FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:半導体とインバウンド銘柄が下支え

前日の米国市場ではハイテク株比率の高いナスダック総合や主要半導体株で構成するフィラデルフィア半導体指数が上昇しており、東京市場でも指数寄与度の高い半導体関連株が買われ、指数を下支えしました。また、中国人旅行者の回復期待から、インバウンド関連もしっかりだった。日本株の割安感に着目した買いも続いた。ただ、短期的な過熱感が強まったことから一巡後は利益確定売りが出て上値を抑えた。3月第1週(27日~3日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は994億円売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。個人投資家は2082億円の売り越しとなり、売り越しは2週ぶりとなった。信託銀行は515億円売り越しとなり、売り越しは16週連続となった。

 

東京外国為替市場:持ち高調整などのドル売りもあり上値の重い展開

ドル/円は、米長期金利低下を眺めたドル売りが先行、136.80円付近へ下落した。前日に約3カ月ぶりの高値137.90円を付けた反動から、利益確定などのドル売り・円買いが入りやすい面もあった。その後、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、137.10円付近へ値を切り返した。仲値発表後は、日経平均株価やアジア主要株価の動向を睨みながら、137.10円を挟んでもみ合いとなった。午後のドル/円は、明日発表される日銀金融政策決定会合の結果や2月米雇用統計を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、137円を割り込んで一時136.74円付近までじり安となった。衆院は9日午後の本会議で、日銀の正副総裁人事案を賛成多数で可決したが、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、1.05ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコとサウジアラビアが緊密な協力関係

週初に伝わった一部報道によると、サウジアラビアはトルコ中銀に50億ドルを預け入れることを決定したようである。同国政府は声明で、預金はサウジとトルコの歴史的な繋がり、緊密な協力関係を証明するものだと述べている。トルコ南部で起きた大地震以来、外貨準備高の減少が続いているトルコ中銀にとっては朗報である。もっとも、ドル高リラ安は進行する一方であり、アナウンスメント効果としてはかなり薄いものとなった。なお、国連開発計画(UNDP)によれば、2月に起きた大地震の被害額はトルコだけでも1000億ドルを超える見通しである。地震からの復興にはかなりの時間を要することが想像できる。

 

南アフリカでは10‐12月期の経常収支が公表:予想は1800億ランドの赤字

昨日に南アフリカ経済調査局(BER)が発表した企業信頼感指数は、前回よりも悪く36まで低下した。この調査は、2月8日から27日の間に『建築、製造、小売、卸売、自動車業界の1050人の上級管理職』を対象に実施された。製造業と消費者向け小売業の信頼感は低下したが、建設請負業者はセンチメントはほとんど変化なし。インデックスは、卸売および新車取引で少し改善したが、BERによると、これはまだ低水準に留まっているとしている。本日は南アから10-12月期の経常収支が発表される。市場では大幅に赤字が増加することが予想されている。南アからポジティブニュースを探すのが非常に難しいこともあり、引き続きネガティブサプライズへの反応が敏感になる。

 

米30年物住宅ローン金利は4週連続上昇

米抵当銀行協会(NBA)が8日発表した3日までの1週間の住宅ローン申請件数は前週比7.4%増だった。前週は5.7%減だった。20年物固定ローン金利は前週の6.71%から6.79%に上昇した。上昇は4週連続で、昨年11月半ば以来の高水準となった。

 

米中関係の悪化確率を引き上げ:ユーラシア

ユーラシア・グループは8日付リポートで、中国によるロシアへの軍事援助の拡大の可能性を踏まえ、『両国が競争激化の中で安定した関係を維持できる確率は50%(60%から低下)、急な関係悪化の確率は40%(30%から上昇)、関係改善の確率は10%(変わらず)となった』とし、従来から見通しを改めた。中国によるロシアへの支援が大幅に増加する可能性は依然として低いものの、『中国政府が軍民両用の輸出を拡大することを決定したり、限定的かつ秘密裏にロシアへの軍事援助を開始したり(確率30%)、あからさまで致死的な軍事援助に動く(10%)といった顕著なリスクがある』と指摘。これらのシナリオでは、『米国は軍事的・外交的行動に加えて、制裁、輸出制限、その他の経済的措置で対応する。経済制裁は、自動車からスマートフォンに至るまで、あらゆる産業に貿易の混乱をもたらすだろう。米国の規制に続いて、米国と広く連携する米国と同盟関係にある国々からの制裁が行われる可能性がある』とも指摘。半面、『非同盟の新興市場国は中国やロシアに接近することで潜在的に反応し、世界の貿易の流れに悪影響を及ぼすだろう』と懸念を示した。

 

1月の米求人件数の減少も労働市場は引き続きひっ迫:US Dashboard

8日に米労働省が発表した1月の雇用動態調査(JOLTS)では、非農業部門の求人件数(季節調整済み、速報値)が1082万4000件と上昇修正された2022年12月の改定値から41万件減り、3カ月ぶりに前月比でマイナスとなった。市場予想の1058万件ほどには減少しなかった。年次改定で22年のほぼすべてが上昇修正され、22年3月は1202万7000件と過去最高を更新した。同水準から減少傾向にあるものの、以前として高水準で米労働市場が引き続きひっ迫していることを示す。米連邦準備理事会(FRB)が注視する「失業者1人に対する求人件数」は1.9件と統計開始以降の最高に並んだ22年12月の2件からは減少したものの、新型コロナウィルスの感染拡大前は1.2件前後で推移していた。失業を急増させることなく労働市場とインフレの抑制を可能とするとして、FRBの利上げ長期化観測を維持するものだ。

 

米当局の警告で暗号資産取引所ジェミニとの取引終了か:JPモルガン

暗号資産(仮想通貨)に特化した情報サイトのコインデスクは日本時間9日、米銀のJPモルガンが暗号資産取引所のジェミニとの取引関係を終了しようとしていると報じた。JPモルガンは2020年からジェミニを顧客として引き受けていた。ジェミニは報道後、ツイッター上でJPモルガンとの取引関係を維持されているコメントした。一方、JPモルガンはコメントを控えた。今回の動きの背景には米金融当局が銀行に対し、暗号資産関連の顧客との取引を生じる流動性リスクに警戒すべきだと警告したことがあるもようだ。暗号資産業界で影響力の大きい米銀持ち高会社のシルバーゲート・キャピタルは8日、傘下のシルバーゲート銀行の事業を清算する方針を発表していた。

 

欧米市場イベント

○18:00   10-12月期南アフリカ経常収支(予想:1800億ランドの赤字)
○21:00   2月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比7.68%)
○21:30   2月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:19.5万件/165.9万人)
○24:00   バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(金融監督担当)、講演
○10日02:30   ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○10日03:00   米財務省、30年債入札
○バイデン米政権、2024会計年度の予算教書公表

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