上げによるランドのポジティブな効果は少なく、ランド買いには反応することは難しい。

 

米・メキシコ間の貿易紛争の激化する可能性には注意

関係者筋の話として一部報道が伝えたところによると、米政府はエネルギー問題を巡る対立でメキシコ政府に最後通告を計画している。米国は以前から『メキシコ政府がエネルギー事業で国営会社を優遇し、海外企業を差別している』として米企業への市場開放を要求した。これまで米国通商代表部(USTR)がメキシコ側と協議を重ねてきたが、目立った進展は見られなかった。米国側は事態を打開するため、数週間以内にメキシコに対して市場開放と監視強化に同意する『最終提案』を行うとしている。米・メキシコ間の貿易紛争がさらに激化する可能性もあり、今後も注意が必要になる。

 

投資家は商業用不動産市場に関してパニックに陥る必要はない:BCA

BCAリサーチは29日付リポートで、商業用不動産市場が新たなストレスを見出そうとする市場のやり玉に上がっているといい、その背景には預金流出の影響を受けやすい中小銀行が商業用不動産融資の80%近くを抱えていることがあると言及した。商業用不動産が警戒されている理由については、①コロナ禍で商業用不動産の稼働率・評価が落ち込み、帳簿上で含み損を抱える中小銀が流動性の流出に伴いこれらを清算する恐れがある。②銀行の貸し出し基準の厳格化で融資の借り換えが出来なくなり、物件売却を迫られることで商業用不動産の価格下落に拍車をかける、③金利上昇と不動産ポートフォーリオの悪化でデフォルトの波が広がっていく、ことがあると説明した。もっとも、リポートでは「投資家は商業用不動産市場に注目すべきだが、今はパニックに陥る必要はない」との見解を示した。その理由として「まず、多くの従業員の住宅勤務が縮小された稼働率が上昇している現在では、ローンが返済される可能性がある。次に、商業ローンのポートフォーフォリオの価値の下落は今のところ単なる書類上の損失であり、銀行がポートフォリオの清算を強制されない限りその限りその状態が続くかもしれない。最後に、多くの商業ビルは価値が下落した後でも、不動産ローンよりも価値が高い」と指摘した。

 

銀行危機による米国の信用リスクは限定的

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは29日、米銀行業界における最近の混乱が長引かない限り、米国のソブリン信用プロファイルに対するリスクは限定的との見方を示した。シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の破綻は、米銀行業界の信用不安に火を付け、当局が信頼回復のための緊急対策を打ち出したにもかかわらず、多くの地銀で預金流出につながった。ムーディーズは『過去2週間における米地銀の経営環境の急速な悪化は、米国のソブリン信用プロファイルにこれまで織り込んでいたよりも高い銀行業界リスクを示している』と指摘した。現在の銀行業界の混乱からソブリンに重大かつ直接的な財政コストがかかるとは予想していないとしながらも、混乱が長引けば、米国の経済力や財政力を弱める可能性があると強調した。

 

欧米市場イベント

○18:00   3月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:99.8)
○18:00   3月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲19.2)
○18:30   2月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.7%/前年比12.3%)
○21:00   3月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.7%/前年比7.3%)
○21:30   10-12月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率2.7%)
○21:30   10-12月期米個人消費(確定値、予想:前期比1.4%)
○21:30   10-12月期米コアPCE(確定値、予想:前期比4.3%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:19.6万件/169.7万人)
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:7.50%に引き上げ)
○31日01:45   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○31日01:45   コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○31日02:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○31日04:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:11.25%に引き上げ)
○インド(ヒンドゥー教ラーマ神生誕日)、休場

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