FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:欧米の金融不安への過度な警戒感が和らぐも円高が重し

欧米の金融不安への過度な警戒が和らいだことで、金融株が買われた。一方、米ハイテク株安を受け、東京市場でも指数寄与度の大きい半導体関連銘柄が朝方から軟調に推移した。また、ドル/円相場で円高が進行したことから、日経平均は一時、マイナス圏に沈む場面もみられた。前日比41高の2万7518円と小幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:実需のドル売り・円買いが強い展開

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸出勢などから月末・期末に絡むドル売り・円買いフローが多く持ち込まれ、131円を割り込んで130.60円付近へ下落した。金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りが、低下したこともドル売り要因となった。午後は、本邦輸出勢などからドル売り・円買いが引き続き観測され、一時130.60円台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.0810ドルを挟んで方向感に欠ける展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコ大統領選ではエルドアン大統領が追い上げ

1カ月半後に迫ったトルコ大統領選に向けたニュースでは、現職のエルドアン大統領が追い上げているとの世論調査が明らかになった。調査会社メトロポールが明らかにした結果によると、野党連合が擁立した候補者クルチダルオール・共和人民党(CHP)党首はエルドアン大統領を支持率で2.5ポイントだけ上回っている。他調査では10ポイント以上リードしていた。また、現地報道によると、前回2018年の選挙時に最大野党CHPから立候補したムアッレム・インジェ氏が他の政党から大統領選に立候補することが決まった。エルドアン大統領が52%の得票率で当選した前回選挙では、インジェ氏は31%の得票率を獲得している。反エルドアン票が割れる可能性が出てきたことも、正統的な金融政策回帰が遠のくとのイメージでリラの重しとなる可能性がある。

 

南アでのMPCでは慎重に行動すべきとの声も

今週の南アの最大のイベントは、30日木曜の南アフリカ準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)ですが、現時点では25bpの利上げが優勢となっている。ほぼ25bp予想だが、現地エコノミストの間でも50bpの利上げを望む声や、逆に据え置きとするべきとの声がある。大幅利上げ推奨派は、2月のインフレ率が再び7%に乗せ、コアインフレ率は4.9%から5.2%まで上昇したことで、南アのインフレは粘着性があり、大幅利上げを主張している。一方、据え置き派は、利上げによりランド安が止まることが無いことで、経済の脆弱性を考えると利上げを回避することを主張している。また、欧米の金融危機により、米国と欧州の銀行貸出基準の引き締めの可能性による世界経済の成長への鈍化が予想されることで、MPCは慎重に行動するべきとしている。

 

米国株を4週連続で買い越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの28日付の顧客フローリポートによると、同社の顧客は先週(3月20日~24日)の1週間に米株を36億870万ドル買い越した。買い越しは4週連続となった。この週は米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)が25bp利上げを決めた一方で、ターミナルレート見通しを据え置いたことで利上げ停止が近いとの観測を高め、S&P500種株価指数は週間で1.38%高となって続伸した時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が2億9300万ドルの買い越して2週連続の買い越しだった。機関投資家は10億5300万ドル買い越して買い越しに転じた。個人投資家は2億1100万ドルを買い越して、こちらも買い越しに転じた。企業の自社株買いは16億2500万ドルだった。自社株買いは過去8週間、典型的な季節的傾向を下回っているという。2023年の1~3月期の自社株買いは前年比24%減と、22年10~12月期のS&P500対象企業の自社株買いが22%減だったことと比較してやや悪化している。セクター別では11のセクターのうち7セクターが買い越しとなった。この週はハイテクとヘルスケアが流入が目立った。銀行システム不安への懸念も続いたが、金融が4週連続で流入となった。エネルギー株の前週の記録的な資金流入(11億6400万ドル)から、この週の最大流出(2億5400万ドル)となった。

 

『全ての預金』の安全確保にコミット:バーFRB副議長

米連邦準備理事会(FRB)のバー副議長(金融監督担当)は、米規制当局は国内の全ての銀行預金の安全確保に尽力しており、システム保護に向け必要ならばあらゆる規模の金融機関に対して措置を講じる用意があると述べた。議会証言の準備原稿で、銀行システムは『強固で耐性』があるが、FRBはシリコンバレー銀行の破綻に至る経緯を検証し、今後、銀行に対する規制を強化する方法を検討していると明かした。

 

米ダラス連銀製造業景況指数は予想外の悪化:US Dashboard

27日に米ダラス連邦準備銀行が発表した3月の製造業景況指数はマイナス15.7と前月比2.2ポイント低下し、市場予想の11.5を下回った。予想外の悪化となった。11カ月連続のマイナス圏(停滞)で2022年12月以来の低水準となった。「生産」は2.5と2カ月のマイナス2.8から5.3ポイント上昇し、プラス圏(拡大)に戻ったものの、「新規受注」はマイナス14.3と前月比1.1ポイント悪化し(10カ月連続でマイナス圏)、「出荷」もマイナス10.5と同5.5ポイント悪化幅を拡大した。一方、「雇用」は2月のマイナス1.0から10.4へと大きく改善した。将来の企業活動見通しは2月のマイナス2.9からマイナス11.2とマイナス幅を拡大した。総じてみると、米製造業では緩やかな成長が再開する一方、先行きに対する見通しの悪化が示された。

 

金融システム不安を受けた顧客調査:JPモルガン

JPモルガンは毎週行っている顧客調査の結果を公表した。米銀破綻をきっかけとした金融システム不安で、「株式とクレジットの良い買い場となるか」との設問に対し、回答者の38%が「いいえ」と答えた。「クレジットは買い場だが株式はそうではない」が26%、「両方とも買い場」が21%、「株式は買い場だがクレジットはそうではない」が15%だった。また、今回の銀行危機で信用がどの程度抑制されるかについて、「中程度の影響を受けるが景気後退をもたらすほどではない」との回答比率が48%。「重大な影響を与え、今後3~6カ月以内の景気後退入りをもたらす」との回答比率が47%で並んだ。毎週行っている調査では、今後数日~数週間で株式エクスポージャーを拡大すると答えた比率は40%で3月中旬から増加傾向にある。現在の株式ポジショニングについて、過去平均の40~50パーセンタイルと答えた比率が25%と最も多く、次点は20~30パーセンタイルの18%、50~60パーセンタイルの15%が続いた。

 

米国市場では3月消費者信頼感指数:予想は101.0

2月実績は市場予想を下回ったが、労働市場に対する見方は楽観的だった。ただ、インフレ改善に対する期待は高まっていないため、3月分の数字が大幅に改善する可能性は低いとみられる。

 

欧米市場イベント

○15:20   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○15:45   3月仏企業景況感指数(予想:103)
○17:00   ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○17:00   バスレ・スロベニア中銀総裁、講演
○17:45   ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言
○21:30   2月米卸売在庫(予想:前月比▲0.1%)
○22:00   1月米住宅価格指数(予想:前月比▲0.3%)
○22:00   1月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比2.50%)
○22:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、ナーゲル独連銀総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、「BISイノベーション・ハブ」に参加
○22:00   マクルーフ・アイルランド中銀総裁、デコス・スペイン中銀総裁、BISパネルディスカッションに参加
○23:00   3月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲10)
○23:00   3月米消費者信頼感指数(予想:101.0)
○23:00   バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、議会証言
○29日02:00   米財務省、5年債入札

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