FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:金融システム不安の再燃で米国株安につれた売り優勢に

欧米の金融システム不安が再燃し、米国で主要3指数が下落したことから、東京市場でも金融株を中心に売られた。為替が前日の取引時間中と比べ円高となっていることも、自動車などの輸出関連株の重しとなった。前日の米国市場では、イエレン財務長官が連邦良き保険公社(FDIC)の預金保険対象を全ての預金に拡大することを検討されていないことを述べたことで、金融株が下落し、主要3指数がそろって大幅下落した。この流れを受け東京市場でも銀行や保険などの金融セクターを中心に売りが優勢となった。ドル/円相場が円高に振れていることで、輸出関連銘柄もさえなかった。米株価指数先物が強含むと、日経平均も下げ渋った。結局、前営業日比47円安の2万7419円と小幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米2年債の利回り低下からドルの上値の重い展開

ドル/円は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ打ち止め観測を手掛かりにドル売り・円買いが進み、130.60円台へじり安となった。仲値にかけて本邦輸出勢のドル売り・円買いが多く観測されたことや、米2年債利回りが低下したことも、ドル/円の下落につながった。午後に入っても、ドル/円の軟調地合いが続き、一時130.43円付近まで下落した。ただ、今晩の米株動向や米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、値を切り返して130円台後半でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、米金利先高観の後退や欧州中央銀行(ECB)の積極的な利上げを意識したユーロ高・ドル安基調が続き、1.0910ドル付近へじり高となった。

 

トルコ中銀が政策金利を発表:政策金利は据え置き予想

本日はトルコ中銀が政策金利を発表するが、リラ/円は基本的にドル円の動向に付いて行く展開が続きそうである。トルコ中銀は今年3回目となる金融政策委員会(MPC)を本日開催する。主要政策金利は8.50%で据え置きが大方の予想である。前回0.50%利下げを決定した声明を読む限り、サプライズはなさそうである。声明での注目ポイントは、先月トルコ南部を襲った大地震の影響をどの程度まで見込んでいるかにある。

 

南アのインフレ率が再び上昇:次回のMPCでは利上げがほぼ確実

昨日発表された2月の南ア消費者物価指数(CPI)は、市場予想を小幅に上回り、再び7%台まで上昇した。また、食品とノンアルコール飲料の年間インフレ率は1月の13.4%を上回る13.6%に達し、2009年4月以来の最高水準に達した。 この結果を受けて、来週30日に予定されている南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)では、0.25%の利上げとなることがほぼ確実との予想になっている。もっとも、本来は金利高による通貨買いになってもおかしくはないが、インフレ高進が南ア経済にプラス面で働くことも少ないことで、ランドにとってはポジティブな指標結果とは言えない。

 

メキシコの水不足が深刻:主要貯水池は過去最低の貯水率

メキシコでは長く続いた乾季が終わりに近づき、ようやく雨季を迎えようとしているが、今後も深刻な水不足に悩まされることになりそうである。メキシコ政府は主要貯水池の一つであるクツァマラ貯水池の貯水率が50%を下回り、観測史上最低水準となったと発表した。政府は対策として水圧を下げることを決定した。メキシコシティのシャインバウム市長もこうした事態を受けて、専門家からなるチームを結成し、水の効率性を高めて無駄を省く方法を模索するとしている。メキシコでは近年深刻な干ばつ被害に襲われ、2021年には8491件の干ばつが発生した。農業分野への影響も大きな問題となっており、今後も注意が必要となる。なお、統計機関が公表した水ストレスランキングによると、メキシコは世界24位。世界的に見ても水の供給量が需要を大きく下回っている国にあたる。

 

年内利下げ予想は維持:UBS

UBSは22日付リポートで今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)が大方予想通りだったとしつつ、FOMC参加者のターミナルレート(利上げの到達点)予想が5.1%にとどまったことに「我々が予想していたよりも慎重だった」と指摘した。パウエル議長が記者会見で、米中堅銀行の経営破綻に端を発する金融システム不安によってもたらされるであろう経済への影響に懸念を示していたのを踏まえ、「FOMCでの警戒感や、当社が予想する景気の弱まりやインフレ指標の軟化を理由に、従来のターミナルレート予想から0.25%引き下げ、6月の利上げはないと想定する。つまり、5月のFOMCで再び0.25%の利上げを行い、目標レンジを5.00~5.25%にすることを今は想定しており、これで利上げサイクルは終了する」と見通しを改めた。その一方で、今年の年末には政策金利の誘導レンジが4.00~4.25%になるとの見通しを据え置いた。こう考えるに理由として、「我々が年末に予測するインフレ率の水準よりも妥当な距離にとどまっているためだ。24年もインフレ率が低下し、FOMCが今年後半に予想される景気後退に対処するための完全な緩和策を提供するようになるため、予想される利下げサイクルに変更はない」との見解を示した。24年には政策金利が1.00~1.25%程度引き下げられると予想している。

 

5月FOMCでの0.25%利上げ後は利上げは停止へ:JPモルガン

JPモルガンは22日付リポートで、今回のFOMCの結果は事前予想に非常に近いものとなったと振り返った。パウエル議長が記者会見で“some”と“may”を強調したことを取り上げ、「更なる利上げが行われるとの確信が薄れたように聞こえた」との見方も示した。JPモルガンは5月FOMCで0.25%の利上げが行われた後、24年4~6月にFRBが金融緩和に転じるまで利上げが一時停止されるとの予想している。また、記者会見でパウエル議長が「銀行システムにおける預金フローは直近1週間で安定した」と述べたことも取り上げFRBが銀行のバランスシートをタイムリーにみていることを心強いニュースであるともした。

 

リスク回避姿勢強める投資家:BofA調査

米BofA(Bank of America)が21日公表した3月機関投資家調査(10-16日実施)によれば、運用資産に占める現金比率が5.5%と2月の5.2%から0.3pt上昇し投資家がリスク回避の姿勢を強めていることが判明した。同比率が前月比で上昇するのは2022年10月以来であり、投資家心理は過去20年間の最低水準に接近している。今後12カ月以内に世界景気が後退に陥る可能性が『高い』との回答比率から『低い』との回答を引いた値は42ptとなり2月の24ptから大幅に上昇、インフレと低成長が同時に進む『スタグフレーション』を予想する割合は88%と前月から5pt増えた。

 

欧米市場イベント

○17:00   1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○17:30   スイス国立銀行(中央銀行)、政策金利発表(予想:1.50%に引き上げ)
○17:30   2月香港CPI(予想:前年同月比2.3%)
○17:40   ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、講演
○18:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:3.00%に引き上げ)
○19:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:8.50%で据え置き)
○20:45   ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○21:00   英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:4.25%に引き上げ)
○21:00   英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
○21:30   10-12月期米経常収支(予想:2132億ドルの赤字)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:19.7万件/168.4万人)
○23:00   2月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲3.0%/65.0万件)
○24:00   3月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲18.3)
○24:00   マン英MPC委員、講演
○24日00:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、イベントに参加
○24日01:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、24日まで)

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