FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:新規材料待ちで動意に乏しい動きが継続

前週末の米ハイテク株安が重しになり日経平均も小幅安い始まったが、徐々に下げ幅を縮小し、下げ渋る展開になった。ただ、米経済を巡る不透明感が意識されているほか、新規材料待ちで明確な方向感はみられず、動意に乏しい動きが続いた。市場参加者の関心は米経済動向に集まっており、足元では堅調な経済指標が相次いでいることから、「市場では米経済の着陸に向けて減速が確認されない『ノーランディング』という表現もみられる」との指摘が聞かれる。指数寄与度が高い電気機器や精密機器銘柄の一角が下落し指数の下押し要因となった。一方で、金融株や鉄鋼株は高く、下げ一巡後は指数は前週末比横ばい圏で推移した。結局、前営業日比18円高の2万7531円小幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:利益確定のドル売りから上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、一時134.54円付近まで値を上げた。最近発表されている米経済指標が好調で、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの観測が強まっていることも、ドルの押し上げ要因となった。ただ、今晩はプレジデントデーで米国市場が休場となるため、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、134.30円付近へ押し戻された。午後は、先週末の海外時間に135.10円付近で上値の重さが確認したことから、海外短期筋などがドル売り・円買いに動き、134円を割り込んで一時133.95円付近まで下落した。24日に衆院で予定されている次期日銀正副総裁候補の所信聴取において、大規模な金融緩和修正に言及するとの見方が浮上していることも円買い要因となった。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが入り、値を切り返して134.10円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.06ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率低下、ユーロ買い比率は4カ月ぶり低水準:前週のFX概況

QUICKが20日に算出した17日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は56.4%と前の週末から3.9ポイント低下した。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを長期化させるとの見方から前週に一時1ドル=135円台前半と、2022年12月20日以来の水準まで円安・ドル高が進んだ場面で、相場の流れに逆らう『逆張り』戦略を採る傾向が強い個人投資家は円買い・ドル売りに動いた。前週発表された1月の米消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回る伸びとなったことなどを受け、米国でのインフレの高止まりが強く意識されている。このところFRB高官からも金融引き締めに前向きな『タカ派』色の強い発言が相次ぎ、円相場を下押ししている。『ユーロ/円』取引のユーロ買い比率は10.6ポイント低下の23.7%と、2022年10月末以来およそ4カ月ぶりの低水準となった。『豪ドル/円』取引での豪ドル買い比率は前の週末から6.6ポイント低い59.4%、『ポンド/円』取引のポンド買い比率は12.5ポイント低下の50.0%だった。

 

日銀の国債空売り抑制策:UBS

日銀の新体制発足を控える中、UBS証券は20日付のリポートで『今年は大きな政策変更はないと見込んでいたが、一定条件が達成されるまでゼロ金利政策の長期化(もしくわ極めて低い短期金利)を約束するのも一つの選択肢だと考えるようになった。』との見解を示した。リポートでは、その政策変更のタイミングとして『4月28日となるかもしれないが、その次の決定会合の開催日である6月16日の方が政策見直し作業を経た後で国民や市場との意思疎通を行えるので、より望ましいかもしれない』と指摘した。黒田総裁の下での最後の金融政策決定会合となる3月10日には政策変更はないと予想しながら、日銀が16日に『10年物国債のカレント3銘柄にかかる金融市場調節面の措置について』と題する文書を発表したことについては『極めてテクニカルな内容だが、簡単に言えば、債券貸付けの利用を制限することで国債の空売りを抑制することを目的としている』と指摘。この手法を通じてイールドカーブの歪みを是正しようとしているのだろうとしながら、『レポ市場の流動性が一段と低下する筈なので持続性はなさそうだ。それでも3月10日以降まで若干の時間稼ぎは出来るだろう』とみていた。

 

トルコ中銀の利下げを予想するアナリストが増加傾向:23日政策会合

トルコ南部で起きた大規模な地震の被害が拡大するなか、同国経済の成長減速を懸念する声は抑えようがない。欧州復興開発銀行(EBRD)は先週、地震による経済的な影響について、今年のトルコ国内総生産(GDP)の1%が失われる可能性を指摘した。こちらはリラの買い難さにつながると思われる。このところトルコ中銀の金融政策に対する市場の注目度は下がっていたが、今回は警戒する必要がある。というのも、利下げを予想するアナリストが増えつつある。地震被害はトルコ共和国の建国以来では最悪となり、金利面から復興を支えるという理由は確かにある。しかしながら実情は、エルドアン大統領が政府への批判をかわし、選挙前の人気稼ぎのために中銀に圧力を強めたということが推測される。

 

南ア準備銀行(SARB)の独立性について

今年に入り、南ア与党アフリカ民族会議(ANC)が、中銀の責務について『雇用の拡大』を追加するようにとの圧力をかけたことはすでに既報した。責務の拡大については憲法の改定が必要だが、今後のリスクシナリオについて、南アのエコノミストが3つあることを指摘している。

●シナリオ1…中銀の責務の変更はないが、中銀への圧力が継続

このシナリオでは、SARBに対する継続的な攻撃が投資家心理を不安にさせる可能性がある。政治的影響からの独立性と物価安定へのコミットメントの信頼性を強化するために、SARBからよりタカ派的な政策スタンスとなる可能性もあると指摘している。

●シナリオ2…ほとんど影響なく責務の変更

責務変更後もSARBは独立性を再度主張し、米連邦公開市場委員会(FOMC)が行っているように、持続可能な雇用水準は非インフレ雇用水準でもあると主張するとのシナリオである。

●シナリオ3…最悪のシナリオ

SARBが苦労して獲得した信頼性と独立性を解体することになり、物価と全般的なマクロ経済の安定性を深刻に損なう可能性が指摘されている。現在のANCは支持率が急低下していることで、SARBに対しての圧力が増大しているともされているが、仮に憲法改正で責務変更になった場合は、シナリオ3が濃厚になる。よって、ランドは大きく売られることになる。もっとも、ANCの支持率低下で、野党がANCの思惑を阻止する可能性が強く、なかなか憲法改正にはならないだろうとの声が強い。

 

メキシコ中銀のサプライズ利上げはインフレが要因

メキシコ中銀が9日に政策金利の大幅利上げを決定して以降、7日続伸となるなどトレンドが形成されつつあることが窺える。先日の利上げ決定と声明文はかなりサプライズだったとの声が依然として聞かれており、本来なら0.25%利上げをし、年末にかけては利下げを予想する声も多かっただけに、追加利上げも示唆したことはペソ先高期待を再燃させるきっかけとなっている。メキシコ中銀がこれほどタカ派的な決定を下した要因はインフレにあり、今週は2月前半の消費者物価指数(CPI)の発表が予定されており、注目が集まっている。現時点では+7.83%と前回の+7.88%からは鈍化する予想となっている。なお、メキシコ中銀による利上げがどこまで継続するかどうかであるが、中銀メンバーでハト派寄りのスタンスであるヒース副総裁は先日、『ターミナルレートは11.50%付近になると予想している』と発言しており、あと0.50%の利上げ余地があることを示唆した。次回3月会合では0.25%利上げとなることを想定すれば、最低でも今年中にあと1回の利上げが見込まれることになる。




 

米輸入物価は7カ月連続下落:US Dashboard

17日に発表された1月の米輸入物価指数は前月比0.2%下落と市場予想の前月比0.05%を上回る下げとなった。7カ月連続の下落で、主にエネルギー製品価格の下落が指数全体を押し下げた。前年同月比では0.8%上昇と2023年12月の3.0%上昇から鈍化基調へ複し、2020年12月以降で最小の上昇幅となった。同時に発表された1月の米輸出価格指数は前月比で0.8%上昇と市場予想の前月比0.0%を上回り、7カ月ぶりに上昇に転じた。前年同月比では2.3%上昇した。

 

投資家調査は昨年4月以降で最も弱気:エバコア

エバコアISIは17日付リポートで投資家・機関投資家調査の結果を公表した。調査の回答者は昨年4月以降で最も弱気で、今後に10%の株価上昇を予想したのにはわずか31%だった。機関投資家は41%で、投資家よりもネガティブではなかった。株式市場の懸念は、「最近の経済指標が堅調になっていることから、利益成長や経済成長から米連邦準備理事会(FRB)に戻った。インフレや金利への懸念も高まった」という。前回1月27日と今回とを比べると、株式市場にとって最もリスクとなる要因はFRBとの回答が大きく上昇し、経済成長や企業の利益成長の回答が大きく減少した。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲1.0%/前年比11.8%)
          コア指数(予想:前月比▲1.2%/前年比9.5%)
○19:00   12月ユーロ圏建設支出
○24:00   2月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲19.0)
○21日04:00   ウッズ英中銀(BOE)副総裁、講演
○米国(プレジデンツデー)、カナダ(ファミリーデー)、ブラジル(カーニバル)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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