FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:当面金融緩和が継続するとの思惑から買い優勢に

衆院で次期日銀総裁候補の植田氏の所信聴取が始まり、現在の金融政策について『副作用をもたらしているが、経済・物価情勢を踏まえると必要かつ適切な手法』と発言すると当面は金融緩和が継続するとの思惑が広がり指数の上値を伸ばした。金利上昇方向の発言への警戒が後退し、銀行業が下げ幅を広げた。一方で、指数寄与度の高い半導体銘柄が堅調で指数を押し上げた。結局、前営業日比349円高の2万7453円と3営業日ぶりに反発して終了した。2月第3週(13日~17日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は2332億円買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。個人投資家は688億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続。信託銀行は1519億円となり、売り越しは14週連続となった。

 

東京外国為替市場:売買一巡後は134円台半ばのレンジ推移

ドル/円は、市場の注目が集めていた衆院での植田次期日銀総裁候補の所信聴取が行われ、『現在の金融政策は適切』と発言した。これを受けて日銀の金融緩和が当面続くとの思惑からドル/円はドル買い・円売りが先行し、134.90円付近へ上昇した。しかし、日銀がいずれ金融政策の修正に動くとの見方が根強く、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて一時134.06円付近まで下落した。本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いが継続的に観測されたことも、ドル/円の下落につながった。その後、植田氏が『長期国債の大量購入による量的緩和、ある程度効果をもつ』『イールドカーブコントロール(YCC)の将来については様々な可能性があるが、具体的な選択肢に言及することは不測の影響を及ぼすリスクがある』などの見解を示すと、今度は円売りが強まり134円台後半へ切り返す荒い値動きとなった。午後は、植田氏の所信聴取や質疑応答を手掛かりとした取引が一巡したこともあり、134.60円台を中心とする狭いレンジで推移した。今晩発表される米経済指標や米連邦準備制度理事会(FRB)当局者の発言を前に、様子見ムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.0600ドルを挟んで小動きに終始した。

 

トルコ中銀は3会合ぶりに50bpの利下げ

トルコ中銀の金融政策委員会(MPC)は、昨年8月からの利下げサイクルを11月で終了し、12月と1月は主要政策金利を9.00%で据え置いてきた。ただし今回は、トルコ南部を襲った大規模な地震による被害が『近代トルコ史上では最悪』とされるなか、金融緩和で経済を下支えするとの見方が広まっていた。トルコ中銀は昨日、政策金利を9.00%から8.50%に引き下げることを決定した。3会合ぶりの利下げだったが、市場が予想していた下げ幅(0.5%から1.00%)に沿った決定ということもあり、為替相場の反応は限られた。

 

南アフリカの3つの難題

注目された南アの予算案は、国営電力会社エスコムへの救済が2540億ランドと、市場予想より大きかったことが好感された。また、来年度の政府支出を2.9%に抑え、7%前後で推移するインフレ率より大幅に控えたことも評価された。予算案で昨日はある程度支えられたランドだが、ここからはまだ難題が待ち構えている。1つ目は予算案後に複数の公務員組合がストライキを画策している。昨日の予算案発表中も抗議のデモ活動が行われたが、公共部門の労働者は無期限のストライキを警告する覚書を政府に引き渡した。ゴドンワナ南ア財務相は今回の予算について『緊縮財政ではない』としたものの、賃上げを拒否したかたちになっているので、公務員組合も引き下がれる状況ではない。2つ目は予算案発表後、エスコムのCEOデ・ルイター氏が即時に退職することを発表していること。もともと辞任は決まっていたが、3月末までは指揮を執る予定になっていた。しかし、電力問題よりも政治的な争いに嫌気が差し、早期退職に合意している。これまでも、暗殺未遂事件もあったことを考えると、同氏が一刻も早くエスコムから手を引こうとするのは致し方ないことである。しかし、新たな経営陣との引継ぎ期間も短く、今後のエスコムの運営はより厳しいものとなる。そして3つ目は、電力の負荷制限などの問題は全く解決していない。ステージ8という、これまでで最大の電力制限が目の前に迫っているという現実にどう対処していくのかが注目される。

 

メキシコペソは好調持続も一方で懸念の声も

専門家がペソ買い要因として挙げているのが、海外からの送金や投資による資金流入の増加、ならびにメキシコ銀行(中央銀行)の金融政策である。国外労働者からのメキシコ本国への送金額は昨年に過去最高額を記録し、米国市場へのアクセス面の優位性から海外直接投資も好調である。さらにメキシコの対米金利差拡大への思惑も広がっています。その一方で強過ぎるペソが今後経済低迷を招くとの懸念もある。観光や輸出産業、海外(主に米国)労働者からの送金、海外直接投資からの収入に影響が出るほどのペソ高水準となりつつあるとの声も伝わっている。また、メキシコ中銀が設定している過去最高水準の政策金利(11.00%)は国内でのローン環境を悪化させている。

 

1月PCEコアデフレーターで米インフレの根強さを確認へ

米国のインフレが根強くさらに、労働市場のひっ迫が緩和する兆候が見られない。米10-12月期国内総生産(GDP)改定値は前期比年率+2.7%と、予想外に速報値+2.9%から下方修正された。7-9月期の+3.2%からは伸びが鈍化。同期個人消費改定値は前期比年率+1.4%と、速報値+2.1%から予想以上に伸びが鈍化し、昨年1-3月期以来の低い伸びとなるなど、景気には成長鈍化の兆しが見られる。一方で、同期価格指数改定値は前期比+3.9%と、速報値+3.5%から予想外に上方修正された。また、同期コアPCE改定値は前期比+4.3%と、速報値+3.9%から予想外に上方修正されるなど、物価が鈍化基調にあるもののペースが遅いあらたな証拠となった。最新の先週分新規失業保険申請件数も前回から増加予想に反し減少し、6週連続で20万件割れとなった。

 

米国株のバリュエーションはエベレストの山頂に接近:ソシエテ・ジェネラル

ソシエテ・ジェネラルは23日付リポートで、『株式市場を支えている酸素が希薄になるにつれて、株式市場は揺らぎ始めている』との見解を示した。1月の米雇用統計や米小売売上高が季節性を除いても異常なほど堅調だったのを踏まえ、『投資家は1月の堅調な米国のデータに極めて懐疑的であることが望ましい』と指摘。モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏がS&P500種株価指数の10月以降の上昇をエベレスト登山と比較していることを引き合いに出し、『投資家は昨年10月にPER15倍、エクイティ・リスク・プレミアム(ERP)270bpで安全なベースキャンプを離れたが、今ではPER18.6倍、ERP155bpでバリュエーション(投資尺度)の頂上に近づいている。酸素(バリュエーション・サポート)がここまで薄いとミスになる。登山家たちはこれを『死のゾーン』と呼んでいるが、ウィルソン氏が今株式が置かれていると考えているのはまさにそこだ』と説明した。PERを将来の利益成長率で割って算出する『PEGレシオ』がS&P500でパンデミック時を除いて、かつてないほど高まっていることから、『米国のバリュエーションは雲の上の『死のゾーン』という薄く危険な大気圏に上昇した』との認識を示した。

 

米住宅ローン金利は3カ月ぶり高水準

米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が23日発表した米国の住宅ローン金利は、30年固定型(週平均)で6.5%と前週に比べて0.18ポイント上昇した。2022年11月下旬以来、約3カ月ぶりの高水準となる。米FRBによる金融引き締めが続くという観測の高まりを背景に、住宅ローン金利にも上昇圧力がかかっている。

 

3月会合でドットを上方修正する可能性がある:ノムラセキュリティーズ

ノムラ・セキュリティーズは22日付リポートで『FOMCは1月の非農業部門雇用者数(NFP)が驚くほど好調だった前に行われたことから、議事録はタカ派的と解釈し、50bpの利上げは水面下でさらに拡大している可能性がある』との見解を示した。ミニッツで『多数の参加者(ノムラでは5~8人と推測)がここ数カ月で金融環境の緩和を受けて、3月のFOMCではドットを上方修正する可能性がある』と指摘。同時に労働市場のひっ迫が上方修正の根拠になり得るとして、『FRBが現在の利上げサイクルの終了からさらに遠ざかる可能性を示唆しており、3月に25bpの利上げをして4.75%~5.00%でターミナルレートに達するという現在の我々の政策見通しにリスクをもたらしている』とみていた。

 

欧米市場イベント

○16:00   10-12月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比▲0.2%/前年同期比1.1%)
○16:00   10-12月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比0.5%)
○16:00   3月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲30.4)
○16:45   2月仏消費者信頼感指数(予想:80)
○16:45   ナーゲル独連銀総裁、リントナー独財務相、会見
○21:00   10-12月期メキシコGDP確定値(予想:前期比0.4%/前年比3.5%)
○22:30   1月米個人消費支出(PCE、予想:前月比1.3%)
       1月米個人所得(予想:前月比1.0%)
       1月米PCEデフレーター(予想:前年比5.0%)
       1月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.4%/前年比4.3%)
○24:00   1月米新築住宅販売件数(予想:前月比0.7%/62.0万件)
○24:00   2月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:66.4)
○25日00:15   ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事、メスター米クリーブランド連銀総裁、金融政策関連のイベントに参加
○25日01:30   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○25日01:30   ブラード米セントルイス連銀総裁、討議に参加
○25日03:30   コリンズ米ボストン連銀総裁、金融政策関連のイベントであいさつ
○25日03:30   ウォラーFRB理事、金融政策関連のイベントに参加
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(インド・ベンガルール、25日まで)
○ロシア(振替休日)、休場

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