FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安に連れた売り優勢に

米雇用統計への警戒感で前日の米市場が株安となった流れを引き継いだほか、前日までの5連騰で短期的な過熱感が意識され、日本株は売りが優勢となった。日銀の金融政策決定会合をにらみ、警戒ムードも広がった。ただ、前引け直後に金融政策の現状維持が伝わると、日経平均先物は下げ幅を縮小したが、買い戻しは続かず、大引け前には下げ幅を500円超に拡大する場面があった。結局、前営業日比479円安の2万8143円と6営業日ぶりに反落した。

 

東京外国為替市場:心理的節目となる137円に接近すると上値重い展開

ドル/円は、米長期金利低下や日経平均株価の大幅安を背景にドル売り・円買いが進み、一時135.82円付近まで下落した。前日に発表された週間の米新規失業保険申請件数が低調な数字だったことも、ドルの押し下げ要因となった。その後は、日銀金融政策決定会合の結果や2月米雇用統計を見極めたいとのムードが広がり、135.95円前後で小動きとなった。昼前に、日銀は9~10日に開いた金融政策決定会合で、大規模な金融政策の現状維持を全員一致で決めた。市場参加者の一部では、金融緩和が修正されるとの見方が浮上していたため、発表直後はドル買い・円売りが強まり、135円台後半から一時136.97円付近まで急上昇した。ただ、心理的節目の137.00円に接近すると、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いが見られ、136円台前半へ下落した。その後、日米金融政策の違いを意識したドルの押し目買いが入り、136円台後半へ切り返す荒い値動きとなった。午後は、日経平均株価の米長期金利を睨みながら、136.60円台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、米長期金利低下を手掛かりとしたユーロ買い・ドル売りが一巡すると、1.059ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

資産運用会社はエルドアン大統領敗北ならトルコ債券への投資も

1月の鉱工業生産と失業率が発表される。ただ南部で起きた大地震の前の調査ということから、よほど大きく振れない限りは市場の反応は鈍いと思われる。ところで一部通信社が報じたところによると、大手資産運用会社がトルコ債券市場に目を向け始めた。新興国市場の運用担当者は『ポートフォリオのなかで長らくアンダーウェイトだったトルコ債を見直す意向』と、述べている。だだし、5月の大統領選で現職エルドアン大統領の敗北が条件である。今のところでは、野党候補がエルドアン大統領を支持率でリードしている。

 

南アの格付け見通しを引き下げ:米格付け会社S&P

昨日発表された10-12月期の南ア経常収支は、おおよそ市場予想に沿った結果(大幅な赤字拡大)となった。クガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁は『継続的な電力供給の制約、輸入を促進する代替エネルギーソリューションへの投資の増加、輸出量の減少により、短中期的に経常収支が悪化すると予想』と今週のSARBホームページで述べていた。8日には格付け機関のスタンダード&プアーズ(S&P)社が、急遽南ア債の格付け見通しを『ポジティブ』から『安定』に引き下げた。S&Pは『インフラ不足に対処し、国有企業(SOE)のガバナンスとパフォーマンスを改善するための改革は遅く、成長を圧迫している』『SOEからの偶発債務は、南アフリカの財政および債務ポジションに継続的な下振れリスクをもたらしている』と引き下げ要因を説明。南アからポジティブ要因を見つけるのが非常に難しいことで、ランドは対ドル・対円ともに弱含むことになる。

 

米大統領が予算教書公表:財政赤字3兆ドル削減

バイデン米大統領は9日、2024年会計年度(23年10月~24年9月)の予算教書を公表した。10年間で3兆ドル(約410兆円)の財政赤字を削減する計画を示した。24年度の歳出額は前年比8%増の6兆8830億ドル。富裕層に対し25%の最低税率を導入、連邦法人税を21%から28%に引き上げる案を盛り込んだ。

 

米個人MMFが30週連続で増加

米投資信託協会(ICI)が公表した9日時点の米MMF(マネー・マーケット・ファンド)の純資産残高は4兆8937億ドルだった。前週から2000万ドル減った。内訳では、機関投資家が135.1億ドル減の3兆806億ドル、個人投資家が134.8億ドル増の1兆8265億ドルだった。MMFの増加から待機資金増による株式市場の下支えを期待する声がある一方、金利上昇による株式対比で短期金利のパフォーマンスが改善していることから、利下げサイクルに転じない限り、MMFから株式市場への資金流入は限られるとの声も多く聞かれる。

 

23年下半期に利益率が拡大する見通しは高いハードル:JPモルガン

JPモルガンは9日付リポートで2022年10~12月期決算を総評して、『懸念されていたほど悪くはなかったものの、企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)に新たな亀裂が生じていることを確認した』と指摘した。金利上昇による資本コストの上昇が重要な懸念事項であるといい、金利上昇に特に敏感な小型株で金利上昇による利ザヤの逆風を指摘する声が増えていると説明した。大型株のバランスシートは現在は健全であるものの『小型株と民間部門は金利上昇による実質的な悪化を経験する可能性があり、そうした問題は最終的に需要の喪失、利ザヤの低下、資産の評価減・信用損失という形で大型株に波及するリスクを伴う』とみていた。JPモリガンでは、S&P500種株価指数の23年の一株利益(EPS)は引き続き205ドルと予想している。リポートでは、市場予想では23年下半期には上半期に対して純利益率が拡大するとの見通しになっているのを踏まえ、『23年下半期の利益予想は、固定的な人件費、資本圧力のコスト上昇、および今年後半の需要減速リスクを考えると企業がクリアするための高いハードルであり続ける』との見解を示した。

 

2月米雇用統計は堅調推移を予想:US Dashboard

米労働省は10日、2月の雇用統計を発表する。非農業部門の雇用者数は前月比20万7500人増と市場予想を大きく上回った1月の51万7000人増から鈍化する見通しである。それでも、前月比で20万人超の増加が見込まれている。失業率は3.4%と1965年以来の低水準を付けた前月から変わらずと予想している。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は7日の議会証言でインフレ動向いついて、1カ月前に見られていた軟化傾向が一部逆転したと述べた。2月の雇用統計が市場予想を上回った場合、市場では3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBが50bpの利上げに踏み切るとの織り込みが一層進みそうである。

 

欧米市場イベント

○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○16:00   2月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.8%/前年比8.7%)
○16:00   1月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○16:00   1月英鉱工業生産(予想:前月比▲0.1%/前年比▲4.0%)
○16:00   1月英製造業生産高(予想:前月比▲0.1%)
○16:00   1月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:177.50億ポンドの赤字/71.00億ポンドの赤字)
○16:00   1月トルコ鉱工業生産(予想:前月比0.7%)
○16:00   1月トルコ失業率
○16:00   2月ノルウェーCPI(予想:前月比0.8%/前年比6.8%)
○16:45   1月仏貿易収支
○16:45   1月仏経常収支
○18:00   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:00   1月インド鉱工業生産(予想:前年同月比5.0%)
○21:00   2月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比5.54%)
○22:30   2月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.00万人/失業率5.1%)
○22:30   10-12月期カナダ設備稼働率
○22:30   2月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化20.5万人/失業率3.4%/平均時給、前月比0.3%/前年比4.7%)
○11日01:00   2月ロシアCPI(予想:前月比0.5%)
○11日04:00   2月米月次財政収支(予想:2560億ドルの赤字)
〇米・欧州連合(EU)首脳会談(ワシントン)
〇12日 米国が夏時間に移行

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ