FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:中国経済の復調や米国経済の底堅さを好感

前週末の米国市場で、利上げ再加速への警戒感が緩和して長期金利が低下し株高となっており、好感する動きが先行した。心理的節目2万8000円を上回り、3カ月ぶり高値に上昇した。中国経済の復調や米国経済の底堅さへの思惑から、主力株の底堅さが目立った。ただ、買い一巡後は、7-8日に予定される米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言や、週末の米雇用統計の発表など、重要イベントへの警戒感もくすぶり、高値圏でのもみ合いとなった。東京市場でも運用リスクをとる動きが広がった。結局、前営業日比310円高の2万8237円で終了した。終値で2万8000円台を回復するのは、昨年12月15日以来およそ2カ月半ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下を眺めドル売りやや優勢

ドル/円は、米長期金利の低下を眺めたドル売り・円買いに押される展開となり、135.60円付近へ下落した。ただ、7~8日に予定されているパウエル米FRB議長の議会証言を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。午後は、米長期金利が3.93%台へ低下すると、ドル売り・円買いが再燃して一時135.37円付近まで値を下げた。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、値を切り返して135.70円台を中心とする狭いレンジで推移した。週後半に日銀金融政策決定会合や2月米雇用統計の重要イベントを控えているため、様子見ムードが広がった。ユーロドルは、米長期金利低下を手掛かりとしたドル売りが一巡すると、1.064ドル台で方向感に欠ける値動きとなった。

 

ドル買い比率は大幅上昇:前週のFX概況:前週のFX概況

QUICKが算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計の建玉状況によると、『ドル/円』取引の総建玉に占めるドル買いの比率は3日時点で60.6%だった。前の週末から10.4ポイント上昇し、1月中旬以来およそ1カ月半ぶりの高水準となった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げが長期化するとの観測がくすぶるなか、国内輸出企業による円買い観測などで相場が一時期的に上昇した局面で個人投資家は円売り・ドル買いに動いた。良好な米経済指標の発表が相次いだことで、米長期金利は2日に一時4.09%と昨年11月以来の高水準となった。円は対ドル相場で1ドル=137.10と昨年12月中旬以来の安値をつけたものの、週末には米金利上昇が一服したことで円は135円台後半まで値を戻した。「日米での金融政策の方向性の違いからドルの先高観が強く、少し円高方向に振れた局面ではすかさず円売り・ドル買い注文を出す個人は多いという。『ユーロ/円』取引では、ユーロの買い比率は前の週から4.3ポイント高の28.1%だった。一方、『豪ドル/円』取引では豪ドル買いの比率は同1.2ポイント低い63.4%となった。

 

黒田総裁は余計なノイズを残さずに退任するだろう:USB証券

9~10日に黒田総裁の下での最後となる日銀金融政策決定会合を控える中、UBS証券は6日付のリポートで「黒田総裁は余計なノイズを残さずに退任するだとう」とし、重大な政策変更はないと予想するとの見解を示した。リポートでは、22年12月会合でイールドカーブ・コントロール(YCC)の変動幅が±50pbに唐突に拡大されたことを踏まえると、「YCCに調整が加えられる可能性は否定できない」と指摘した。ただ、2つの理由で変動幅拡大は難しいとも指摘した。具体的には、①会計年度末にあたる3月に政策変更となれば、生命保険会社や銀行、特に地銀の多くが不意打ちのような形で含み損の打撃を受けることになる、②日銀は昨年12月の場合と異なり、今回は利上げを正当化する理由がないと指摘。その一方、植田新総裁の下の金融政策運営に関しては「2月24日と27日に植田候補が国会で行った所信表明を聞く限り、4月に大幅な政策変更を行うのは時期尚早と思われる」とみていた。

 

トルコの地震で成長率の引き下げは避けられない様相

トルコ南部で起きた地震は甚大であり、同国成長率を引き下げは避けられない様相である。また、国内インフレは依然として高水準にもかかわらず、トルコ中銀は利上げする様子など全くない。リラ安を力技で食い止めようと金融当局はリラ買いドル売り介入を続け、2月の外貨準備高は大幅に減少し再び枯渇への懸念が強まりつつある。なお、先週はエルドアン・トルコ大統領が大統領・議会選挙について、予定通り5月14日に実施すると明言した。大地震により広まっていた『投票延期』の見方を否定した。目先の注目は、エルドアン大統領の対立候補が誰になるかということである。最大野党・共和人民党(CHP)や第3野党・優良党など6党による野党連合は候補者の調整に難航した。先週末には、優良党の連合離脱の可能性も報じられた。

 

南アランドの支えは中国経済回復期待とプラチナの価格上昇

南アフリカにとって貿易の最大のパートナーである中国経済の回復が期待されることである。また、南アが産出量・世界最大のプラチナの価格も上昇していることも、ランドにとってはポジティブ要因になっている。今週も中国経済の好調さが再確認された場合は、ある程度ランドの支えになる。もっとも、南ア経済について楽観視するのはまだまだ難しい。わずかながら、電力の負荷制限が引き下げられてはいるが、依然として厳しい電力制限が続いている。また、南ア国営電力会社エスコムの前CEOと南ア与党・アフリカ民族会議(ANC)の間では、汚職をめぐり法廷闘争になる可能性があることも、ランドの重しになる。

 

メキシコへの2022年の体内直接投資額はコロナ禍前の水準に回復

メキシコ経済省外国投資局が発表した2022年の対内直接投資額は352億9160万ドルとなり、2019年の345億6700万ドルを上回り、コロナ禍前の水準を回復した。主要国・地域別内訳をみると、最も投資額が大きい米国は前年比3.0%増の150億2160万ドルで全体の42.6%を占める。日本からの投資も18億3,880万ドルで前年比21.9%増加し、主要国・地域別では前年の6位から4位へと順位を上げた。2023年に入っても、外国企業の大型投資の発表が相次いでいる。先日も米電気自動車(EV)大手テスラがメキシコ北部に新工場を建設するとロペスオブラドール大統領が明らかにし、テスラ側も認める発言をした。最終的な投資総額は100億ドルに達する可能性があるとされ、ますますメキシコへの多くの投資が行われることが期待されている。

 

欧米市場イベント

○16:30   2月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%)
○18:30   2月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.1)
○19:00   1月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比1.0%/前年比▲1.8%)
○24:00   2月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00   1月米製造業新規受注(予想:前月比▲1.8%)

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