FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:円安や中国経済の回復期待から底堅い展開

前日の米国市場では、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を受け金融引き締めの長期化が改めて意識され主要3指数はそろって大幅下落したが、為替の円安進行が好感され日本株は底堅さを維持した。市場では、中国経済の回復期待から、小売りや機械などの関連銘柄が底堅く推移しており、日経平均を下支えしている声が聞かれた。一方、今週末には特別清算指数(SQ)算出を控え動きづらさも意識された。結局、前営業日比135円高の2万8444円と4日続伸となった。信用評価損益率は3日申し込み時点でマイナス9.21%と、前の週のマイナス10.09%からマイナス幅が0.88ポイント縮小し、改善は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:日米金利差拡大を意識したドル買い優勢に

ドル/円は、前日にパウエル米FRB議長からタカ派的な内容が伝わり、米国の利上げペースが加速するとの見方からドル買い・円売りが先行、137円台前半から137円台半ばへ水準を切り上げた。朝方に発表された本邦1月経常収支が1兆9766億円の赤字となり、過去最大の赤字幅を記録したことも円売りを誘った。そして、昼頃に米長期金利が4%台へ上昇すると、日米金利差拡大を意識したドル買い・円売りが持ち込まれ、137.70円付近へ値を上げた。午後に入っても堅調地合いは続き、一時137.91円付近まで値を上げて昨年12月中旬以来のドル高・円安をつけた。ただ、心理的節目の138.00円に接近すると上げは一服した。その後は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて137.80円前後で取引された。ユーロ/ドルは、FRBの利上げペースが加速するとの観測からユーロ安・ドル高基調が続き、1.0525ドル付近へ値を下げる場面があった。

 

7日時点推計のSQ予想:170万株程度の売買・買い越しか

米株指数先物・オプション3月物は10日、特別清算指数(SQ)算出を迎える。SQ算出に関連した10日寄り付きの現物株式の売買注文は、『日経平均株価』の裁定取引関連で採用1銘柄あたり170万株程度で買い越しとなりそうだ。3日時点の建玉と7日の手口をもとに主要証券会社の現物株の売買を推計した。SQ算出日の寄り付きに現物株の買いが目立つとみなさられる証券会社はABNアムロ(70万株)、モルガン・スタンレー(41万株)、シティグループ(26万株)など、一方、売りが想定されるのは、BofA(32万株)、BNPパリバ(31万株)、JPモルガン(28万株)などの証券会社である。大阪取引所が開示している証券会社別の建玉と売買手口をもとに、先物のポジションやオプションのデルタ(先物に対する感応度、プラスの1単位が先物1枚の買いにあたり、マイナスは売りを示す)を計算した。先物の売り建てやそれに相当するオプションのポジションは『先物売り・現物買い』の裁定取引になっていると想定。この場合、SQ算出時には先物などが清算され、現物株には売りが出るとみなした。逆に先物の買い建ては現物株買いにつながるとみなした。

 

1月のインバウンド消費はコロナ前の60%まで回復:ゴールドマン

財務省が8日に発表した1月の国際収支状況(速報)で、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆9766億円の赤字だった。1985年以降で過去最大の赤字額を記録した。ゴールドマン・サックス証券は8日付のリポートで「赤字額が前年比3倍以上に拡大した。季節調整済みでは、経常収支は2163億円の黒字を確保しているが、12月の1.2兆円からは大幅に縮小した」との見解を示した。その一方、訪日外国人によるインバウンド消費を反映するサービス収支の旅行受け取りが1月に2516億円となり、前年同月の429億円から5.8倍に増加したことに着目。「コロナ前の2019年(月間平均:4183億円)の60%まで回復した」としながら、「ただし、昨年10月のリオープン以降の急増期と比べると回復ペースはやや鈍化している」とも指摘した。

 

トルコでは5月の大統領選に向けて選挙活動始まる

エルドアン・トルコ大統領は昨日、5月の大統領選に向けた公式選挙活動は10日から開始されると述べた。有力な対立候補は、野党6党の連合から擁立された共和人民党(CHP)のクルチダルオール党首である。早速、一部調査会社が行った世論調査の結果が明らかになっており、エルドアン氏が約43%に対しクルチダルオール氏は57%近くの支持率と出た。これを好感してか、トルコ債を買う動きが昨日は強まった。もっとも調査結果は『第一印象』程度に捉えるのが良さそうである。5月14日の投票まで日があるし、今後は現職からの巻き返しも予想される。また、第2野党であり、今回の連合に加わっていない『親クルド系の国民民主主義党(HDP)』の動向も今後は重要となってくる。

 

昨日の南アランド安の3つの要因

ランド安の主だった要因は3点あった。1点目は南アの10‐12月期国内総生産(GDP)が市場予想より悪化したこと、2点目は中国の貿易収支での輸入減少もあり、プラチナ価格が大きく下落したこと、そして3点目はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言後に、米金利が上昇したことが挙げられる。昨日発表された南アのGDPは、2021年の7‐9月期に南アで暴動が起きて以来の落ち込みとなった。南アの報道も、予想より悪い今回の結果について『衝撃』という文言で報道している。10に区分された産業のうちで7部門がマイナスとなった。大きな要因はやはり電力制限であり、電力不足が多くの企業の生産と売り上げに打撃を与えた。今年に入り、電力の制限は昨年の10‐12月期よりも厳しく、今年の1‐3月期もマイナス成長に陥りテクニカルリセッションに陥る可能性が高まっているとの声もある。

 

米利上げ0.5%の可能性非常に高い:ガンドラッグ氏

米大手運用会社ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)は、米連邦準備理事会(FRB)が21~22日に開く次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を0.5%引き上げる可能性は『非常に高い』と述べた。7日の投資家向けウェブキャストでの発言として米CNBCが同日(日本時間8日)伝えた。ガンドラック氏は『7日のパウエルFRB議長の議会証言の後、0.5%利上げする可能性が大幅に高まった』と述べた。金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りの大幅上昇が加速を裏付けているとみている。

 

3月FOMCで政策金利を上方修正される可能性を排除しない:ノムラ

ノムラ・セキュリティーズは7日付リポートで『これは3月の50bpの利上げという、(当初は)コンセンサスから外れていた我々の主張を裏付けるものだ』と指摘。50bpの利上げの可能性を含むパウエル議長のコメントは、『3月の米FOMCに向けたブラックアウト期間中の14日に2月の米消費者物価指数(CPI)が発表された後に、政策担当者がその時点での市場価格設定に不安を感じている場合、FRBが3月FOMCでどのような措置を取るかを電信で伝えてくる可能性を示しているかもしれない」とみていた。3月FOMC後の金融政策の見通しについて、「FRBは3月に50bpの利上げを行い、その後5月と6月にさらに25bpの利上げを行って最終金利を5.5~5.75%にするべきだとの見解を維持しているが、パウエル議長の証言でタカ派的な姿勢が再び示されたことで、現在予想されているよりも引き締めのリスクが高まっている」と指摘。パウエル議長が引き締め過ぎのリスクよりも、引き締め不足のリスクをより懸念しているように見えることから、「(ノムラでは)2月の非農業部門雇用者数がコンセンサスである21万5000人に対して、コンセンサスを上回る26万5000人の増加を予想しているため、2023年のドット中央値が5.875%(5.75‐6.00%に上方修正される可能性を排除しない」とも指摘した。

 

米国市場では1月の貿易収支が公表:予想は-689億ドルの赤字

12月実績では輸入が増加し、輸出は減少した。1月については、輸入増加が予想されている一方、輸出は伸び悩んでいるとみられ、貿易赤字額は増加する可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月独鉱工業生産(予想:前月比1.4%/前年同月比▲3.7%)
○16:00   1月独小売売上高(予想:前月比2.0%/前年比▲5.0%)
○18:30   ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○19:00   10-12月期ユーロ圏GDP確定値(予想:前期比横ばい/前年比1.9%)
○19:00   1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数
○19:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○19:00   パネッタECB専務理事、講演
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:6.75%で据え置き)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:15   2月ADP全米雇用報告(予想:20.0万人)
○22:30   1月カナダ貿易収支(予想:0.6億カナダドルの赤字)
○22:30   1月米貿易収支(予想:689億ドルの赤字)
○24:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○24:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米下院金融サービス委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○9日00:30   EIA週間在庫統計
○9日03:00   米財務省、10年債入札
○9日04:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○インド(水掛け祭)、ロシア(国際婦人デー)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ