FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:欧米での金融システム不安再燃で売り優勢に

欧米での金融システム不安が再燃したことで投資家心理が悪化しリスク回避の売りが広がり、銀行や保険などの金融セクターを中心に幅広い銘柄が値下がりした。ただ、前場の序盤にクレディ・スイスがスイス国立銀行(中央銀行)から最大500億スイスフラン(約7兆円)を借り入れる措置について発表すると、日経平均は急速に下げ幅を縮小した。2万7000円割れの水準では値ごろ感の買いが入りやすかった。結局、前営業日比218円安の2万7010円と反落して終了した。3月第2週(6日~10日)の投資部門別売買株式動向によると、海外投資家(外国人)は1兆1275億円の売り越しとなり、売り越しは3週連続となった。個人投資家は2008億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。信託銀行は1493億円の売り越しとなり、売り越しは17週連続となった。

 

東京外国為替市場:米地方銀行の負の連鎖を警戒されドルの上値の重い展開

ドル/円は、前日に発表された2月米卸売価格指数(PPI)や2月米小売売上高などの指標が軒並み予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ観測が後退していることから、ドル売り・円買いが先行して132円台後半へ水準を切り下げた。東京市場に入っても、ドル/円の軟調地合いは続き、日経平均株価が寄り付き後に下げ幅を拡大すると、さらにドル売り・円買いが進んで132.50円付近へ下落した。その後、一部メディアが『経営不安が高まっているスイス大手銀行が、スイス中銀から最大500億スイスフランの借り入れを行うもよう』と報じた。この報道で過度なリスク回避姿勢が和らぐと、海外短期筋などがドル買い・円売りに動き、133円台半ばまで値を持ち直した。ただ、世界的な金融システムに対する根強い懸念から、上値ではドル売り・円買いも見られ、132円台後半へ押し戻される荒い値動きとなった。午後は、米地方銀行の経営破綻による負の連鎖を警戒したドル売り・円買いが再燃、132.50円台へ軟化した。ただ、今晩発表される米経済指標や米株価動向を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルの押し目買いが入り、値を切り返して132円台後半を中心に取引された。ユーロ/ドルは、今晩の欧州中央銀行(ECB)理事会を控えた持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り一時1.0615ドル付近へ上昇した。

 

WTIは21年12月以来の低水準:US Dashboard

15日の米原油先物相場は大幅安の展開となり、WTIき期近の4月物は一時65.65ドルと、期近物として2021年12月以来およそ1年3カ月ぶりの安値を付けた。米欧の金融機関の経営不安を背景にリスク回避の流れが加速した。米エネルギー情報局(EIA)が発表した米石油在庫統計では、原油在庫が市場予想以上に増えたことも売り材料となった。米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが10日発表した石油リグ(掘削装置)稼働数は、前週比2基減の590基減の590基と4週連続で減少した。原油価格の低迷が背景とみられており、原油需給の緩みは鮮明になっている。

 

欧州中央銀行(ECB)理事会を開催:予定は50pbの利上げ

ラガルド総裁は前回の理事会後の会見で3月も50bpの利上げを行う可能性が高いことを示唆した。3月以降についてはデータ次第とされており、政策金利については明確なガイダンスを提示しない方針となっているが、ユーロ圏のインフレ率は高止まりの状態が続いており、5月の理事会でも追加利上げが決定される可能性がある。

 

トルコも欧州金融危機への不安は他人事ではない

トルコ経済は欧州経済との繋がりが強く、欧州金融危機への不安は他人事ではない。トルコ向け債権が比較的大きいとされるイタリアやスペインの銀行の体力が落ちるようだと、資金の引き揚げ(リラ売り)懸念も高まってしまう。トルコ統計局が昨日発表した2月の住宅販売は前年同月比で18%減少した。販売戸数は約8万戸と2021年5月以来の低水準でした。やはり先月に起きた大地震で多くの建物が崩落したことが影響している。外国人への販売も大きく減っており、こちらもリラの買いづらさに繋がってしまう。なお、一部通信社が伝えたところによると、北欧2カ国が申請している北大西洋条約機構(NATO)加盟について、トルコ議会はフィンランドの加盟のみ批准する見通しのようである。残りのスウェーデンについては、トルコとの関係が改善されるまでは不透明とされている。

 

南アランドはポジティブなニュースにも反応薄

全国教育保健連合労働組合(Nehawu)が行っていたストライキは終了した。和解条件の詳細は開示されていないが、賃上げと一時金の支給が決定したとの報道も出ていない。本来であればランドにはポジティブなニュースであるが、詳細が定かではないことと、財政の圧迫も懸念されていることで、ランド買いにはつながっていない。

 

新決済システム『フェッドナウ』を7月に稼働:FRB

米連邦準備理事会(FRB)は15日、新たな決済システム『Fed Now(フェドナウ)』の運用を7月から始めると発表した。金融機関の間の資金移動に使うシステムで、365日24時間の即時決済ができるようになる。システム参加者の認証を4月に始め、6月には本番環境をおステイした検証に移る。今後も機能を追加していく予定だ。同システムに参加する金融機関が増えれば、個人や企業の利便性向上につながると見込む。

 

米PPIは市場予想を大きく下回る:US Dashboard

15日に発表された2月米卸売物価指数(PPI)は前月比で0.1%低下した。前年同月比では4.6%上昇と、前月から1.1ポイント下がった。市場予想は前月比0.3%上昇、前年同月比5.4%上昇を大きく下回り、予想以上にインフレ鈍化していることが示された。PPIは企業間で取引される川上の価格変動を示すことから、川下である米消費者物価指数(CPI)の先行指標とされる。14日に発表された2月の米CPIは高水準ながら8カ月連続で伸びが鈍化した。PPIの結果を踏まえると、伸びが一段鈍り、米国のインフレ懸念が和らぐ可能性もある。

 

SVBフィナンシャル株、500以上の米投信が保有 モーニングスター調べ

米投信調査モーニングスターは、経営破綻したシリコンバレーバンク(SVB)の親会社SVBフィナンシャル・グループの株式を、上場投資信託(ETF)を含む米国の569本の投資信託が保有していたことが明らかになった。多数の銘柄に分散投資するファンドが多く、SVBフィナンシャル株急落の影響は限定的だったと見られると伝えている。

 

欧米市場イベント

○21:30   1月カナダ卸売売上高(予想:前月比3.0%)
○21:30   2月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.2%)
○21:30   2月米住宅着工件数(予想:131.0万件、前月比0.1%)
          建設許可件数(予想:134.5万件、前月比0.5%)
○21:30   3月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲15.6)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:20.5万件/171.5万人)
○22:15   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:3.50%に引き上げ)
○22:45   ラガルドECB総裁、定例記者会見

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ