FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株先物が底堅く推移したことが支え

前週末の米国市場では、米連邦準備理事会(FRB)当局者の発言を受け、銀行セクターの流動性危機を巡る懸念が和らいだことで、主要3指数が上昇して終了した。一方、主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体指数(SOX)が下落して取引を終えたことから、東京市場でも、指数寄与度の大きい半導体関連株が朝方から軟調だった。ただ、米国株先物が小じっかりと推移し、投資家心理を支えた。一方、上値では25日SMAがレジスタンスとして意識されると上値も抑えられた。結局、前営業日比91円と3営業日ぶりに反発した。

 

東京外国為替市場:130円台後半まで持ち直し

ドル/円は、米連邦準備理事会(FRB)が近いうちに利上げを停止するとの見方が浮上していることからドル売り・円買いが先行し、130.50円台まで下落した。仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが、需給に大きな偏りは見られなかった。仲値発表後は、日経平均株価の底堅い動きを眺めて海外短期筋などがドル買い・円売りに動き、一時131.05円まで上昇した。ただ、上値では利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、130.79円台へ緩んだ。午後は欧米金融システムに対する根強い警戒感からドル売り・円買いが持ち込まれ、一時130.05円付近まで上昇した。ただ、上値では利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、130.70円台へ緩んだ。午後は欧米金融システムに対する根強い警戒感からドル売り・円買いが持ち込まれ、一時130.50円付近までじり安となった。ただ、米長期金利が小幅に上昇すると、ドルを買い戻す動きも見られ、130.90円台まで持ち直した。ユーロ/ドルは、1.0765ドルを挟んで小動きに終始した。

 

ドル買い比率は64.9%に低下:前週のFX概況

QUICKが27日算出した店頭の芸国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、「ドル/円」取引で総建玉に占めるドル買いの比率は24日時点で64.9%だった。前の週末から1.3ポイント低下した。欧米の金融システム不安を背景とした円高・ドル安進行で、個人投資家による相場の流れに逆らう「逆張り」の円売り・ドル買いが積み上がっており、円安・ドル高に振れた局面で利益確定の動きが出た。円相場は前週末24日に一時1ドル=129.65円付近とおよそ1カ月半ぶりの円高・ドル安水準をつけた。同日の欧州市場で銀行株が下落するなど金融不安への警戒感が払しょくされず。リスク回避目的で円に資金が集中した。しかし、個人のドル買い比率は前の週末(17日)時点で約2カ月ぶりの高水準となったほか、金融不安によるドルの上値の重さが意識され、円高・ドル安が一服した場面で持ち高解消の動きが広がった。「ポンド/円」取引では、ポンド買い比率は前の週末から3.6ポイント高い62.6%と、2月上旬以来およそ1カ月半ぶりの高水準となった。「ニュージーランド(NZ)ドル/円」取引では、NZドルの買い比率が同2.6%上昇の76.9%と2022年2月以来の水準に上昇した。

 

トルコでは主要政策金利を据え置き:財政悪化への懸念高まるリスクも

トルコ中銀は市場予想通りに主要政策金利を8.50%で据え置いた。中銀は声明で、『地震の影響を監視している』とし、『工業生産の成長の勢いと雇用のプラス傾向を維持するために、支持的な金融政策を維持することが重要となっている』と述べた。エルドアン大統領が推し進めてきた非正統的な金融政策(インフレ高にもかかわらず利下げ)の影響は色濃く残り、独立性を失ったトルコ中銀への信頼はなかなか回復しそうにない。外国人投資家がトルコから距離を置く限り、リラの上値を積極的に買うという動きは出難い。一部報道によれば、トルコ当局がリラの流出を阻止するため2021年末から導入している『為替リンクのリラ定期預金』に資金が集まっている。為替がリラ安外貨高になった場合はその分が補填されることが約束されているので、ドル/リラが19リラ超えの今、政府の負担はかなり拡大していることが容易に想像できる。またエルドアン大統領は先日、年金の最低額を引き上げることを発表しました。選挙に向けたパフォーマンスでしょうが、こちらも政府の支出増につながると思われる。財政悪化への懸念が高まるようだと、リラは益々買いづらくなってしまう。

 

南アでは公務員組合に対して予算案を大幅に上回る賃金引上げ

南アからのニュースでは、南ア政府が公務員組合に対して賃金の引き上げ案を提示した。予算案では4.5%の引き上げとなっていたが、予算案から大幅に上回る7.5%引き上げの提示額になり、インフレ率を上回る引き上げとなったことで、おそらく組合も合意すると思われる。ただ、公務員組合によるストライキが回避されることはポジティブなことだが、つい先月提示されたばかりの予算案を無視し、どこから財源を確保するかが不透明なことで、財政的にはネガティブなことと言える。また、現政権の予算を無視した動きを見ると、支持率の低下を食い止めようとする政治的な動きにも感じられる。

 

メキシコではCPIの鈍化による利上げ期待後退がペソの重し

3月前半のメキシコ消費者物価指数は前年比で+7.12%と予想の+7.24%を大きく下回り、インフレ鈍化が顕著になった結果となった。これを受けて、今週のメキシコ中銀による政策金利発表では予想通り0.25%利上げは変わらないものの、声明では利上げ休止を示唆する可能性が高まってきた。メキシコペソ円に調整の売りが目立つ中で利上げ期待後退がさらなるペソの重しとなりそうである。

 

ノーランディング論は最初から意味の無いものであった:モルガン

欧米の金融不安にも関わらず、米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が利上げを続ける中、モルガン・スタンレーは26日付のリポートで「インフレを犠牲にしてまで金融安定化に注力するといった考えは誤った二分法であることを確認した。ただ、銀行破綻で生じた金融不安は、的確な引き締め度合いでの調整をさらに難しくする」との見解を示した。リポートでは、インフレよりも金融安定をより懸念しなければならない時が来るかどうかについて、「金融不安が実体経済に大打撃を与え、深刻な景気後退となればインフレは問題視されるだろう」指摘した。銀行セクターの混乱で、政策金利の引き締めサイクルの延長が遅れるようなら景気のソフトランディングは可能になるとしつつ、「ほぼゼロ成長に近い世界において、信用収縮が広く、より持続的なものとなれば景気後退に突入することになる」とも指摘。その上で、「過去2週間からのもう一つの教訓は、利上げ局面でも米景気が好調さを維持できるという『ノーランディング(無着陸)論』は最初から意味の無いものであったということだ」とし、「中央銀行は必ず何らかのランディングを強制する、そのカギは銀行セクターが握っているかも知れない」とみていた。

 

欧米市場イベント

○16:00   シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○17:00   3月独Ifo企業景況感指数(予想:91.0)
○17:30   ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:00   2月メキシコ貿易収支(予想:10.99億ドルの黒字)
○22:40   エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○24:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○28日02:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○28日02:00   米財務省、2年債入札
○28日06:00   ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事、討議に参加
○欧州・英国は26日から夏時間に移行済み

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