FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:中国の景気の先行き懸念後退で買い戻しの展開

米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測から、前日の米国株が下落した。前日米国市場が軟調だったことから、朝方は売りが先行した。中国国家統計局が1日に発表した2月の製造業PMIは市場予想を大幅に上回り、景気の先行き懸念が後退した。上海などアジアの主要な株式相場が上昇し、東京市場でも中国関連株に買いが入ったことで下げ幅をを縮小した。また、3月末を基準日とする配当の権利を得る目的で高配当銘柄を中心とした買いも入り、下値を押し上げた。信用評価損益率は2月24日申し込み時点でマイナス10.09%と、前の週のマイナス9.89%からマイナス幅が0.2ポイント悪化した。悪化は3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:利益確定や持ち高調整から136円台前半でもみ合い

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、一時136.47円付近まで上昇した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、前日に発表された米経済指標が軒並み低調な数字だったこともあり、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、136.30円台を中心とする狭いレンジで推移した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、136.40円近辺でもみ合いとなった。今晩発表される2月ISM製造業景況指数の重要指標を前に、方向感に乏しい値動きとなっている。ユーロ/ドルは、欧州中銀(ECB)がインフレ抑制に向けて積極的に利上げを実施するとの見方から、海外短期筋などがユーロ買い・ドル売りに動き、1.06ドル台乗せをうかがう姿勢を見せた。

 

顧客が米国株を3週連続売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの2月28日付の顧客フローリポートによると、同社の顧客は先週(21~24日)の1週間に米国株を2億1100万ドル売り越した。3週続けて売り越しだった。この週は24日に発表された米個人消費支出(PCE)が堅調だったのを受けて米利上げ長期化への警戒感が高まり、S&P500種株価指数は週間で2.67%安となって3週連続した時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が1億3000万ドル売り越して3週連続で売り越した。機関投資家は8億2300万ドル売り越して、こちらも3週続けて売り越しとなった。個人投資家は1億4400万ドルの売り越しで3驟雨ぶりに売り越しに転じた。企業の自社株買いは11億5100万ドルと、引き続き買い越しが継続しているものの、「過去4週間の典型的な季節的傾向を下回っている」という。リポートでは1月に自社株買いが好調だったため、S&P500種株価指数の時価総額に占める自社株買い額は0.044%と22年の記録(0.046%)を追っているものの、「新たな自社株買いの発表はまだまばらだ」と警戒感を示した。

 

トルコの地震が景況感にどの程度反映されるかを確認

昨日発表された10-12月期トルコ国内総生産(GDP)は前年比+3.5%と市場予想+3.0%を上回ったが、2四半期連続の減速となった。2022年通期でも実質成長率は+5.6%と11%超だった21年から大きく下振れしている。本日は欧州序盤に2月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表される。前回は50.1と22年2月ぶりに景況判断の境目50を超えた。今回はこの度の地震が景況感にどの程度反映されるかを確かめることになる。

 

南アフリカでは経済的・政治的に波乱含み

昨日発表された南アの10-12月期失業率は、市場予想よりも小幅に悪化したが、前期からは小幅に改善した。また、若年層の失業率も前期の61.4%から59.6%へと改善している。コロナウイルスのパンデミックから徐々に改善しているとはいえ、他国と比較すると改善の進捗具合は遅いと言える。また、毎月第一水曜日(今月は本日1日)に更新される南アのエネルギー基準価格は、無鉛ガソリン、ディーゼルともに上昇することが決定した。インフレが国民生活に悪影響を与えていることで、この上昇もランドにはネガティブなニュースと言える。本日は南アからは市場を動意づけるような経済指標の発表はない。しかしながら、政治的な動きには要警戒である。南アの国営電力会社エスコムの前CEOデ・ルイター氏がエスコムの汚職を指摘したことについて、同氏がゴーダン公共事業相にこの問題について在任中相談をしていたことが判明している。しかし、ゴーダン氏も証拠が足りないということで、調査などを行わなかった。ただでさえ、電力制限が厳しく続く中で、南ア国内が様々な政治的な混乱を生んでいることがランドの上値を抑える要因となっている。

 

テスラがメキシコ北部に新工場建設

米WSJ紙は、米電気自動車(EV)大手テスラがメキシコ北部のモンテレイに新工場を建設する計画だと報じた。メキシコのロペスオブラドール大統領が発表したもので、テスラは水不足問題の取り組みとともに工場を建設するとしている。大統領はテスラのマスク最高経営責任者(CEO)と数回に渡り電話会談していたと伝えた。

 

メキシコ国営石油会社の第4四半期決算は大幅な赤字

国営石油会社ペメックスの第4四半期決算は、売上高の増加にもかかわらず大幅な赤字となった。ペメックスは主要油田設備の老朽化によって石油生産が減少、生産コストも増加しており、足もとの原油価格上昇の恩恵を受けられなかった格好である。メキシコ政府からの断続的な財政支援によって同社の抱える巨額の債務はわずかに減少したが、国家主導のエネルギー政策を進めるロペスオブラドール大統領にとって、国営石油会社の生産性の低さは頭の痛い問題と言える。

 

FRBは政策金利6%近くまで引き上げる可能性:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズは、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を6%近くまで引き上げる可能性があるとの見方を発表した。米国の堅調な消費需要とタイトな労働市場によってFRBのインフレとの戦いが長期化せざるをえないという。市場では政策金利が9月に5.4%でピークに達するとの見方が織り込まれている。BofAは27日付メモで「インフレ率がFRBの目標に回帰するためには総需要が大幅に低下する必要がある。サプライチェーン(供給網)のさらなる正常化と労働市場の減速は支援になるが、ある程度にすぎない」と指摘。「さらに、これらのプロセスはわれわれや市場の想定よりも時間がかかっている」とした。米経済については2023年第3・四半期までにリセッション(景気後退)に陥ると見込んだ。

 

2月ISM製造業景況指数:市場予想は48.0

1月実績は47.4だった。新規受注指数の低下が影響した。需要減少と原材料の供給改善により、受注残は減少した。2月については、新規受注指数が下げ止まる可能性があるため、1月実績をやや上回る可能性があるが、大幅な改善は期待できない。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比▲0.4%)
○16:00   2月トルコ製造業PMI
○16:30   1月スイス小売売上高
○17:30   2月スイス製造業PMI(予想:50.3)
○17:30   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:50   2月仏製造業PMI改定値(予想:47.9)
○17:55   2月独製造業PMI改定値(予想:46.5)
○17:55   2月独雇用統計(予想:失業率5.5%/失業者数変化▲1.00万人)
○18:00   2月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:48.5)
○18:30   2月英製造業PMI改定値(予想:49.2)
○18:30   1月英消費者信用残高(予想:8億ポンド)
○18:30   1月英マネーサプライM4
○19:00   ナーゲル独連銀総裁、講演
○19:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:00   2月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.6%/前年比8.5%)
○23:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、討議に参加
○23:45   2月米製造業PMI改定値(予想:47.8)
○24:00   2月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:48.0)
○24:00   1月米建設支出(予想:前月比0.2%)
○24:00   ビスコ伊中銀総裁、講演
○2日00:30   2月メキシコ製造業PMI
○2日00:30   EIA週間在庫統計
○2日01:00   1月ロシア失業率(予想:4.0%)
○2日03:00   2月ブラジル貿易収支(予想:30.99億ドルの黒字)
○韓国(独立運動記念日)、休場

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