FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:積極的な売買は手控えられ方向感を欠く展開

小安く始まった後も値がさ株の下げが重しとなり、約1週間ぶりの安値を付けたが、売りが一服すると値を戻した。その後は、プラス転換する場面はあったものの買いの勢いは続かず、全般的に方向感は乏しかった。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表や日銀の次期正副総裁候補の所信聴取を控えており、積極的な売買は手控えられている。複数の米連邦準備理事会(FRB)当局者から、全会のFOMCで実施したよりも大幅な利上げが必要だった可能性があるとの発言が出ており、米FOMCメンバーの中で同様の意見を持つ人がどのくらいいるのか、議事要旨で見極めたいとの指摘が出ている。結局、前営業日比58円安の2万7473円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:134円台前半の狭いレンジ相場

ドル/円は、米長期金利上昇を眺めたドル買い・円売りが先行し、134.45円付近へ値を上げた。しかし、日経平均株価のさえない動きがリスク回避の円買いを誘い、134.10円台へ下落した。その後は、米国の金融引き締めが長期化するとの観測から海外短期筋などがドル買い・円売りに動き、134.50円付近へじり高となった。しかし、前日の東京市場でつけた高値134.53円に接近すると上げは一服した。一部メディアのインタビューで早川日銀理事が、『植田日銀総裁候補が就任後に政策をある程度変えると予想する』と発言すると、一時的に円買いが強まる場面があった。午後は手掛かり材料難から積極的な売り買いは見送られ、小幅に値を下げて134.30円台を中心とする狭いレンジで推移した。休場明けとなるNY市場の米経済指標や米長期金利の動向を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、この後に参入してくる欧州勢待ちの様相を呈しており1.06ドル台後半で小動きとなった。

 

3月会合でYCC撤廃との思惑がくすぶる

3月9~10日の金融政策会合で、日銀が長短金利操作(YCC)を撤廃するとの思惑がくすぶっている。指し値オペの対象がカレントの10年債から拡大されず、依然として日本国債のイールドカーブは10年近くだけが押し下げられるといった歪みが生じています。植田新総裁の下、直ちにYCCを撤廃するようなことがあれば、黒田総裁の政策がどこまで撤回されるかといった不透明感が生じます。それならば、黒田総裁の下で導入した異例の緩和策を黒田総裁自身が撤廃することで、4月以降の植田新総裁は、既存の金融緩和策を維持することが出来ます。3月会合に注目です。

 

ECBターミナルレート予想を上方修正:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは20日付リポートで、『欧州中央銀行(ECB)シュナーベル理事jは先週の金曜日、基調的なインフレ圧力を考慮して、政策金利がさらに(経済に対して)制限的な領域に入ることを繰り返し、5月に利上げ幅が25bpに引き下げるための大きなハードルを設定した。レーン理事とバネッタ理事はより慎重な姿勢を示したが、ターミナルレート(利上げの最終到達点)の引き上げに強く反発することなく、5月の利上げペースを25bpに抑える必要性を中心に議論した。仏中銀のビルロワドガロー総裁は、より中道的なトーンを打ち出し、暗黙のうちに3.50%のターミナルレートを支持した。5月には25bpの利上げペースにに減速することを示唆した』ことに着目し、政策金利見通しを上方修正した。5月に4回目となる50bpの利上げが実施される可能性は残っているものの、理事会が25bpに減速する可能性はまだ高いと考えているといい、『我々の市場コンセンサスを上回る経済成長率予測と、最新の予想である5.25~5.5%の米FF金利のピーク時の予想を合わせると、6月にはさらに25bpの引き上げが予想され、ターミナルレートの予想を従来の3.25%から3.50%に引き上げた』という。

 

欧州市場ではS&Pグローバル2月ユーロ圏製造業PMI:予想は49.3

1月実績は48.8だった。2月については、雇用情勢は悪化していないが、インフレ持続の影響は残されている。また、外部環境の改善は遅れていることから、1月実績との比較で大幅な改善は期待できない。

 

トルコ現政権では復興資金が確保できるかが焦点

一部通信社によれば、トルコ南部を襲った大地震により国内で約38.5万棟の集合住宅が倒壊・半壊した。これに対しエルドアン大統領は、『3月初旬から3万戸の住宅着工に取り掛かり、1年以内には全て再建する』と述べている。選挙を前に必死であるが、緩い耐震基準を認めてきた政権への批判の声は簡単に収まりそうにない。今回の地震による被害はかなり深刻であり、復興に要する費用もかなりの額に上ることが予想される。トルコ政府の財政不足が懸念されるなか、復興資金は外国からの援助にも頼る必要がある。ただ悪いことばかりではなく、援助資金を十分に確保できた場合は『復興活動による生産拡大が、経済混乱よるマイナスの影響をほぼ相殺する』という見方もある。

 

南アでの電力制限により引き続きランド売り場探しに変化なし

週明けの南アは再び暗いニュースから始まっている。週末に電力の負荷制限をステージ6に引き上げられただけでなく、昨日の朝から電力設備容量の半分以上が使用できなくなる事態に陥った。国営電力会社エスコムは、今週はステージ8への引き上げの可能性があることを示唆している。あまりにも頻繁に(今年は毎日)電力制限が行われていることで、ランド相場への短期的な影響は限られているが、このような状況下では中長期的にランドを買うのは難しいままである。南アフリカ準備銀行(SARB)は今年のGDP成長率の2%が電力制限の影響で失うとの見解を示しているが、予想よりも悲惨な状況が続いていることで、2%では収まらない可能性もある。明日22日には注目の予算案が発表されることもあり、ポジション調整的な動きも多少はあるが、予算案も期待が出来ないことで、本日のランドも引き続き売り場探しは変わらない。

 

米利上げ長期化織り込む:US Dashboard

1月米雇用統計など2月に発表された米経済指標は上振れが続いた。加えて米連邦準備理事会(FRB)高官からタカ派的な発言が相次ぎ、市場では利上げ長期化観測が広がった。フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む政策金利を見ると、ターミナルレート(利上げの到達点)は5.3%程度まで切り上がり、2023年中の利下げ転換期待は後退している。今週も複数のFRB高官の講演や経済指標の発表が予定されており、利上げの織り込みが一段と進む可能性もある。

 

労働市場の緩和でインフレ鈍化を見込む:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは20日付リポートで2022年10~12月期決算の結果を踏まえ、米景気後退(リセッション)の可能性や労働市場のひっ迫状況を分析した。S&P500種株価指数の実質売上高の伸びは鈍化しているが、プラスの状態を維持しており、前年比および前四半期(エネルギーを除く)の両方でプラス1.5%と推定した。業績不振のTMT(テクノロジー・メディア・通信)セクターを除けば、全体で設備投資は増加しており、『今のところ、企業は利益率の低下と資金調達コストの上昇に対応するため、投資や雇用を削減するのではなく、10~12月期に12%減少した自社株買いを削減することで対応しているようだ』と指摘。米経済は潜在成長率を下回るものの、プラスを維持するとみていた。消費・資本財セクターで収益・利益の増加が続いており、『消費・設備投資が経済の4分の3を占めることを考えると勇気づけられる傾向である』とも指摘した。

労働市場に関しては『ラッセル3000企業の10~12月期決算発表で労働力不足について言及したのは4.9%にとどまり、7~9月期の16.5%を下回った』ことに着目。『労働力の利用可能性の大幅に改善』しているとみていた。リポートでは『労働力の利用可能性が大幅に増加し、賃金圧力が順次緩和されていることは、コアインフレ率が23年後半に米連邦準備理事会(FRB)の目標を依然として上回るものの、3%まで大幅に低下するという我々の予測と一致している』との見解を示した。

 

米国市場ではS&Pグローバル2月製造業PMI:予想は47.1

1月実績は46.9だった。企業の需要が弱く、高インフレが顧客の消費支出を抑えている状況が続いていることが確認された。2月については、状況は多少改善しているものの、金利上昇の影響が出ていることから、大幅な改善は期待できない。

 

欧米市場イベント

○未定   2月月例経済報告
○17:15   2月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:50.8)
○17:15   2月仏サービス部門PMI速報値(予想:49.9)
○17:30   2月独製造業PMI速報値(予想:48.0)
○17:30   2月独サービス部門PMI速報値(予想:51.0)
○18:00   2月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:49.3)
○18:00   2月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:51.0)
○18:30   2月英製造業PMI速報値(予想:47.5)
○18:30   2月英サービス部門PMI速報値(予想:49.2)
○19:00   2月独ZEW景況感指数(予想:22.0)
○19:00   2月ユーロ圏ZEW景況感指数
○22:30   12月カナダ小売売上高(予想:前月比0.5%/自動車を除く前月比▲0.1%)
○22:30   1月カナダCPI(予想:前月比0.7%/前年比6.1%)
○23:45   2月米製造業PMI速報値(予想:47.1)
○23:45   2月米サービス部門PMI速報値(予想:47.1)
○23:45   2月米総合PMI速報値(予想:47.5)
○24:00   1月米中古住宅販売件数(予想:前月比2.0%/年率換算410万件)
○22日03:00   米財務省、2年債入札
○プーチン露大統領、年次報告演説
○ブラジル(カーニバル)、休場

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