FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安が嫌気されるも円安が下支え

米金融引き締め長期化観測で前週末の米国株が下落した流れを引き継いで、日本株は軟調な展開となった。米長期金利の上昇に伴いハイテク銘柄や高PER株が売られ、相場の重しとなった。一方、為替の円安進行を受けて輸出株の一角は買われ、指数を下支えした。市場では、堅調な米経済指標や米連邦準備理事会(FRB)高官らによるタカ派的な発言を受けて、依然として米国の金融引き締め長期化懸念がくすぶっているとの指摘が聞かれた。結局、前週末比29円安の2万7423円とわずかに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:136円台前半から半ばでのもみ合い相場

ドル/円は、日米金融政策のスタンスの違いを意識したドル買い・円売りで136円台前半から一時136.55円付近まで上昇、昨年12月20日以来となる高値を付けた。ただ、米長期金利が低下したこともあり、積極的な上値追いは手控えられた。その後、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され、一時136.01円付近まで下落した。本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いが多く観測されたことも、ドル/円の下落につながった。午後は、低下していた米長期金利の持ち直しを眺めてドルは買い戻され、136.45円付近へ値を切り返した。ただ、今晩の米経済指標や米国株価動向を見極めたいとの雰囲気もあり、ドル買いは続かなかった。その後は、日経平均株価やアジア主要株価を睨みながら、136.30円台を中心とする狭いレンジで取引された。参院で植田日銀総裁候補の所信聴取が行われ、「現在の金融緩和は適切」「金融緩和は様々な副作用があるが、目標実現に向けて必要かつ適切な手法」などの見解を示したものの、目新しさはなく、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、1.05ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率は4カ月ぶりに低水準:前週のFX概況

QUICKが27日に算出した24日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は50.2%と前の週末から6.2ポイント低下し、2022年10月中旬以来およそ4カ月ぶりの低水準を付けた。次期日銀総裁候補の植田氏が24日に現在の金融緩和策を続けると考えを示したことをきっかけに円安・ドル高が進んだ場面で、相場の流れに逆らう『逆張り』戦略をとる傾向が強い個人投資家は円買い・ドル売りに動いた。植田氏は24日、衆院の所信聴取で「現在日銀が行っている金融政策は適切」との認識を示すとともに「金融緩和を継続し、経済をしっかり支える」などと語った。同氏の発言を受けて市場では、日銀が金融政策の修正に踏み切るとの観測が後退した。24日のニューヨーク市場では同日発表の1月米個人消費支出(PCE)物価指数の伸びが市場予想を上回ったのを材料に、米利上げの長期化が意識されて円は1ドル=136.52円と昨年12月以来2カ月ぶりの安値を付けた。円安・ドル高が進んだ場面で個人のFX投資家は円買い・ドル売りを進めた。『ポンド/円』取引のポンド買い比率は前の週から1.1ポイント低い48.9%と22年12月中旬以来、2カ月ぶりの低水準をつけた。『豪ドル/円』取引では豪ドルの買い比率は同5.2ポイント高い64.6%だった。

 

中国経済は23年に回復する:中国人民銀報告書

中国人民銀行は公表した四半期の金融政策実施報告書で、中国経済が2023年におおむね立ち直り、金融政策は明確で強くなるとの見通しを明らかにした。人民銀は内需拡大を支援し、経済成長と物価を安定化させる一方、『洪水のような』刺激策を避けるとしている。

 

トルコの地震で景況感がどの程度悪化するかが注目点

指標は、本日が1月貿易収支、明日が10‐12月期国内総生産(GDP)、来月1日に2月製造業購買担当者景気指数(PMI)、そして最後3日には2月消費者物価指数(CPI)が発表される。6日にトルコ南部を襲った大規模な地震の被害が甚大であるため、景況感がどの程度まで悪化しているかが気になるところである。そうなると、普段は相場へのインパクトが薄い製造業PMIへの注目がいつも以上に高まるかもしれない。

 

南アでは電力問題はさらに悪化しておりランドの重しに

電力設備容量の半分以上が使用できなくなり、電力問題はさらに悪化している。南アフリカ準備銀行(SARB)は『今年のGDP成長率の2%を電力制限の影響で失う』との見解を示したが、予想よりも厳しい状況が続いており、2%では収まらない可能性が高くなってきている。南アランドの上値を抑えることになる。今週は28日に10-12月期の失業率が発表される。前期は若年層を含め失業率は若干改善したが、この傾向が続くかに注目が集まる。食品インフレが2009年以来の水準まで上昇しているなど、国民の不満がたまっていることもあり、失業率が高止まりした場合は、治安の乱れが予想される。また、同日には1月貿易収支も発表予定されている。

 

米新築住宅販売は10カ月ぶり高水準:US Dashboard

24日に発表された1月の米新築一戸建て住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は前月比7.2%増の67万戸と市場予想の62万戸を上回った。2022年3月以来の高水準となった。2カ月連続で増加し、21日に発表された1月の中古住宅販売件数の減少鈍化とともに住宅販売に底入れの兆しがでてきたという見方があった。一方、30年物固定の住宅金利は、足元で6.62%へと上昇している。ローン金利の再上昇が住宅市場の回復を減速させるとの慎重な見方もあった。

 

米主要企業の業績は先行き減収減益見通し

足元で堅調を保つ米経済が利上げの加速に耐えられるかは不透明。メディア大手のワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーが23日に発表した四半期決算は売上高が市場予想を下回った。経営陣は決算説明会で「マクロ経済環境は非常に厳しい」との認識を示し「広告市場が弱まり続けた」と述べた。企業は経済の先行きを不安視し、広告出稿に慎重になっている。調査会社リフィニティブによると、米主要企業の業績は23年4~6月期に減収減益になる見通し。当面、企業業績を株式相場の押し上げ役として期待するのは難しくなる。

 

ターミナルレート予想を引き上げ:ノムラ

ノムラ・セキュリティーズは24日付リポートで、1月の米個人消費支出(PCE)が市場予想を上回ったことなどを踏まえ、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策見通しを改めた。政策金利のFF金利の誘導目標については、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で50bpの利上げを行い、その後は5月6月の会合で25bpずつ利上げし、ターミナルレートは5.50~5.75%に達すると予想した。これまでは3月まで25bp利上げを実施し、ターミナルレートは4.75~5.00%と見込んでいた。利上げの開始時期は2024年3月で据え置いた。FRBの保有資産を圧縮する量的引き締め(QT)も24年3月まで続くとの見通しを維持した。リポートでは「3月の50bpの利上げは攻撃的に聞こえるかもしれない。とは言え、FRBはインフレ抑制のためには当初考えていたよりも、利上げの休止状態からは程遠いと考えており、金融環境を引き締めるためにより多くの前倒しの利上げが必要になる可能性がある」とみていた。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月トルコ貿易収支(予想:144.0億ドルの赤字)
○18:00   ブロードベント英中銀(BOE)副総裁、講演
○19:00   2月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:101.0)
○19:00   2月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲19.0)
○21:00   1月メキシコ貿易収支
○22:30   10-12月期カナダ経常収支(予想:110.0億カナダドルの赤字)
○22:30   1月米耐久財受注額(予想:前月比▲3.9%/輸送用機器を除く前月比0.1%)
○24:00   1月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.0%/前年比なし)
○28日00:30   ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事、討議に参加
○28日00:45   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○28日02:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演

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