FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:金融システム不安が一服したことで買い戻し優勢に

欧米での金融システム不安がいったん落ち着きをみせたことで、投資家心理が改善し、前日まで売られていた金融株に買い戻しが入る場面があった。前日の米ハイテク株高を受けて半導体関連銘柄も底堅く推移した。ただ、買い一巡後は戻り待ちの売りに押され、伸び悩む展開が続いた。しかし、運用リスクをとる姿勢が波及し、上げ幅は一時350円に迫った。結局、前営業日比323円高の2万7333円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円の上値重く113円割れ

ドル/円は、週末を控えた利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが先行し133円台前半へ水準を切り下げた。仲値に向けて本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、133.50円台まで値を戻した。しかし、米長期金利が小幅に低下したことがドル売りを誘い、133.15円付近げ下落した。午後に入っても、ドル/円は軟調地合いは続き、133円を割り込んで一時132.87円付近まで下落した。来週21-22日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)のイベントを警戒したドル売り・円買いも観測された。ただ、今晩発表される米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きもみられ、値を切り返して133.00円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、欧州の金融システムに対する過度な懸念で、ユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.0650ドル近辺へ上昇した。

 

トルコはOTSの投資基金の設立合意への調印

トルコの首都アンカラで昨日、テュルク諸国機構(またはテュルク評議会、OTS)の首脳会議が開かれた。OTSには『トルコ、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン』の5カ国が加盟している。会議では、投資基金の設立合意への調印が行われた。今後は、トルコ経済がどの程度の恩恵を受けることができるのか基金の具体的な内容を精査することになる。なお、野党6党から大統領選の候補に選ばれたクルチダルオール・共和人民党(CHP)党首は、今週末に『親クルド系の国民民主主義党(HDP)』のメンバーと会談予定である。クルチダルオール氏はそこで、選挙への支持を求めるとされている。

 

南ア中銀副総裁の発言からもランドの上値は重い展開

南アからは、南アフリカ準備銀行(SARB)のカシーム副総裁が『今後3年間で0.3%、0.7%、1.0%の成長率を予想し悲惨なほど低い』『年間約1.2%の人口増加率を考えると、生活水準は2014年以降平均して低下し続けている』述べている。このような状況を考えると、ランドが大きく買われるのも中長期的にも難しいかもしれない。

 

米個人投資家センチメントの強気比率が20%割れ

米個人投資家協会(AAII)が毎週算出するアンケートによると、15日時点で今後6カ月の相場について『強気』と答えた比率は19.2%と前週から5.6ポイント低下した。強気比率が20%を下回るのは2022年9月下旬以来、半年ぶりとなった。『弱気』と答えた比率は48.4%で同6.7ポイント上昇した。強気から弱気を減じて算出するスプレッドはマイナス29.2%ポイントとなり、マイナス幅は22年12月下旬以来の水準まで拡大した。全米アクティブ投資家協会(NAAIM)が会員の運用会社に米国株の保有状況を聞き取りして算出する『NAAIM持ち高指数』は、15日時点で41.92%と前週比で18.19ポイント減、1月4日(38.79%)以来の水準まで低下した。

 

金融安定への懸念を踏まえて米リセッション確率を引き上げ:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは16日付リポートで、目先の金融安定への懸念は米国の成長見通しに下振れリスクをもたらしていると指摘した。リポートでは『小規模な銀行ストレスによる経済への影響をめぐる短期的な不確実性の高まりを反映して、米国経済が今後12カ月でリセッション(景気後退)に入るという主観的な確率を10ポイント上げて35%にしている』とも指摘した。

 

金融不安が高まるのなら25bp利上げの可能性は低下か:エバコア

エバコアISIは16日付のリポートで、米連邦準備理事会(FRB)のバランスシートが前週比で2980億ドル増加したとしながら、『FRBの銀行システム向け融資は全体で3030億ドル増加した。これは我々の予想よりも高い水準で、ストレスの内生関数として米地銀の流動性に対するプレッシャーがいかに急速に高まったかを示している』との見解を示した。リポートでは、13日から始まった緊急融資枠『銀行タームファンディングプログラム』(BTFP)に関して『当初は119億ドルの借り入れと小幅な利用にとどまった。これは、おそらく初期の運用摩擦を反映していると考えられるが、BTFPを利用することに伴う汚名リスク、米国債や住宅ローン担保証券(MBS)よりもはるかに幅広い担保を調達する必要性が影響した可能性もある』と指摘した。その上で、16日にファースト・リパブリック・バンクに米銀らが預金すると発表されたことについて『流動性にストレスがかかっているものの、FRBが政策やその他の措置で金融リスクに対処し、25bpの利上げを行うと予想する当社の見方を強固にした』と指摘した。ただ、21~22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)までに①米地銀の預金流出が続く、②クレディ・スイスがさらに圧力を受け、金融市場やクレジット市場を不安定化させることが起きれば、25bp利上げの可能性は低くなるとみていた。

 

FRBの総資産が1週間で約3000憶ドル増:パンデミック以降最大

15日時点で米連邦準備理事会(FRB)の総資産は前週比で2970億ドル増えた8.63兆ドルとなった。1週間での増加幅は新型コロナウイルスのパンデミック時にあたる2020年4月上旬時(前週比5573億ドル増)以来の大きさだった。FRBがセーフティーネットとして導入している窓口貸出(ディスカウント・ウインドウ)を通じた緊急貸出が1483億ドル増、破綻したシリコンバレー・バンク(SVB)とシグネチャー・バンクの預金業務管理を目的とした米連邦預金保険公社(FDIC)の『ブリッジバンク』向け融資が1428億ドル増だった。SVB破綻を受けて新たに設けた『銀行タームファンディングプログラム(BTFP)』を通じた融資額は119億ドルにとどまった。JPモルガンは窓口貸出がより幅広い担保を受け入れているほか、各行がオペレーションに慣れていることからBTFPよりディスカウント・ウインドウが広く利用されたとの見方を示した。FRBの総資産は22年4月に8.96兆ドルのピークをつけて以降、23年3月10日時点まで6232億ドル減少していた。3月8~15日までの1週間におけるFRBの総資産増加幅は、量的引き締め(QT)が開始されて以降約1年間にわたり縮小した分のおおよそ半分にあたる。

 

欧米市場イベント

○16:00   シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○19:00   2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比8.5%)
○19:00   2月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比5.6%)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.50%で据え置き)
○21:30   1月対カナダ証券投資
○21:30   2月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.2%)
○21:30   2月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲0.1%)
○22:15   2月米鉱工業生産(予想:前月比0.2%)
          設備稼働率(予想:78.4%)
○23:00   2月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.3%)
○23:00   3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:67.0)

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